2023年5月30日(火) 参議院 経済産業委員会、内閣委員会連合審査会「原発推進等5法案(GX電源法)」
テーマ:高市大臣に問う 原子力基本法改悪の問題
(議事録は後日更新いたします)
日本共産党の岩渕友議員は30日の参院経済産業・内閣両委員会の連合審査で、原発推進等5法案のうち原子力基本法改定案について、経済産業省資源エネルギー庁の介入疑惑を追及しました。
岩渕氏は、所管閣僚の高市早苗科学技術政策担当相の出席を求めてきたが実現していなかったと批判し、「連合審査で高市氏が出席したのは当然だ」と強調。高市氏は本法案の基となったGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議での議論に参加しておらず、「いつ基本法の改定を知ったのか」とただしました。
高市氏は「全体像を知ったのは今年2月2日」と初答弁。所管閣僚が法案提出の直前まで知らなかったという驚くべき事実が明らかになりました。
岩渕氏は、エネ庁は昨年7月28日の段階で基本法改定案に近い案を示しており、高市氏への説明でもエネ庁作成の資料が使われたと指摘。法改定に向けエネ庁と面談した内閣府の担当者が経産省に籍を置く「出向者」だったことも明らかになったとし、「経産省が主導して原発回帰の流れを進めているのではないか」と迫りました。
高市氏は「そのつど私の考えを申し上げてきた」と述べるにとどまりました。岩渕氏は「法改定の経緯は明らかではない。〝なぜ原発だけ特別扱いなのか〟と批判の声があり、改悪は認められない」と厳しく批判しました。
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2023年5月30日(火) 参議院 経済産業委員会、内閣委員会連合審査会
「原発推進等5法案(GX電源法)」
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
本法案は5つもの重要な法案を束ねていて、その1つである原子力基本法の改悪は重大です。法案の審議に当たって、原子力基本法の所管大臣である高市大臣の出席を求めてきましたが、GX担当大臣が答弁をするといって実現をしてきませんでした。今回、連合審査という形で高市大臣の出席が実現をしたということは重要だと思っていますけれども、法案審議の場への出席は当然のことだと考えています。本法案は、GX実行会議の下で作成をされたGX実現に向けた基本方針、これに基づいて措置を講じるものです。ところが、高市大臣はこのGX実行会議には参加をしていないんですよね。
そこで、高市大臣にお聞きします。本法案で原子力基本法が改定をされると、このことを知ったのはいつでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 原子力基本法改正案、全体像の説明を受けたというのは2月の2日でございます。ただし、この原子力、事務方が原子力基本法の改正を検討しているということにつきましては、10月14日に事務方から説明を受けております。その改正の方向性については、まあ10月14日の時点で了承をいたしておりました。
○岩渕友君 この原子力基本法は、御自身が所管をする法律だということで、今、その10月14日に改正検討だと、方向性が示されたと、まあ改正の可能性があるというふうに言われて了承をしたということだったんですけれども、何も言わなかったのでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) まだ10月14日の時点の説明では、原子力委員会における議論の状況によっては原子力基本法の改正につながる可能性があるということで、足下の検討状況について説明をしてもらいました。
また、私は参加しておりませんが、そのGX実行会議ですとか資源エネルギー庁の審議会では原子力発電所の運転期間に係る議論が進行していたので、電気事業法などの改正につながる可能性があることについても説明はいただきました。その際はまだ事務方レベルの検討段階でございましたので、事務方の説明は聞きおきましたけれども、その検討を進めるということについては了解をいたしております。
なお、私は、8月10日に大臣に就任して以来、原子力委員会の基本的な考え方、これが改正される年であるということで、原子力委員会での議論はその都度かなり細かくフォローをしてまいりました。
○岩渕友君 資料を御覧いただきたいんですけれども、これは、規制庁とエネ庁の面談で、この法案の改定に向けた面談の中で資源エネ庁が資料として作成したものなんですけれども、エネ庁は既に7月28日の段階で基本法の改正や今のこの改正案に近い形での案を示しているんですよね。
それで、10月14日の段階ではまだ改定の可能性があるという段階だという認識だったんだというふうに思うんですけれども、この改定に向けて、指示を大臣が出したのはいつのことなんでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 先ほど言いましたが、10月14日にその可能性があるという状況については聞いておりました。その後、11月21日にも説明を受けております。
その後の検討状況について説明があったんですが、私からは、法律改正の方向性については了解をした上でではございますが、幾つかの条件を付けております。特に、運転期間に関する規制について、この推進側と規制側それぞれの判断が混乱を招かないように明確に整理をしてくださいよということ、それから、原子力発電事業、これを安定的に行うということは、つまり安全性をしっかりと確保できる体制を事業者が持つということになりますから、そのための事業環境は整備すべきだということ、それから、やはりバックエンド、放射性廃棄物の最終処分、ここにしっかり対応すべきといった点を事務方に指摘をいたしました。
特に、私は、やっぱり原子力発電を仮に使うんであれば国がもっと前面に出てしっかりと責任を持つべきだという考え方でございますので、この原子力基本法の改正案にも入っておりますが、国の責務というところを明記いたしました。
11月の時点での私の指示は先ほど申し上げた3点、それから、国が前面に出るということをもうちょっとしっかりと明確にすべきではないかという話をしたということでございます。
○岩渕友君 この法改定に向けて、エネ庁と内閣府との間でも面談いろいろ行われてきているんですよね。それで、内閣府の担当者というのは経産省からの出向だということがこれまでの委員会の質疑の中でも明らかになっているんです。
それで、今回の基本法の改定というのは、これ経産省から内閣府に持ち込まれたものなんじゃないのかと、こうした説明の経過を見ても、経産省から内閣府に持ち込まれたものなんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) それは違うと思います。内閣府というのは、残念ながらそのプロパーの職員数、限られております。定数もかなり厳しいものですから、各省からの出向者たくさんおります。経済産業省からの出向者、文部科学省からの出向者もおります。
でも、別にそれは、経済産業省から持ち込まれたというよりは、私自身は、就任以降、この5年に一度基本的考え方の見直しをするという物すごく大事な時期にありましたので、この原子力委員会での議論というのは大変関心を持って、その会議の都度しっかり資料もいただいて見ておりましたし、その都度私の考え方も秘書官や説明者に対して申し上げておりました。
ですから、これは、やっぱり原子力基本法というのは上位法ですから、やはりこの原子力の利用ということで、例えば電事法を改正するということであればそれにしっかりと上位法としてルールを定める、こういった取組というのは必要だと私自身も考えておりましたし、経済産業省から持ち込まれた話という理解は全くいたしておりません。
○岩渕友君 そもそもエネ庁が作ったこうした改正案があって、こうしたものが大臣の説明の中でも示されてという中で、今の答弁を聞いても、経産省がやっぱり主導をして、今回の法案というのは原発回帰を大きく進める法案ですよね。そして、原子力基本法にまで手を突っ込むというような、こういう改悪の中身になっているわけですよ。
今の答弁聞いても、やっぱり経産省が主導してこうした流れを進めているとしか思えないんですけど、いかがでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 経済産業省が主導してということなんですけれども、内閣府としては、私は内閣府の大臣でございます。で、資源エネルギー庁からも説明は受けております。それは、電事法などの改正をする可能性があるということで説明は受けておりますが、説明は聞きおいたのみでございまして、特に資源エネルギー庁に対して何か私が指示を出せるわけでもございませんし、そういうことはいたしておりません。あくまでも内閣府の職員に対して私は自分の意見を言い、こういった方向でやるべきじゃないかということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
○岩渕友君 質疑時間が短くてこれ以上やり取りできないんですけど、今のやり取りしただけでも、この原子力基本法の改定のその問題点や何で改定されたのかという経緯とか、そういったこと明らかにならないと。まだまだ議論が必要です。
それで、今度の法改定に当たっては、何で原子力だけが特別扱いなんだと、再エネ主力電源化と言いながら、何でこういう特別扱いになるのかということで批判の声も大きく上がっています。
この原子力基本法の改悪は認められないということを述べて、質問を終わります。