テーマ:①再エネ導入阻む 原発固執の問題(対総理質疑)
②事業者言いなりの原発推進等5法案
(議事録は後日更新いたします)
脱炭素などを口実に原発回帰に大転換する原発推進等5法案(GX電源法案)が30日の参院経済産業委員会で、自民、公明、維新、国民など各党の賛成多数で可決しました。日本共産党と立民は反対。同法案は原発の活用を「国の責務」とし、60年超の原発の運転期間延長を可能にするもの。日本共産党の岩渕友議員は質疑と討論で、法案は原子力産業を手厚く支援・保護するもので、「原子力産業救済法にほかならない」と厳しく批判しました。
大手電力会社や原子炉メーカーなどで構成する日本原子力産業協会(原産協会)は、原発新増設への事業環境整備や革新炉の技術開発への支援拡大を求める提言を発表しています。岩渕氏は、5法案のうち原子力基本法の改定案に、国の基本的施策として同じ内容が規定されているとし、「原産協会の提言通りであり、原発への支援そのものではないか」と追及。西村康稔経済産業相は、改定案は「公開の議論」や「適切なプロセス」を経て決定されたなどの言い訳に終始しました。
岩渕氏は、原発事故後、国民的な議論をへて安全規制として「運転期間は40年」と規定されたと述べ、「運転期間を60年、70年超さえ可能とする仕組みは言語道断だ」とただしました。
また、政府が原発に固執する結果、大手電力会社が再生可能エネルギーの出力を抑制していると指摘。世界の主流は、温室効果ガス削減効果が高く、発電コストも安い再エネであり、原発依存は石炭火発固執と一体で「世界の気候変動対策の流れに逆行するだけでなく、足を引っ張っている」と批判。岸田文雄首相は、エネルギー危機を口実に、「再エネか原子力かの二元論ではない」と原発回帰を正当化。一刻の猶予もない気候危機対策に背を向けました。
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
総理は、エネルギーの安定供給、脱炭素のためにあらゆる選択肢を確保することが重要だと述べています。東京電力福島第一原発事故を起こした日本でこそ原発をやめて、省エネと再生可能エネルギーの大量導入に力を注ぐべきです。
大手電力による再エネ事業者に対する出力抑制が相次いで、再エネのポテンシャルは環境省の試算で現在の発電電力量の2倍あります。発電コストは、IEAの分析で原発の方が再エネよりも高いことが示されています。また、IPCCの最新の報告書で、2030年までの対策を考えた場合、原発はコストが高く、温室効果ガスの削減ポテンシャルは小さいとしています。
総理、それでもなお原発にしがみつくのでしょうか。そして、原発に固執をし、石炭火力を温存し続ける日本の気候変動対策は世界の流れに逆行をしている、足を引っ張っているのではないでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、歴史上初の世界エネルギー危機と言われている状況に直面する中で、こうしたこの情勢の変化を踏まえますと、この国民生活や産業の基盤となるエネルギーを気候変動問題への対応と両立する形で将来にわたって安定的に供給する体制を構築していく、そのために省エネ、再エネ、原子力などあらゆる選択肢を確保する、これが重要であると申し上げております。
このエネルギー安定供給を確保しながら脱炭素に向けた取組を加速するためには、この再エネか原子力かといった二元論ではなくして、これ利用可能な脱炭素電源、これをしっかり活用していく、こうした方針で臨んでいくことが重要だと思っています。
そして、委員の方から、この日本の政策、これ世界の潮流に逆行するものではないかという御指摘がありましたが、先ほども質疑の中に出ておりましたが、やはり各国の事情に応じた多様な道筋がネットゼロという共通目標につながっていく、こうしたことがサミットでも確認をされました。GX各国の中で我が国を含む5か国は、再エネ最大限活用することに加えて原子力も活用する方針、これを示しています。
こういったことから、世界の潮流に逆行する、こういった指摘は当たらないと考えております。
○岩渕友君 原発が再エネの導入を妨げているんですよ。原子力に依存してきた結果、石炭火力で穴埋めをし、CO₂の排出量を増やしてきたのが実態です。IPCCの最新の報告書は、今のペースで温室効果ガスを排出し続ければ2030年に排出限度に達するというふうに警告をしていて、一刻の猶予もない下で、G7の中で唯一石炭火力発電の廃止期限を決めていない日本で行われたG7サミットの首脳コミュニケでは、日本の強い反対で石炭火力発電の全廃時期が盛り込まれず、国際社会から孤立し、批判が強まっているという状況です。
先日、お話を聞いた大学生からは、GX基本方針は、原発や化石燃料の使用を長引かせ、再エネの導入を妨げる中途半端な見せかけの気候変動対策だと感じる、気候変動の被害に既に苦しんでいる人の声、将来世代の声に耳を傾けてほしいと、そういうお話がありました。こうした声を聞くべきであるし、将来世代にツケを回すことはやめるべきです。
5月10日の本会議の質疑で、総理に、また安全神話に陥って再び事故を起こしたら責任を取れるのかと、こういうふうに尋ねました。けれども、総理の答弁はありませんでした。
総理は、東京電力福島第一原発事故をどう認識しているのか、再び事故を起こしたら責任を取れるのでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、東電福島第一原発において炉心溶融に至った直接な原因は、津波により全ての交流電源が喪失し、原子炉を冷却する機能を失ったことであると認識をしています。
また、この事故後に国会に設置された国会事故調が公表した報告書の中では、事故の根本、根源的な原因として、規制当局が専門性において事業者に劣後していたことなどから、いわゆる事業者のとりことなり、原子力安全について監視、監督機能が崩壊していた、こういった指摘がされています。
これらの反省を踏まえて、この原子力規制委員会が設置をされました。いかなる場合でもゼロリスクではない、こうした観点に立った上で安全性が確認されなければ運転ができない。そして、万一の場合に備えて、住民の方々の避難計画や損害賠償についても反省と教訓を踏まえて政府として枠組みを整備してきた、これらに基づき引き続き対応していくことが政府の責任であると考えています。
○岩渕友君 損害賠償をどんなにやったって取り戻すことができない、それが原発事故の被害だということなんですよ。ゼロリスクはないって言いながら原発を推進することこそ、安全神話そのものです。
私は福島での公聴会求めてきました。被害者の声を聞くべきであり、原発回帰の本法案は認められないということを述べて、質問を終わります。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
先ほど、村田委員が原子力基本法に関わって質問をしたのに対して、分からないという答弁がありましたよね。私、ずっと高市大臣がこの委員会に来て答弁するべきだというふうに求めてきたわけなんですけれども、GX担当が答えるからそれで十分なんだというふうにずっと言ってきているんですよね。だけど、結局分からないというのはちょっと余りにもお粗末なんじゃないのかなというふうに思うんですけど、大臣、先ほどのやり取り見ていかがだったですか。
○国務大臣(西村康稔君) 済みません、通告がなかったんではないかというふうに思いますので、ちょっととっさにああいう答弁をしたんじゃないかと思いますが。
私の理解を申し上げますと、原子力基本法の第1条にですね、まさに、(発言する者あり)ええ、いや、原子力の利用、研究、開発、利用を推進することによって、国民、途中省きますが、国民生活の水準向上などに寄与することを目的とするということで、全体として原子力の安定供給、そしてできる限り安定的な価格で供給するということの含意は含まれているものというふうに思います。
ただ、安定供給とその価格の低廉な供給というのは時によって矛盾することもありますので……(発言する者あり)ええ、そういったところも含めて、私ども、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。
○岩渕友君 勝手に答弁しないでくださいよ。
いずれにせよ、審議不十分だということなんですよ。こんな状況で質疑終局なんてあり得ないということです。
それで、本法案では、2011年の3月11日以降原発の運転が停止をしていた期間は運転期間から除くというふうにされています。現時点でいえば最大12年は運転期間延長できる原発があるということです。
そこで、山中委員長に聞くんですけれども、令和4年、2020年7月29日の規制委員会の見解では停止期間を運転期間から除くことについて何と述べていたかと。2022年の4月7日に衆議院の原子力特別委員会で我が党の笠井亮議員の質問に当時の更田委員長が答弁をしているので、該当部分を紹介してください。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
更田前委員長の国会答弁、該当部分読み上げさせていただきます。
ATENAの要望をはねつける見解となっております。停止期間を40年から除くべきではないかという主張を再三ATENAから求められたのに対して、私たちは、運転開始から40年、時計の針は止めないという旨の見解を述べたものであります。
以上でございます。
○岩渕友君 今答弁あったように、ATENAから停止期間を40年から除くべきじゃないかということを求められたのに対して、時計の針は止めないというのが規制委員会の見解だということです。
これは、山中委員長も同じ見解ということでよろしいでしょうか。
○政府特別補佐人(山中伸介君) お答えいたします。
現行の運転期間延長認可制度につきましては、安全規制の観点からいいますと、長期停止期間中も進展する劣化事象がありますので、運転期間から長期停止期間を除外することはできないという点については私も同じ認識でございます。
○岩渕友君 山中委員長は5月23日の環境委員会との連合審査でも、運転期間の、運転の停止期間は時計の針を止めるべきではないかというふうに問われてきたことに対して、それはできないというふうに一貫して答弁をしてきたと、運転期間は立法の議論だと認識していると、こういうふうに答弁をしています。ところが、同時に、運転期間については利用政策の判断だと答弁をしてきました。そのことを指摘をすると、更田前委員長と同じ趣旨だと、原子力の利用の在り方に関する政策判断という言葉を分かりやすく利用政策の判断と発言したと、こんな答弁しているんですね。
この令和2年7月29日の見解というのは、運転期間は利用政策というふうには書いてはいなくて、原子力の利用の在り方に関する政策判断にほかならず、原子力規制委員会が意見を述べる事柄ではないというふうにあります。見解にはいろいろ書いてありますけれども、ここが結論だということなんですね。
原発事故があったことで国民的な議論が行われて、その結果、政策判断として、原発の運転期間は40年にしようというふうに決まりました。これ、推進側が決めていいということではないんですよね。
資料の1を御覧いただきたいんですけれども、日本原子力産業協会の、これ提言なんです。
原産協会は、日立、東芝、三菱重工といった原子炉メーカーなど、原子力産業の企業で構成をする業界団体です。この原産協会や電気事業連合会、大手電力会社などが会員となっている原子力エネルギー協議会があの先ほど来出てきているATENAというものなんですね。更田委員長は、このATENAの要求をはねつけたと、こういうふうに言っているわけなんですが、この本法案の中身を見てみると、原産協会の提言の中身そのものだということですよね。
これ、結局は原産協会やATENAの要求を丸のみにしているということではないのか、西村大臣にお伺いします。
○国務大臣(西村康稔君) 令和2年7月に行われた運転期間の在り方に関するATENAと原子力規制委員会とのやり取り、あるいは原子力産業協会の提言、これについては承知をしておりますけれども、経産省としては、令和2年7月の原子力規制委員会の見解を踏まえて、あくまでも利用政策の観点から改めてエネルギー庁の審議会で議論を行ってきたところであります。
様々な議論がありましたけれども、最終的に、何度か答弁させていただいておりますけれども、立地地域から高経年化した炉の運転期間に制限を設けないことへの不安の声があり、また東電第一原発の事故を踏まえて制限を設けた現行規定の趣旨を考慮すべきという御意見もございましたので、そうした様々な御意見を総合的に勘案しまして、利用政策の立場から、言わば自己抑制的に40年、20年という現行制度の枠組みを維持しつつ、運転期間のカウントから一定の停止期間を除外することを認めるという政策判断を政府として行ったということであります。
したがって、産業界の要望に基づいて何か停止期間のカウント除外を、案を選択したという指摘で、ことではございません。審議会で様々の意見をいただいて、中には運転期間の制限を設けるべきではないという御意見もありましたけれども、先ほど申し上げたような理由で、政策判断として自己抑制的にこのような規定としたということでございます。
○岩渕友君 今答弁の中で、産業の、業界の要望を取り入れたものではないんだというような答弁ありましたけれども、実際、この提言と法案、こう照らして見れば、事業者の要求を反映した中身になっているということなんですよね。一旦はねつけたはずなのに、結局は事業者の要求の中身が法案になっているじゃないかということなんですよ。
大臣に更に伺いますけれども、これを規制する側が事業者のとりことなる、いわゆる規制のとりこですよね、これ、こういうことがいわゆる規制のとりこということになるんじゃないですか、規制のとりこを指すということになるんじゃないですか。
○国務大臣(西村康稔君) 私どもは、利用政策の観点からも自己抑制的に制限を設けて、40年、20年、プラス、他律的に止まっていた期間はプラスするということで、除外するということで、結果的には動いている期間は60年を超えることはありませんということの、私ども最長でそうした仕組みを入れたところでありますが、一方で、規制委員会は、規制委員会委員長に聞いていただいた方がいいんですけれども、規制委員会は適合性審査を30年を超える場合10年以内ごとに行っていくわけでありますので、この規制、新規制基準に適合しないと、合格しないと運転できないということでありますので、何か、事業者の要望を踏まえて何かしているとかということでは全くないと、規制委員会のこの審査に合格しないと運転できないという厳しい規制の下で、私ども、認められたものだけが運転できるという、そういう制度を導入するものであります。
○岩渕友君 この原産協会の5つの提言というのは、全てGX実行会議での総理の指示そのものでもあるんですよね。
資料の2を御覧いただきたいんですけれども、これは今年2月の衆議院の予算委員会で、総理は原発事故の本質的な原因への認識を問われて、資料にあるような答弁を行っているんです。事故の根源的な原因について、国会事故調の報告書を引いて、規制当局が専門性において事業者に劣後していたことなどから事業者のとりことなり、原子力安全についての監視、監督機能が崩壊していた旨指摘をされているというふうに答弁をしています。
西村大臣も、この総理と同じ認識でしょうか。
○国務大臣(西村康稔君) まさに私も同じ認識であります。一致しているところであります。
その上で一言申し上げれば、まさに経済産業省において、この事故以前は原子力の規制と利用が一体的に行われていたということであります。原子力安全の監視、監督機能が十分でなかったということ、このことが私も事故の根源的な原因の1つであるというふうに認識をしております。
そのために、安全神話に二度と陥らないということを肝に銘じて、当時、原子力規制委員会、独立した規制委員会を設立などを進めてきたわけであります。今回もその安全神話に陥らないということ、そして、利用と規制をしっかり分けるということで、条文上の整理を改めて整理させていただいたということでありますので、是非御理解いただければというふうに思います。
○岩渕友君 資料の三を御覧ください。
これは、先ほどの総理の答弁の基になっている国会事故調の結論なんですよね。線を引いてあるところを見ていただければというふうに思うんですけれども、歴代の規制当局と東電との関係においては、規制する側と、規制する立場とされる立場の逆転関係が起きて規制当局が電気事業者のとりことなっていたと、その結果、原子力安全についての監視、監督機能が崩壊していたと見ることができるというふうにするものです。
規制する側が事業者のとりこになっていたと、安全神話に陥っていたことを反省して教訓としたはずなのに、この法案の中身は、今日の審議だけ見たって安全神話の復活そのものなんですよね。安全神話に陥っていたことを盛り込んだ原子力基本法の改定案は、原子力を推進することを国の責務として、国が取るべき基本的施策ということで、原発技術の維持と開発の促進、原子力産業基盤の維持強化、原子力産業の安定的な事業環境の整備とあります。
資料の1、もう1回見ていただきたいんですけど、今述べた国が取るべき基本的施策というのは、この原産協会の提言のまさにこの3であり4であるわけですよね。もうまさにこの提言の中身そのままなんですよ。
大臣に伺いますけれども、結局は、本法案は原産協会の提言どおりということじゃないかと、これ、原発への支援そのものじゃないのかというふうに思いますが、いかがですか。
○国務大臣(西村康稔君) 今般の原子力基本法の改正については、原子力規制委員会が今年の2月20日に決定した原子力利用に関する基本的考え方の内容に基づき策定したものと規定しているものでございます。
その考え方においては、十分な安全対策など、安定的な発電事業の実施に向けて、バックエンドを含む事業環境の整備や予見性の改善に向けた措置、そして原子力の安定的な利用の基盤となるサプライチェーンに対する支援などを国が行うべきとした上で、原子力利用に当たっての基本原則は法令などで明確化することが望ましいとされているところであります。
これらの議論は原子力委員会における公開の議論を経て決定された内容を踏まえて、決定されたものでありまして、その内容を踏まえて、原子力基本法改正案では原子力利用に当たっての国が講ずるべき基本的施策について明記がされているところであります。
こうして、今回の法改正においてもですね、ついても、適切なプロセスを経てその内容を決定したものであります。特定の団体の提言に従って法律の内容を定めているという指摘は当たらないものというふうに思います。
○岩渕友君 いろいろ答弁いただいたんですけど、結局は原子力産業の要請に応えて原発を支援する中身がこの法案だということです。原発事故の反省や教訓どころか安全神話そのものだということを厳しく指摘しておきたいと思います。
この法案ですけれども、いろいろ審議してきましたけれども、まだまだ論点がたくさんあるんですよね。こんな状況で質疑の終局、採決ということは認められないということを述べて、質問を終わります。
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、原子力基本法等5本の束ね法案、すなわち原発推進等5法案に反対の討論を行います。
東京電力福島第一原発事故から12年、事故は収束せず、被害は深刻化しています。事故により地域社会、人生そのものを奪われ、苦しみは生涯続く、福島で地方公聴会をとの訴えに背を向け原発推進に大転換する本法案に、全国から怒りの声が上がっています。
反対理由の第1は、脱炭素と安定供給を口実に原子力基本法を改定し、原発の活用を国の責務と明記し、将来にわたり原発を活用し続ける法的枠組みを作るものだからです。
その内容は、原子力産業の安定的な事業環境整備を新設するなど、原子力のみを手厚く支援、保護するもので、原子力産業救済法にほかなりません。この改定が経済産業省が主導、介入して行われ、原発利益共同体の要求を丸ごと法定化する内容になったことは、許されるものではありません。
反対理由の第2は、原発の運転期間を40年に制限する原則を投げ捨て、原発事故の反省と教訓から定められた推進と規制の分離を踏みにじるものだからです。
運転期間の制限は、原発事故を背景に、国民的議論を経て、老朽原発の安全規制として導入され、立法政策として40年と定められました。ところが、経産省と原子力規制委員長は、運転期間の定めは安全規制ではない、利用政策の判断だというごまかしの答弁に終始し、立法の趣旨も解釈も根本的にねじ曲げていることは極めて重大です。
原子炉圧力容器等の設計寿命は40年であり、停止している期間も経年劣化は進み、安全上のリスクは増大します。本法案によって、老朽原発の運転期間を60年、70年超さえ可能とする仕組みは言語道断です。しかも、延長回数の限度はなく、規制委員会の長期施設管理計画の認可制度はこれまで行われてきたものを法定化するものにすぎず、事故の危険性を減らすことにはなりません。
反対理由の第3は、原発を推進することが再生可能エネルギーの導入を阻害し、石炭火発の温存につながるからです。
国連IPCC報告のとおり、一刻の猶予もない気候危機の下、日本政府のGX基本方針に対し、見せかけの気候変動対策と、若い世代を始め、全国の国民、アジア、世界中から批判の声が上がっています。CO₂削減効果が高く、発電コストも安い再エネこそ世界の主流です。
原発ゼロを決断し、地域経済、雇用創出にも資する再エネ導入を文字どおり最優先することを求め、反対討論とします。