2020年6月1日(月) 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会
「2020年度ODA調査派遣を受けて」報告と意見交換
ODA 女性参画が鍵
日本共産党の岩渕友議員は1日の参院政府開発援助等に関する特別委員会で、今年1月に参院でアルゼンチン、ペルーを調査したことを踏まえ、意見表明と質問を行いました。
岩渕氏は、アルゼンチンで訪れた大気観測所のプロジェクトを紹介しながら、環境保全の重要性にふれ、日本ではインフラシステム輸出戦略の下で石炭火力発電へ公的支援を行っていることを指摘。気候変動対策に寄与するためにも再生可能エネルギーへの支援の重要性を強調しました。
また、昨年12月に同国で新政権が発足、女性・ジェンダー・多様性省が新設されジェンダー平等を重視していることを紹介。ODAにおけるジェンダー平等の重要性について質問しました。
鈴木馨祐・外務副大臣は、経済発展に際して女性参画が鍵を握っているとし、「具体的な支援として大きな柱のひとつとして(積極的に)進めていきたい」と答えました。
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
2020年6月1日(月) 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
私は、第四班の一員として、堀井委員、松山委員とともに、アルゼンチン共和国、そしてペルー共和国に派遣をしていただきました。今日は、派遣を通じて感じたこと、そして意見を述べるとともに、鈴木副大臣に三点お聞きしたいと思います。
国際社会が持続可能な開発目標、SDGsを掲げる中で、日本のODAは、基本的人権の保障、貧困の解消、格差の是正、男女平等、社会的に立場の弱い人々の保護、環境の保全といった課題に優先的に取り組むこと、途上国の自主的、自立的発展と世界の平和に寄与するものであることが求められていると考えます。
環境の保全に関わって、アルゼンチンでは、大気観測に関わるプロジェクトについて観測所にも伺って、関係者の方々にお話をお聞きしました。オゾン層の破壊、温暖化、都市の大気汚染など、大気環境の変化は、生態系や人類への影響、深刻な環境問題となっています。世界的に見てこの南米地域は大気観測の空白地域となっていたんですけれども、十五年前に観測所が立ち上げられて、日本の研究者とも協力をしながら観測が進められてきました。観測所はアルゼンチンの南端にあるんですけれども、南極に近い地点だということで、オゾン層を継続的に観察できることの意義は大きいと、大気への理解を深めていくためにも重要だということでした。
また、突然の交通事情で行くことはできなかったんですけれども、ペルーでは太陽光発電の視察も予定をされていました。
世界的に気候危機と言われる事態への対策が喫緊の課題となるその一方で、インフラシステム輸出戦略の下で人権侵害や環境破壊が現地から訴えられる石炭火力発電の建設にJICAが関わっています。これ、環境保全とともに、気候変動への対策に寄与するためにも、再生可能エネルギーへの支援が重要ではないでしょうかということが一点目です。
次に、ペルーでは、施設の建設や医療機材の整備などを行った医療機関を二つ訪問をしました。アルゼンチンでも、先ほど団長から話が、報告があったように、保健医療分野での日本の支援に対する期待は大きいものがあります。
グローバル化が進む中で、国際社会全体が協力して取り組むべき課題の一つに感染症の問題があります。今回、新型コロナウイルスの感染が世界中に広がったことは、その重要性を示すものとなったと思います。こうしたことから考えて、医療分野などへの支援を強める必要があるのではないでしょうか。これが二点目です。
最後に、アルゼンチンでは昨年十二月に新政権が発足をしました。その下で女性・ジェンダー・多様性省というものが新設をされて、政府が女性の権利を守る運動と協力をしながらジェンダー平等を重視する、こういった姿勢を見せています。
ジェンダー平等について、先ほどもありましたけれども、このジェンダー平等が日本にとっても非常に重要な課題になっていますけれども、ODAにおけるジェンダー平等の重要性についてどのように考えるでしょうか。
以上、三点について伺いたいと思います。
○副大臣(鈴木馨祐君) どうも御指摘をありがとうございます。
三点、石炭の問題、そして医療、特に感染症の問題、そしてジェンダーの問題ということで今御質問いただいたところであります。
まず、石炭ということでありますけれども、今ちょうど次期のインフラシステム輸出戦略の骨子の策定に向けて各省庁で議論をしているところであります。この議論につきましては、今年現在、今現在の議論ということなので、今現在のエネルギー基本計画の下でどのような展開ができるのか、あるいはするべきではないのか、そういった議論を進めているところであります。
日本として、基本的な方針としては、やはり日本として、こうした地球環境の問題、特に気候変動の問題については、長期的な脱炭素化に向けてきちんと取組を進めていくということがまず大前提であります。
そして、当然、それはインフラの輸出においても、基本的には再生可能エネルギーであったり、あるいはそうした環境の負荷がなるべく少ないものを、そういったものを軸にしていくということであります。ただ、その一方で、どうしてもほかにオプションがないというケース、そのケースについては、従来であれば石炭のそういった高効率のものについての輸出ということを行ってきたところであります。
ただ、当然、これはいろんな様々な論点が問題であって、当然、世の中の状況というものあるいは国際世論というものも常々変化をしているところでありますので、今回のこの策定に向けた各省の協議においても、そういったあるべき方向にしっかり進んでいくことができるように適切な議論を進めてまいりたいと思っております。
そして、医療についてでありますけれども、感染症、特にこれ今回の新型コロナということで申し上げれば、確かにアフリカ等々の地域ではまだ感染が広がりつつありますけれども、例えばヨーロッパであったりあるいはアメリカに比べてまだという状況でありますが、しかし同時に、ほかの感染症の医療のアクセスというものができていない等々の問題もあります。
特に、脆弱な方々がしっかりそうした感染症対策にアクセスをできるということ、これは薬であったり、あるいはワクチンであったり、あるいは医療機器であったり、そういった様々な、それぞれのレベルに応じた支援というものをきちんとしていくということが一つ日本の今目指しているところでもありますし、同時に、これUHCということで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジということでこれまでも日本が主体的に進めてきた動きがあります。
それは、やはりこうした当面の医療のアクセスということに加えて、それぞれの国においてどう医療システムというものをしっかりとつくっていくことができるのか。そういった長期、そして中期、短期と、それぞれを見据えた支援というものを体系立ててやっていこうということで、今G7であったりあるいはG20でもしっかりそういった方向というものがシェアをされている状況ですので、これは国際的にも連携をしながら日本がしっかりと旗を振って進めてまいりたいと思っております。
そして、ジェンダー、女性でありますけれども、これ大変大きな問題であろうと思います。特に、その国の経済発展ということを考えたときには、やはり女性の参画というもの、これが非常に鍵を握っている、そしてその状況に届いていない国が多々あるというのもまた事実だと思います。
そうした中でありますから、こうしたジェンダーについても、どのようにそこを積極的に進めていくことができるのか。先ほどアフリカの例もありましたけれども、具体的な支援としてそういったところについても大きな柱の一つとして進めていきたいと考えております。
以上です。