日本共産党の岩渕友議員は24日の参院沖縄北方・地方特別委員会で、アイヌ施策推進法にかかわって質問し、千島や樺太にルーツをもつアイヌの人もアイヌ施策推進法(2019年施行)の対象となるのかと政府の認識をただしました。
岩渕氏は、昨年イギリスから返還された遺骨3体はどこに返還されたのかと質問。渡邊輝内閣官房アイヌ総合施策推進室室長は、釧路アイヌ協会に1体を返還し、2体は国立アイヌ民族博物館(ウポポイ)にあると答えました。
遺骨返還にあたっては、遺骨返還手続きに関するガイドラインが定める「確実な慰霊等」の要件を満たす必要がありますが、負担が重く返還要請を断念せざるをえない状況があります。岩渕氏は、国連の「先住民族権利宣言」で遺骨の返還は権利として認められているとし、この精神に沿って遺骨返還要請を進めるよう求めました。
同推進法の施行から5年後の見直し規定を受け、昨年6月にラポロアイヌネイションや静内アイヌ協会などが提言書を提出。自然資源の利用にあたり、森林法などの改正も求めていましたが、政府は昨年見直しを見送りました。
221-参-沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会-003号 2026年04月24日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
根室市のハッタラ浜にある根室国後間海底電信線陸揚施設、通称陸揚げ庫というふうに言われていますけれども、ここは、かつて根室が国後島とつながっていたことを示す、本土に残る唯一の建造物です。歴史のある建造物で、将来的な保存と活用を目指して、根室市が二〇一三年に土地と建物を取得した後、二〇一八年には、活用整備事業として現地に案内板と多言語対応アプリを活用した説明板を設置するなどの取組が進められてきました。その後、二〇二一年七月に文化審議会が国の登録有形文化財への登録を文部科学大臣に答申をし、その年の十月、北方領土関連施設として初めて国の登録有形文化財となりました。
我が党の紙智子前参議院議員は、二〇一三年五月の当委員会、当時は沖縄北方特ということでしたけれども、ここで、陸揚げ庫は非常に歴史的な建造物であり、その重要性や啓発の事業にとっても大きな資産になるということを指摘をして、いち早く保存を求めました。で、当時の山本一太担当大臣が、内閣府として検討したいというふうに答弁をされました。
昨年三月、根室市は、この陸揚げ庫の保存活用計画を策定しています。今年度、根室市の計画では、護岸擁壁整備実施設計に二千百九十七万八千円を計上しています。国、道、根室市、それぞれの負担がどうなっているのかを教えてください。
○政府参考人(梶山正司君) お答え申し上げます。
お尋ねの根室国後間海底電信線陸揚施設につきましては、文化庁において、令和六年度より根室市が行う公開、活用に向けた整備に対する支援を行っているところです。
本年度は根室市が策定した保存活用計画に基づく護岸設備の実施設計が予定されているところ、文化庁において事業費の六五%を補助することとしております。
○岩渕友君 今答弁にあったように、国は六五%ということで、残りの三五%を道と根室市が半分ずつ負担をするということになります。
根室市によれば、護岸整備実施設計、護岸整備、覆い屋の実施設計、覆い屋工事で、昨年十月時点で約一億五千万円から六千万円を想定しています。
ところが、昨今の物価高騰や資材不足が今後の計画に影響する可能性があります。上振れ分の手当てはされるのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(梶山正司君) お答え申し上げます。
御指摘につきましては、今後、根室市において整備を行うに当たり、物価高騰の状況を踏まえた積算に基づいて申請をいただくとともに、年度の途中において事業費が増加する等の影響が生じた際には、年度計画、計画変更を申請していただくことで、資材高騰等に対応した支援が行えるものと考えております。
いずれにいたしましても、引き続き、根室市からの相談に応じて助言を行い、必要な支援を行ってまいります。
○岩渕友君 今の答弁では、計画を変更申請すれば対応されるということでした。それを確認したということです。
この陸揚げ庫に、二〇二四年の沖北特の委員派遣で訪問をしています。行かれた方もいらっしゃるというふうに思うんですね。バスが止められる駐車場がなくて、窓から視察をするということだったというふうに聞いています。この施設の保存に当たっては、施設の保全だけではなくて、周辺含めた全体の課題を見る必要があるというふうに思うんですね。
根室市の保存活用計画で、駐車場の整備を来年以降、予定しています。かつて根室と国後、択捉がつながっていたことを示す重要な施設であり、それは国にとって重要な施設ということになるわけですよね。
なので、根室市の負担が重くなり過ぎないように検討をいただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(梶山正司君) お答え申し上げます。
御指摘の駐車場の整備について、これまでに根室市から文化庁に対して具体的な相談はいただいていないところでございます。
今後、根室市からの相談がありましたら、御相談の内容に応じて必要な対応を検討してまいります。
○岩渕友君 相談がないということでしたけれども、相談があれば対応いただけるということでよろしいんですよね。
○政府参考人(梶山正司君) お答え申し上げます。
今後、根室市からの相談がありましたら、御相談の内容に応じて必要な対応を検討してまいります。
○岩渕友君 是非検討いただきたいというふうに思います。
それで、この隣接地域の啓発施設はどこも老朽化をしているわけですよね。今、そのリニューアルであるとか建て替えが必要な状況になってきているということです。
それで、今年度の予算では、標津町の北方領土館の建て替えに向けた基本構想や基本計画、これは前回の質疑のときに取り上げましたけれども、基本構想や基本計画、そして根室市の北方館、羅臼町の国後展望塔にも老朽化対策予算が計上をされました。
それぞれどのくらいの予算が計上をされたのか、教えてください。
○政府参考人(三浦健太郎君) お答え申し上げます。
令和八年度予算におきましては、標津町の北方領土館の建て替えに向けた基本構想、基本計画の策定経費として二千万円を計上しているところでございまして、令和七年度補正予算におきましては、根室市の北方館、羅臼町の羅臼国後展望塔の老朽化に伴う改修工事の経費として一億二千三百万円を計上しているところでございます。
○岩渕友君 このうち根室市の北方館は、元島民の方が設置をしました望郷の家とつながっているんですね。老朽化対策は併せて実施をする必要があるというふうに思うんですよ。
今後、建て替えをするとかリニューアルをするということに当たっては、啓発活動はもちろんなんですけれども、地域の発展など、その地域のニーズであるとか元島民の皆さんの要望などを積極的に取り入れていくという必要があるというふうに思うんですね。
根室市の北方館は、その望郷の家と一体に元島民の方や住民の皆さんのよりどころとなっているし、今後、観光であるとか修学旅行でも利用したくなる施設へと発展をさせていけるように、建て替えやリニューアルは国の責任で一体的に取り組んでいくべきだというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 御指摘のとおり、令和七年度補正予算による北方館の改修工事においては、北方館と望郷の家は建物がつながっていることから、北方館の安全性の確保等に必要な範囲で望郷の家についても改修を行うこととしております。
北方領土隣接地域に所在する啓発施設については、その在り方等について、令和七年度からの北方領土隣接地域における地域一体となった啓発促進策についての調査研究において、地元の御意見も慎重に伺いながら検討しているところでございます。
御指摘の北方館も含め、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。
○岩渕友君 今、大臣の答弁の中で地元の意見も踏まえてというお話ありましたけれども、この地元の皆さんの声や地域のニーズを踏まえて進めていただきたいというふうに思います。
北方対策本部の重点課題には、隣接地域における地域一体となった地域振興にも資する啓発促進策の検討というふうにあるんですね。標津町の北方館を皮切りに、隣接地域の文化遺構や啓発施設を住民や自治体と一緒に地域の発展に資するものとしていくということが求められていますので、隣接地域の発展のために予算を是非確保していただきたいですし、国の責任で一体に取り組んでいただきたいということを重ねて求めておきたいというふうに思います。
次に、隣接地域には千島や樺太のふるさとを追われたアイヌの方々も居住をされています。ルーツが千島や樺太のアイヌの皆さんは、アイヌ施策推進法におけるアイヌとして認められているのかどうかということを確認したいと思います。
○副大臣(津島淳君) 岩渕友委員の質問にお答え申し上げます。
アイヌ施策推進法は、法の第一条、目的規定にあるように、アイヌの人々が日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるとの認識を示すとともに、アイヌ文化の振興、アイヌの伝統等に関する知識の普及啓発等に関する施策を推進すること等により、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重され、全ての国民が共生する社会の実現に資することを目的とした法律でございます。
御指摘の件につきましては、本法において、アイヌの人々や地域を特定し、特別な権利を与えるものではないことを前提とした上で申し上げますが、本法に基づくアイヌ文化の振興等に関する施策について、対象地域を限定しているものではございません。
いずれにしても、政府としては、御指摘の地域を含め、アイヌの人々の誇りが尊重される社会の実現に向けて、引き続きアイヌの人々の御意見等を丁寧にお聞きしながら、総合的な政策の推進に努めてまいります。
○岩渕友君 アイヌ施策推進法の対象になるということですよね。
隣接地域に住まわれているアイヌの方々にも政府として当然関心を持たれていらっしゃるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(津島淳君) 繰り返しになりますが、アイヌ施策推進法が特定のアイヌの人々や地域というものを捉まえて特別な権利を与えるものではないということをまず前提とした上で、特に対象地域を限定してアイヌ文化を振興等に関する施策を進めようということではないということ、繰り返しではありますが、しっかりと答弁をさせていただきます。
その上で、アイヌの人々全体に対して、この法律を通じてしっかりした施策を行っていかなければいけないという認識でおります。
○岩渕友君 ありがとうございます。
それで、昨年、イギリスからアイヌ民族の御遺骨が三体返還をされました。現在この御遺骨はどこにあるのでしょうか。
○政府参考人(渡邊輝君) お答えいたします。
令和七年四月にイギリスから返還された三体のアイヌの御遺骨につきまして、二体の御遺骨はウポポイへ、それから一体の御遺骨は出土地域の団体である釧路アイヌ協会へ返還されてございます。
○岩渕友君 二体については今ウポポイにあるという御答弁でした。
それで、事前のレクでは、二体については地域からの返還の要請がないということだったんですね。それで、海外から返還された遺骨は、海外に所在するアイヌ遺骨等の返還手続等に関する要項に基づいて行われていますけれども、一体しか返還はされていないわけですよね。これはガイドラインに問題があるんじゃないのかなというふうに思うんですよ。
アイヌは、お墓を作るわけではなくて、コタンというアイヌの集落の土に返すというのが習慣です。返還には確実な慰霊等が求められています。祭祀や供養方法などを決めた書類を提出するよう求められるということでもあります。確実な慰霊をすることが難しい地域もあり、負担が重過ぎるという意見も出されています。だから、なかなか地域から要請が難しいというような状況もあるのかなというふうに思うんですね。
遺骨の返還は、国連の先住民族権利宣言で認めている権利です。この精神に沿って遺骨返還を進めるよう求めたいというふうに思うんですね。
そして、イギリスから日本への遺骨返還後も、アイヌの皆さんへの返還が見通せずにウポポイで安置とされることがないように、ガイドラインや法律は見直しを引き続き検討すべきだということも併せて求めておきたいというふうに思います。
二〇一九年五月に施行されたアイヌ施策推進法では、五年後の検討が規定されていることを受けて、昨年六月に、ラポロアイヌネイションや静内アイヌ協会の方々などからアイヌ施策推進法の見直しに当たって提言書が提出をされています。この提言書にも、遺骨返還に当たってのガイドラインの見直しが求められていました。
この提言書ではほかにも、推進法の第二条一項で、アイヌ文化は継承されてきた生活様式を含みますとあることから、サケや、アットゥシを作るためのオヒョウニレの皮を剥ぐなど、自然資源の活用に当たって水産資源保護法や森林法の改正なども求められています。ところが、この推進法の見直しは行わないという結果になったわけですね。この見直しは行わないという結果になったことに、皆さん大変落胆をされていらっしゃるんです。
こうした皆さんの要望などをよく聞いて、推進法、ガイドラインの見直し、行うことが必要だということを述べて、質問を終わります。