(資料があります)
日本共産党の岩渕友議員は23日の参院経済産業委員会で、同日の九州電力玄海原発3号機の再稼働強行に厳しく抗議し、再生可能エネルギー普及に背を向ける政府の姿勢をただしました。
岩渕氏は、福島原発事故が収束せず、福島県の発表でも依然5万人が避難生活を強いられているもとでの再稼働は「とんでもない」と強調。東電の川村隆会長が福島民報1月6日付インタビューで、今後20年単位で「使えそう」な原発に福島第2原発を挙げたのも「再稼働を考えているとしか思えない」として、福島県議会が4度も全会一致で可決した意見書が求めるとおり、国の責任で廃炉にすべきだと主張しました。
「東電が自ら判断すべきことだ」と答えた世耕弘成経産相に、岩渕氏は「県民の思いをまったくわかっていない」と批判しました。
さらに、大手電力が再生エネ発電業者との接続を「空き容量がない」と拒否しているのは、未完成の原発や火力発電所の「フル稼働」時の送電容量を経産省の指針に従って「空押さえ」しているためだと指摘。「これでは再生エネ導入が進まない」とただすと、世耕氏は「このままでいいとは思っていない」と認めました。
岩渕氏は、国会史上初めて野党が共同提出した「原発ゼロ基本法案」に言及。原発ゼロの政治決断で「再生可能エネルギーへの大転換を」と迫りました。
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
質問に入る前に、森友学園をめぐる公文書改ざんについて、行政府が国政調査権を持つ立法府を欺いていたということは、民主主義の根幹に関わる大問題であり、内閣総辞職に値をする問題だという認識に立つべきだということを大臣に申し上げておきたいと思います。
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から七年がたちました。しかし、いまだに福島県の発表でも五万人近くの方々が避難生活を強いられています。それにもかかわらず、先日、大飯原発三号機が再稼働され、先ほど玄海原発三号機が再稼働をされました。とんでもないことです。
昨年の三月三十一日と四月一日に、四町村で帰還困難区域を除く避難指示が解除をされました。その一つである浪江町の帰還率は、二月一日時点で約三・三%となっています。浪江町が二月に発表をした住民意向調査の速報では、四九・五%の方が帰還しないと決めている、三一・六%の方がまだ判断が付かないと答えています。その理由として、原子力発電所の安全性に不安があると答えた方は、帰還しないと決めている方で三八・四%、判断が付かないと答えた方で三三・四%にも上っています。
そこで、大臣にお伺いします。住民の方々が原発への不安を抱えている、このことをどういうふうに受け止めていますか。
○国務大臣(世耕弘成君) 復興庁、福島県、そして浪江町が共同で実施をしている住民意向調査において、住民が戻らない理由ということで、医療環境に不安があること、そして原子力発電所の安全性に不安がある、あるいは生活に必要な商業施設が元に戻りそうにないからなどというふうに理由が挙げられているということは承知をしております。
福島第一原発と福島第二原発については、現在、冷温停止状態を達成しておりまして、各号機とも安定した状態を維持しているところであります。こうした状況の下で、住民の皆さんの不安を払拭するため、まず第一原発においては、国と東京電力が廃炉・汚染水対策の状況について分かりやすい情報発信に努めているところであります。また、第二原発においても、必要に応じてこれは東京電力が情報提供を行っているところであります。
こういった取組に加えて、官民合同チームを通じた産業やなりわいの再生による働く場の創出や、医療機関や学校、買物施設の整備など、避難されている方々が安心して帰還できる環境整備に引き続き関係省庁と連携して全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○岩渕友君 今いろいろ答えていただいたんですけれども、住民の皆さんが、原発事故が収束していないということ、そして福島第二原発が廃炉になっていないということを不安に思っているんだということをもっと重く受け止めるべきだと思います。
資料一を御覧ください。これは、一月六日に福島民報に掲載をされた東京電力の川村会長と小早川社長のインタビュー記事です。
ここで、小早川社長にお聞きをいたします。このインタビューの中で、記者から一番効果的な風評対策は一刻も早く福島第一、第二原発をなくすことだというふうに聞かれて、川村会長は何と答えたでしょうか。
○参考人(小早川智明君) 東京電力ホールディングスの小早川でございます。本日はよろしくお願いいたします。
本年一月五日に会長の川村とともに福島民報社を訪問しておりますが、その際に会長が発言させていただいた内容についてお答えいたします。
会長の川村からは、この新聞記事のとおりでございますが、当社の将来的な電源構成を考えたときに、廃炉申請をしていないプラントとして柏崎刈羽と福島第二があるとの趣旨で話をしておりますが、これは物理的に動かすことができるかどうかという視点で申し上げたものでございまして、福島第二再稼働の意思の有無について申し上げたものではございません。
○岩渕友君 そんな答えを聞きたかったわけじゃないんですよ。
川村会長は何と言っているかというと、読み上げますけど、この線の引いてある部分です。「この先、二十年というオーダーで使えそうなのは柏崎刈羽原発と福島第二原発ということになる。将来的に再生可能エネルギーが原子力に代わる電力源となるのか、さまざまな意見があり、確信のある答えがすぐには出ない。原子力を何らかの格好で残しておく必要があるのではないか、というのが現時点の考えだ。」、こういうふうに述べているんですよね。第二原発のこれ再稼働を考えているとしか思えない発言なんです。しかも、この先二十年というと、四十年超えて運転しようということなのか、そう思って驚きました。
福島県議会では、原発事故後、福島第二原発全基廃炉を求める意見書が四回も、しかも全会一致で可決をされています。党派を超えてオール福島の願いがこの第二原発の廃炉です。同様の意見書や決議は、県内五十九市町村全てで可決をされています。
ここで小早川社長にまたお聞きするんですが、なぜ県議会で意見書が四回も全会一致で採択されたのか。この重みをどう受け止めていますか。
○参考人(小早川智明君) 御質問にお答えいたします。
福島第二原子力発電所につきましては、福島県議会における意見書の可決状況や県内自治体の各議会において廃炉決議がなされていることは承知しており、当社としても大変重く受け止めております。
検討に時間を要しており申し訳ございませんが、地元の御意向を踏まえつつ、エネルギー政策の動向など、多方面から総合的に検討を行っているところでございます。会社として大きな判断となりますことから、しっかりと検討を進めてまいります。
○岩渕友君 重く受け止めているというんだったら、さっきのような発言できるはずないと思うんですよ。
二〇一六年十二月に福島県議会で可決をされた意見書には、県民は、現在も続く余震により東日本大震災時の福島第一原子力発電所の事故の記憶を思い起こし、不安な生活を送っている、繰り返される原発のトラブルは様々な取組に水を差し、復興の足かせになっているとあります。この不安は今も変わりません。川村会長と小早川社長は、福島県知事から第二原発廃炉の二十回目の要請を受けて、大変重く受け止めていると述べた直後に、この福島民報のインタビューで先ほどのようなことを答えているんですよ。県民の気持ちが分かっていたら、第二原発残すなんて絶対に言えません。大臣、東京電力、こんなこと言っているんです。
福島県議会の意見書では、第二原発の廃炉を国の責任で早急に実現するよう強く要望するとあります。国の責任で第二原発、廃炉にするべきじゃないですか。
○国務大臣(世耕弘成君) 今御指摘の福島第二原発についての福島県議会の意見書というのは私も当然しっかりと読ませていただいておりますし、県議会議長とも何度もお会いをしてお話を伺っております。知事にもお話を伺っておりますし、市町村長さんからもお話を伺っております。
そういう意味で、福島第二原発の廃炉への地元の御要望というのは本当に痛いほど理解をしているつもりであります。福島県民の皆さんの心情を察すると、福島第二原発については、これまで新規制基準への適合申請を行っている他の原発と同列に扱うことは難しいというふうに認識をしています。
ただし、この原発の扱いについては、まずは東京電力が地元の皆さんの声に本当に真摯に向き合った上で自ら判断を行うべきものだと考えております。
川村会長は、過去、福島第二原発の取扱いについて、できるだけ早く判断したいというふうにも発言をされております。
今後、東京電力が地元の声に真摯に向き合うとともに、原子力人材等の経営資源の投入の在り方など、経営面での判断も含めてどのような方向性を示していくのか、注視してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 福島県民はもう今すぐ決めてほしいんですよ。結局、今の大臣の答弁も、福島県民の総意には応えてはいません。大臣も東電も福島県民の思い全く分かっていないということが今の答弁で明らかになったと思います。廃炉は国の責任で決断するべきだ、これ、福島県議会の要望でもあるし、県民の総意でもあります。これを強く求めておきたいと思います。
この東京電力福島第一原発の事故を受けて、ドイツ、台湾、スイスなどが脱原発を決断しました。再生可能エネルギーへの転換を進めています。
そこで、日本とドイツについてお聞きします。現在の再生可能エネルギーの導入率はどうなっているでしょうか。水力を除いた数値を答えてください。
○政府参考人(高科淳君) お答えいたします。
まず、日本の総発電電力量に占めます再生可能エネルギー比率は、最新の総合エネルギー統計に基づきますと、水力を除いて七・八%です。また、ドイツの再生可能エネルギー比率は、最新の国際エネルギー機関の統計に基づきますと、水力を除いて二七・七%であると承知してございます。
○岩渕友君 同じく日本とドイツについて聞きます。二〇三〇年度の再生可能エネルギーの導入目標は幾らでしょうか。
○政府参考人(高科淳君) お答えいたします。
まず、日本ですが、日本はエネルギーミックスにおきまして、二〇三〇年度の総発電電力量に占める再生可能エネルギー比率の見通しを二二から二四%としております。また、ドイツにつきましては、二〇三〇年の総電力消費量に占める再生可能エネルギー比率を五〇%以上とするという目標を掲げていると承知しております。
○岩渕友君 脱原発を決断をして再生可能エネルギーへとかじを切ったドイツと日本では、導入率も目標も大きな差があります。
資料二を御覧ください。これ、世界を見ると、再生可能エネルギーの発電量は大きく増える一方で、原子力は二〇〇六年がピークになっています。
そこで、大臣にお聞きするんですけれども、日本の再生可能エネルギーの導入は世界の流れから立ち遅れています。国は再生可能エネルギーについてどう位置付けているでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 再生可能エネルギーは、エネルギー基本計画でも掲げていますとおり、温室効果ガスを排出しないで国内で生産できるという点から、エネルギー安全保障にも寄与をする重要な低炭素の国産エネルギー源であるというふうに認識をしています。したがって、まずはエネルギーミックスで掲げました二〇三〇年度の再生可能エネルギー比率二二から二四%の実現に向けて、国民負担を抑制するという視点も持ちながら最大限の導入を図ってまいりたいというふうに思います。
このため、具体的には、昨年四月に施行したコスト効率的な導入を促す改正FIT法の適切な運用、系統制約の克服や規制改革、研究開発など、総合的な施策を講じてまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今、重要なエネルギー源だという答弁がありました。
エネルギー基本計画では、再エネの導入率は不十分なものの、導入を最大限加速するとしています。しかし、その導入を妨げる重大な問題が起きています。太陽光や風力の発電事業者が送電線を所有する大手電力会社に接続を申し込んだ際に、空き容量がないと拒否をされる事態が相次いでいます。
京都大学の安田陽教授が、大手電力会社の基幹送電線利用率について一年間のデータ分析結果を公表しています。全国の平均利用率は一九・四%、最も低かったのは東北電力で一二%です。実際の利用率は低いのに空き容量がない、なぜこんなことが起きているのか。
資料三を御覧ください。これは東北電力管内の基幹送電線の空き容量です。空き容量がゼロというところがこれだけあります。
それで、この問題について具体的に聞いていきたいと思います。送電線はどういう順番で接続することになっているでしょうか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
系統への接続は電源の種類を問わず先着優先となっておりまして、接続契約の受付順に公平に送配電量を確保すると、このようになってございます。
○岩渕友君 今、電源を問わず先着優先だという答弁ありましたけれども、先着優先だということは、原子力であるとか火力の電源が先に送電線の枠を押さえているということになります。
資料四を御覧ください。これは東北電力の管内の電力系統図になっています。この東北電力管内には、出力が大きいものだけでも赤字で四角くくくってあるところにこれだけの原子力とそして石炭火力発電所があります。
これを見ながら質問していきますけれども、東通原発と女川原発は今は稼働をしておりません。これらの原発も送電線の枠を押さえているということになりますよね。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
個々の送電線を利用する発電所や事業者に関する情報につきましては、発電部門が自由化されている中では企業の競争に関わる情報であり、電源を問わず一般送配電事業者は公表していないものと認識しておりまして、個別の内訳をお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で一般論として申し上げますと、運転開始後停止した発電所につきましては、接続契約が存在するため送電の枠を保有しているものと認識しております。
○岩渕友君 接続契約があるので枠は確保されているという答弁でした。
次に、大間原発は完成をしておりません、今建設中です。それでも送電線の枠を押さえているということになるんですよね。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
先ほどの答弁と同様に、個別の事業についての内訳をお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で一般論として申し上げますれば、電源の種類にかかわらず、大きな投資を伴う建設中の大型電源につきましては、接続契約を結び、送電枠を確保しているのが通常であると、このように承知しております。
○岩渕友君 枠を押さえているのが通常だという答弁がありました。
この間、電力会社にいろいろ聞いているんですけれども、東京電力の東通原発は東北電力の送電線と接続契約が済んでいるというふうに聞きました。東北電力からは、接続契約が済んでいれば送電線の枠は押さえていると聞きました。稼働をしていない原発、建設もされていない原発が送電線を空押さえしているということじゃないでしょうか。
この系統の空き容量を計算するときに、各電源の出力はどのように計算をしているでしょうか。
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
電力広域的運営推進機関が定める送配電等業務指針におきまして、各電源が系統に接続された状態で系統を流れる電気の量が最も過酷となる状況を前提に計算するということになっておりまして、具体的には、これまでのルールにおいては、接続する全電源がフルに稼働する前提で計算を行っているところでございます。
他方で、石油火力など通常の運用では稼働が見込まれない電源の運転も前提としているなど、実態とは乖離がある場合もありますため、空き容量の算定方法を四月から見直すという予定でございます。
○岩渕友君 最も過酷、フル稼働だということです。
実際に、東北電力からも、今紹介いただいた指針に基づいて、空き容量の計算を最も過酷、つまりはフル稼働しているという前提で最大出力で計算しているというふうに聞きました。東北電力管内の原発の最大出力を合わせると七百四十万キロワットを超えます。出力が大きいのは原発だけではありません。石炭火力発電所も送電線を押さえているということになります。
この間、いろんな事業者の皆さんからお話聞いてきたんですけれども、福島県喜多方市で太陽光発電を計画している合同会社エネルギーファームは、東北電力から、送電線の増強費約三億七千万円を出せば接続できると言われました。同様に、二メガワットの風力発電を検討していたある事業者は、約二十億円を示されて事業を断念しました。いずれも地域に根差した事業者です。接続に四億円も掛かる、二十億円も払えと言われても、地域や市民主体の発電事業者が工面できる額ではありません。
東北電力は、空き容量がゼロとなっていた東北の北部で、二〇一六年十月、電源接続案件募集プロセスを募集しました。二百八十万キロワットの入札希望者に千五百四十五万キロワットの応募があって、受入れ枠が三百五十万キロワットから四百五十万キロワットに拡大をされましたが、応募から見れば到底足りていません。応募した事業者の話では、工事費全体で千九百億円掛かるとあった、落札価格が上がると思う、工事には十年以上掛かるとされている、工事の完了を待たずに暫定的な接続はできると言うけれども、出力制御を受け入れなければならないということでした。
これ、出力制御をされた場合、誰が補償を行うのでしょうか。
○政府参考人(高科淳君) お答え申し上げます。
御指摘の北東北で実施中の募集プロセスにおきましては、工事が長期にわたるために、工事の完了を待たずに一定の条件を付した上で新規電源を暫定的に接続することについて検討が進められているところでございます。
御指摘ありましたその出力制御時の費用負担や補償につきましては、国民負担の抑制や既存の制度との整合性の観点などを踏まえながら、今後検討を進めていくこととしております。
○岩渕友君 事業者の方からは、これじゃ事業予見性、確保できないじゃないかということで訴えられています。
大臣にお聞きしますけれども、今紹介をしてきたような状況では、再生可能エネルギーの導入進まないんじゃないでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 今配っていただいている資料で、これ三十九路線で空き容量ゼロとなっているんですが、これボトルネック問題というのもありまして、これ、秋田―宮城間がもう本当に混雑をしていて、そこを通る先のところが幾ら空いていてもこれはもうゼロとせざるを得ないというのが半分ぐらいあるということは、ちょっと御理解をいただきたいというふうに思います。
その上で今の御質問にお答えしますが、日本ではやはり空き容量の範囲内で再生可能エネルギーや、これは別に再生可能エネルギーだから何か区別をしているというのではなくて、再生可能エネルギーであろうが火力であろうが、電力の種別によらず、公平に接続の申込み順に送電線の容量を確保できるということになっているんです。
仮に再生可能エネルギーを優先して接続を認めるということになった場合、後から接続を申し込んだ電源が、既に確保している電源や先に接続を申し込んだ電源を排除してしまうことになる。そうなると、電源の事業の予見可能性を損なうことになる。これは何も原発だけではなくて、再生可能エネルギーの立場からもそうですよ。後から来た人に接続をされてしまうということになると、事業の予見性がなくなるわけであります。ヨーロッパにおいても、例えば再生可能エネルギーの導入が進んでいる英国やアイルランドでは、再生可能エネルギーの優先接続は採用されていないということであります。
ただ一方で、このままでいいとも思っていません。再生可能エネルギーの更なる導入拡大に向けて、ヨーロッパで進められているような系統の増強工事などを前提としないで、一定の条件の下で系統への電源の接続を認めるなどの仕組み、いわゆるコネクト・アンド・マネージという仕組みの検討も重要であると思っておりまして、その検討に早速着手をしておりまして、四月から運用を抜本的に変更していきたいというふうに考えております。
さらに、新たに系統に接続しようとする発電事業者の御意見も伺いながら、今のルールが透明で公平かつ適切なものなのか、これはしっかり再確認をしたいと思っています。海外の先進事例も取り入れながら、必要な見直しを行いながら、ルールの明確化を進めていきたいというふうに考えています。
○岩渕友君 今いろいろ答弁あったんですけれども、上位系統に空き容量がないといって、その増強費用を請求されるというケースもあるんだということも聞いています。しかも、先着優先で最大出力でということがずっと積み上がっての結果ですよね。
この既設送電線の活用検討ということだと思うんですけれども、その想定潮流の合理化の前提条件として原子力はどう扱われることになっているでしょうか。
○政府参考人(高科淳君) お答えいたします。
想定潮流の合理化におきましては、契約申込みをしている電源は、電源種を問わず稼働扱いとしつつ、需要に応じて経済合理的な電源の稼働を評価することで、将来の実態に近い電源出力を算定し、空き容量の拡大を図るものです。
その中で原子力発電につきましては、将来の実態に近い形での算定に当たりましては、ベース電源として最大出力で安定的に利用される実態を踏まえまして、地熱などと同様に最大出力として評価することとしております。
なお、ちなみにその原子力につきましては、仮にある時点で稼働していないことをもちまして他の電源の接続を認めるという運用にすると、当該原子力発電所が稼働した時点で新設された電源の運用に制約が生じることになり、新規発電事業者にとって事業の予見可能性を損なうおそれがあります。このため、想定潮流におきまして最大出力で見込んでおくことは、新規参入者にとっても合理的なものと考えております。
○岩渕友君 今答弁あったように、稼働扱いを基本にして最大出力として扱われているんですよね。これでは、隙間を少しつくるだけで、根本的な解決にはなりません。原発、火力といった既設の電力の枠は押さえたまま出力制御されて、多額の増強費用の負担を押し付けられるのは新規の再エネ事業者です。
ドイツでは、再エネは原則として全て接続されるということが法律で決められて、出力制御を実施した事業者には補償金が支払われます。系統増強費用は原則として系統運用者の負担となっています。
再エネ事業者や団体、自治体などから情報公開を求める声が上がっています。新潟、福島、山形の三県知事会議からは、一般送配電事業者に対し、電源制御につながる系統事故の実績や系統増強費用算定に関する情報公開を義務付ける仕組みを構築すること、このことを求める要望が寄せられています。事業予見性が持てるように、自治体や再エネ事業者が求める情報を公開するべきです。
結局、脱原発に踏み出せず、原子力をベースロード電源に位置付けていることが再エネの本格導入を妨げています。エネルギー基本計画の見直しが今進められていますけれども、メンバーには消費者代表は一人だけです。原発に固執する国の姿勢に懸念の声が上がっています。
大臣にお聞きをしますけれども、国民がこの見直しに参加できる仕組みをつくるべきではないですか。
○国務大臣(世耕弘成君) エネルギー基本計画の検討に当たっては、消費者、国民各層を含めて様々な皆さんからの御意見をお聞きしながら進めていくことは重要だと思っています。
エネルギー基本計画については総合資源エネルギー調査会において議論を行っていますが、そこでの議論は全てオープンとすることで多くの皆さんが検討状況をフォローできるようにしています。加えて、二月には、消費者団体、労働者団体、経済団体を審議会の場にお招きをして直接御意見をいただいたところであります。
また、一般的な審議会では取りまとめの後にパブコメを行うわけですが、今回はそれにとどまらず、検討段階からホームページ上に意見箱を設置してエネルギー政策に関する御意見を広く募集をしているところであります。今年一月から始めていますが、三月十九日までに二百件を超える御意見をいただいておりまして、これらの意見は全て審議会において資料として配付をして議論の参考としていただくことにしております。
引き続き、こうしたことを通じて、エネルギーに関して国民一人一人が議論に参加できる環境の整備に努めてまいりたいと思います。
○岩渕友君 国民が見直しに参加できる仕組み、しっかりつくっていくべきだということ、国民の声しっかり聞くべきだということを求めておきます。
どの世論調査でも、再稼働反対は五割から六割と揺るがない国民の世論になっています。この声を受けて、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟が提案をし、立憲民主党、日本共産党、自由党、社民党が原発ゼロ基本法案を国会史上初めて共同提出をしました。原発の処理費用は政府の見積りで既に二十一・五兆円に達し、どこまで膨らむのか分からない究極の高コストが原発です。核のごみという点でも完全に行き詰まっています。自然エネルギーは普及が進めば進むほどコストが安くなり、原発はしがみつけばつくほどコストが上がる。原発ゼロの政治決断をしてこそ再生可能エネルギーへの飛躍的普及が進みます。
原発事故の被害が今も続く日本でこそ、原発から再生可能エネルギーへの大転換を実現することを求めて、質問を終わります。