経済産業委員会

ガソリン補助金のあり方見直せ/元売大手・大商社は莫大な利益還元せよ(経産委)

2023年11月9日(木) 参議院 経済産業委員会「西村康稔経産大臣の所信的挨拶を受けての質疑」
テーマ:ガソリン補助金のあり方見直せ/元売大手・大商社は莫大な利益還元せよ
(議事録は後日更新いたします)


 「物価高騰対策」の一環として政府が行っているガソリン補助金の効果に疑念が高まっています。9日の参院経済産業委員会で日本共産党の岩渕友参院議員がこの問題を取り上げました。

 ガソリン価格は、新型コロナウイルス感染症の拡大緩和による需要増やロシアのウクライナ攻撃による供給困難に加え、円安の加速などを背景に2021年7月ごろから、急激に上昇。政府は「激変緩和対策」として22年2月以降、石油元売り会社に対し補助金を交付し、小売価格を抑制するとしています。制度開始以降、数次にわたり期間を延長するとともに、支給単価の上限を上げ、今年9月末までに6.2兆円が計上されています。
 会計検査院が7日に公表した22年度決算検査報告ではこのガソリン補助金の全額が抑制額に反映されていないと指摘しています。
 岩渕議員の調査によると、今年8月末時点で6.2兆円のうちすでに3.6兆円が34社の補助金対象企業に交付されています。しかし、どの企業にいくら支払ったのか、その全額を国は依然、明らかにしていません。こうしたもと、石油元売り大手のエネオスHD、出光興産、コスモHDは3社合計で当期純利益を20年度の2348億円から22年度は4653億円へと倍加、商社大手の三菱商事、三井物産、伊藤忠、丸紅は1兆1327億円から3兆6548億円へと3倍化しています。岩渕議員はこうした事実を取り上げ、次のように迫りました。
 「原油価格の上昇と円安で棚ぼた式に利益を増やしている。これだけの利益を上げ、内部留保を持つ企業なら経営努力でガソリン代を下げるよう求めるべきだ」
 これに対し、西村康稔経産相は「この支援制度を来春までは続けていきたい」とまともに答えませんでした。
 また、総務省「家計調査」によると22年のガソリンへの支出は東京都区部が2万1583円なのに対し、福島市で8万6469円、山口市で10万3120円と地域によって大きな格差があります。岩渕議員は地方では自動車がないと暮らしも経済も成り立たないことや、燃料価格の高騰により運送会社などの倒産が増加していると述べ、「補助金を出すのであれば、地方、中小・小規模事業者、運送業を手厚くするなどそのあり方を見直すべきだ」と求めました。
 西村経産相は「(ガソリン補助金という)このやり方が一番簡素だ」「地方については交付金で支援を講じてもらいたい」と自治体任せの姿勢に終始しました。
 岩渕議員はガソリン補助金のあり方についての検証を重ねて求めて質問を終えました。


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