経済産業委員会

2倍分賠償は半数以下 東電は基準示せ/風力35基が町に集中 建設計画中止求める(経済産業委員会)

(資料があります)

<2倍分賠償、半数以下/岩渕氏「東電は基準を示せ」>
 東京電力は、福島第1原発事故による営業損害賠償について原発事故の影響で失われた利益(年間)の2倍分を一括して支払うことになっていますが、実際に避難指示区域外の事業者からの請求に対して2倍分で合意したのは2月5日時点で半数に満たないことを初めて明らかにしました。
 岩渕友議員が5日の参院経済産業委員会で賠償の実績をただしたのに対し、東電の小早川智明社長が答えました。
 また、東電は「一括賠償後も被害がある限り賠償する」としていますが、追加賠償の支払い合意件数は2月末で1件のみであることも明らかになりました。
 岩渕氏は、東電の賠償値切り・打ち切りについて、福島県商工会連合会、旅館、観光事業者の「風評被害はなくなったとされた」「まだ自立していないのかと言われる」などの訴えを示し、「賠償基準はブラックボックス。基準を示すべき」と世耕弘成経産相に迫りました。また、賠償組織の要員が2年前から半減している資料や職員の声を示し、実態を調査し十分な体制をとるよう指導すべきだと求めました。
 世耕氏は、賠償組織の体制については「相談件数は減っており、十分」と強弁しつつ、「個別の事情をうかがって丁寧に対応するようしっかりと指導する」と答弁しました。

<風力35基が町に集中/岩渕氏、建設計画中止求める>
 岩渕友議員は、5日の参院経済産業委員会で、福島県いわき市遠野町に計画されている大規模な風力発電施設の集中立地について「土砂災害、騒音、飲み水への影響などの懸念があり地元の約9割の世帯が反対している」と事業中止を迫りました。
 「三大明神風力発電事業」は、水源かん養保安林に指定されている地域内の土石流危険箇所が分布する山頂に、1基あたりの出力が4200㌔㍗、高さ150㍍の発電用風車を9基も建設する計画です。さらに周辺には「遠野風力発電事業」計画もあり、全体で35基以上が町を取り囲むことになります。
 FIT(再エネ固定価格買取制度)対象の発電設備は、地域とのトラブル増加をうけ、事業計画の適切性、実施可能性について経産相の認定を受ける必要があります。
 岩渕氏が「市の水道水源保護条例など関係法令順守義務を満たせるのか。認定は瑕疵(かし)があり取り消すべき」とただすと、世耕弘成経産相は「法令違反が確認されれば認定を取り消すが、現時点では確認できない」と強弁しました。
 岩渕氏は「原発事故の被害に加え、風力発電でさらに苦しめられるのか」との切実な訴えを示し、住民無視の計画は中止しかないと強く求めました。


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質問資料1 避難指示区域の概念図(2017年4月1日から)質問資料2 東京電力による商工業の営業損害の一括賠償の実績(避難指示区域内・外)質問資料3 原子力損害賠償組織体制 要員の推移質問資料4 風力発電計画地の眺望 風車配置想定図質問資料5 土石流危険箇所と風車設置計画箇所(福島県いわき市)



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