「東日本大震災・原子力災害伝承館」(福島県双葉町)へ行きました。同館をめぐっては、語り部の活動マニュアルに「特定の団体」を批判しないことを求める記述があり、ここに国や東京電力が含まれるとされ、問題になっています。
伝承館の役割は、二度と原発事故を起こさないために被害の実相をありのままに伝えることのはず。語り部が語りたいことを語れない、などということがあってはなりません。
生業(なりわい)訴訟の仙台高裁の判決は、国を厳しく断罪しました。ところが国と東京電力は、被害者の声に背をむけ上告しました。東京電力はもちろん、国が自らの責任を認めることが、原発事故を繰り返さないことにつながると思います。国は責任を果たせと引き続き求めていきたい。
もう一つ印象的だったのは、事故前に行われていた体験学習記録集の展示です。そばに原発立地によっていかに人口が増えたかを示すグラフもありました。
「一番すごいなあと思ったことは生活が豊かになったという話」「貧しい生活から豊かな生活へ地域が変わってきた」といった感想を読みながら思ったのは、「核のごみ」をめぐって首長が「文献調査」に応募した寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村のことでした。
住民に分断をもち込み、原発のツケを地方に押し付けるやり方をやめること、何より原発ゼロの決断を国に厳しく迫っていきたいと思います。
しんぶん赤旗コラム