2019年5月23日(木) 参議院 経済産業委員会 中小企業等経営強化法等改正案 参考人質疑
(議事録は後日更新いたします)
参院経済産業委員会は23日、中小企業の事業の継続に資するための支援を強化する中小企業強靱(きょうじん)化法案の参考人質疑を行いました。
岩渕友議員は、小規模の個人事業を含む中小企業が果たしている役割、事業承継を促進する重要性について質問。明治大学の山本昌弘商学部教授は「個人事業主含め、雇用、サービス提供など、そこに人が定住するために不可欠な存在」であるとし、事業承継の障害になっている個人保証の債務の問題など金融機関の支援が必要だと答えました。
岩渕氏は、岩手県宮古市の中小業者や市の担当者から直接聞いた、東日本大震災の際に地元の中小業者が果たした役割を紹介。災害時に同様の取り組みをしてきた全国商工会連合会の森義久会長と、岡山県中小企業団体中央会の晝田(ひるた)眞三会長に、国に対する要望を質問しました。森、晝田両氏は「地元の事を知っているからこそ機動力は発揮できる」、「災害対応に役立つ機器の導入に対する補助制度など必要と考える」と答えました。
岩渕氏が、被災した中小企業の施設・設備の復旧を国、県で補助するグループ補助金についての要望をたずねたのに対し、森、晝田両氏は、廃業を考えていた企業が事業を継続するきっかけとなったとし、「さらに拡充してほしい」と答えました。
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(全国商工会連合会会長 森義久参考人)
○参考人(森義久君) 全国商工会連合会会長の森でございます。鹿児島県商工会連合会の会長も務めております。地元は鹿児島県大隅半島鹿屋市の旧輝北町でございまして、建設業、旅館業、畜産業などを営んでおります。
本日は、意見を聞いていただく場を設けていただき、厚く御礼を申し上げます。私からは、中小企業、とりわけ小規模企業に対する支援をしている商工会の立場から、事業継続力強化支援計画と事業承継について意見を述べさせていただきます。
まず、事業継続力強化についてですが、昨年の西日本豪雨で被害が大きかった倉敷市の真備町や土砂災害のあった岡山県、広島県、愛媛県の中山間地域、熊本地震の益城町及びその周辺、東日本大震災で津波被害を受けた太平洋沿岸部などは商工会地区でございます。そこでまず、商工会の災害時の対応や復興に向けた取組について御説明をいたします。
災害が発生しますとまず行うことは、職員や地区担当役員が手分けをして事業者の安否確認など事業所の被災状況の把握を行い、その結果を県連合会、地元自治体などに報告いたしております。そして、相談窓口を開設し、日本公庫からの協力も得ながら、事業者からの相談を受け付けております。発災直後は、従業員への給与や仕入れ資金の支払、借入金の返済など、資金繰り相談が多くなります。この点、日本公庫では借入金の支払延期などの対応を即決していただいているので、大変助かっております。ほかには、店舗や工場、機械装置の復旧をどうするか、また共済金や保険金の請求手続はどのように行うかなどの相談が寄せられ、終日、絶えず相談対応に当たることとなります。
また、並行して、商工会青年部、女性部によるボランティア活動を行っております。これは、地元の青年部員、女性部員だけではなく、各地から商工会青年部員、女性部員が応援に駆け付けてくれております。商工会青年部は、各地で支援物資を集めて現地に届けたり、瓦れき、流木、災害ごみ等の撤去作業などの復旧作業に従事しております。女性部は炊き出しや被災者の慰問などを行っております。
青年部、女性部のメンバーは自身の商売をやめてボランティアで活動しており、被災した方から感謝の気持ちが寄せられております。この活動につきましては、先般、世耕経済産業大臣から青年部、女性部に対し、感謝状をいただきました。感謝状をいただいたことで、この取組がますます重要であると再認識したところであります。
一方、事業者に対する再建支援については、災害持続化補助金やグループ補助金、災害マル経など、災害関連の施策が講じられましたので、その申請や実行を支援しております。こちらも地元の職員だけでは足りませんので、他県から経営指導員を派遣し、事業者の相談対応に当たっております。西日本豪雨の際は、宮城県連、福島県連、熊本県連などからグループ補助金や持続化補助金の支援ノウハウを持った指導員を岡山県、広島県、愛媛県に派遣して対応をいたしました。
次に、事前の対策、災害が起きる前の平時の対策について簡単に説明をいたします。
商工会、県連では、近隣の商工会、県連、地元行政、地域の各種団体と災害連携協定を締結し、助け合いの体制整備に努めているところであります。九州・沖縄ブロックでは、平成二十九年六月に九州内の各県連と日本公庫で連携協定を締結しました。翌七月に発生した九州北部豪雨では、早速、日本公庫と連携したり、ボランティア活動や物資供給など、速やかに対応することができました。
事業者の経営に関わることにつきましては、事業継続計画、いわゆるBCPの作成を推進しているところであります。全国連では、保険会社と提携し、事業者向けBCP作成セミナーや職員向けのBCP策定支援力強化研修を実施し、各地で具体的な手法の研修を進めているところであります。
また、万が一に備えて、共済や保険の加入推進を図っております。私どもでは、三年前、災害によって休業した場合の所得補償制度を全日本火災共済連合会とともに立ち上げを行いました。また、事業者からすれば、どのような災害リスク、経営リスクがあるか、どのような共済、保険制度があるのか分かりづらいところがありますので、チェックシートを作成して巡回し、適切な共済や保険加入の推進を図っているところであります。
そのほかにも、商工会独自の取組として、この四月から商工会災害助け合い基金を創設いたしました。これは、会員から一定額を拠出していただき、被災した会員へお見舞金をお渡しする制度であります。会員相互扶助の精神の下、商工会組織として推進しているところであります。
今まで申し上げましたとおり、商工会では各種の災害対応に取り組んでおります。私自身、災害の都度、速やかに現地に赴き、被害状況の把握とともに、被災事業者の声、サポートする商工会、県連の声を聞いておりますが、思うことは、やはり事業再建には非常にエネルギーが必要で、気持ちを維持し続けることが難しいことであります。だからこそ、身近な商工会が寄り添ってサポートすることが非常に大事なことであります。
それに加え、あらかじめ災害を想定し、災害が起きた際にできるだけ混乱なく対応していくことが重要であるということであります。とりわけ、事前の備えをしておくことにより災害によるダメージをできるだけ少なくすることが、その後の迅速な復興につながるものと思います。
今回の法案では、地元の自治体と共同で事業継続力強化支援計画を作成することが盛り込まれました。あらかじめ地元自治体と協議を行い、対応方針を事前に決めておくことは有効なことであり、これまでの取組を踏まえたものとなっているため、今回の法案につきましては賛同しております。ただし、計画の実効性を高めるため、四点ほど意見を述べさせていただきます。
一点目は、マンパワーが圧倒的に少ないという点です。
特に、災害発生時には状況把握と相談対応、さらにはボランティア等の調整が短期間に一気に集中しています。時として職員自身も被災している場合もあり、より一層深刻な人員不足に陥ってしまいます。また、商工会では、現在、経営発達支援事業、消費税問題、働き方改革等への対応、支援により、ただでさえ人員が足りない状況にあります。災害への事前の備えを推進するためにも、人員体制の強化について十分な手だてを講じていただきたいと思います。
人員体制の強化に当たっては、多くの都道府県ではかつて国が示した経営指導員の設置定数に準拠した基準で人件費を補助しておりますが、この基準そのものを見直さないと、幾ら地方交付税を増額したとしても体制が構築されません。したがって、この法改正を契機として、国が新たな基準を示していただき、かつ都道府県が確実に措置できるよう、抜本的な体制整備をしていただきたいと思います。
二点目は、法定経営指導員についてです。
計画作成に当たり適切な指導を行うために、必要な知識及び経験を有する者、いわゆる法定経営指導員が計画作成から実行に関与することが要件となっております。この計画にとって最も重要なことは、関係者間の共通認識に基づいて作成され、現実に即した実効性のあるものでなければなりません。その意味におきまして、地区内の中小・小規模事業者の実態をよく知っているそれぞれの商工会の経営指導員が計画策定に関与することが適切であります。
本法案では、法定経営指導員の関与がなければ申請できず、さらに、県連、商工会、商工会議所の職員以外の中小企業診断士などが法定経営指導員になることが可能となっております。これについては疑義を覚えざるを得ません。法定経営指導員の関与を必須とするならば、やはり経験とノウハウを有する県連、商工会の職員が最小限の研修受講により法定経営指導員の資格取得を可能とすべきであり、これはしっかりと担保していただきたいと思います。
三点目は、被災状況を把握する際の情報の統一化です。
商工会の現場では、相談対応しながら被災状況を把握し、いろいろな形での行政から報告を求められます。したがって、被害状況を速やかに把握するためには、全国統一の基準で簡便に集約する仕組みを構築することが必要でないかと考えております。
四点目は、復興に向けた支援策についてです。
災害によって失われた設備を復旧させ、その上で、失った取引先を取り戻すことは並大抵なことではありません。あらぬ風評によって取引改革が進まないこともあります。
私が現地を回りますと、災害によって突然と様変わりした状況の中、明日を描けず、再建をやむなく断念する会員事業者を幾つも見て、切実な状況を聞いてまいりました。国ではグループ補助金や災害持続化補助金などの支援策を迅速に講じていただいておりますが、復興のための設備復旧や販路開拓への支援につきましては複数年度で取り組めるようにすることや、再建を希望する地域にとって欠かせない事業者には更なる支援措置も前向きに検討していただきたいと思います。
次に、もう一つの柱であります事業承継について一言申し上げます。
今般、皆様の御尽力により、法人版事業承継に続き、一〇〇%納税猶予という大胆な個人版事業承継税制を創設いただき、大変感謝を申し上げます。
私ども商工会会員の約六割を占めるのが個人事業者でございます。私どもといたしましては、せっかくつくっていただいたこの税制の活用を積極的に推進することとしておりますが、事業承継は、税制措置だけでは十分ではありません。事業計画の磨き上げのほか、後継者向け勉強会や交流を深めてマッチングすること、事業承継補助金を活用することなど様々な対応がありますので、私どもとしても、しっかりと事業承継支援を推進し、商工会だけでは対応できない部分については関係機関との連携をしながら進めてまいりたいと思います。
また、事業承継の目的は、事業の継続を通じて地域経済の維持、発展することでありますので、後継者が思い切った事業活動ができるよう、事業環境の整備として地域経済の活性化につきましても併せて施策を講じていただきたいと思います。
事業継続力強化支援も事業承継も、私ども商工会にとって重要課題でありますので、自らも重点的に取り組んでまいりたいと思っております。国におかれましても、引き続き御支援、御協力をお願いし、私の意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございました。
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(ヒルタ工業株式会社代表取締役会長・岡山県中小企業団体中央会会長 晝田眞三参考人)
○参考人(晝田眞三君) 紹介いただきました晝田でございます。
お手元に配付されていると思いますけれども、「中小企業の絆を生かした事業強靱化について」という冊子を御覧いただければと思います。
私自身は、自動車部品を製造しております岡山県のヒルタ工業株式会社でございます。
昨年の西日本豪雨では大きな被害を受けまして、一か所での一極集中生産は災害時に非常にリスクが大きいということ、また、いろいろな災害が起こり得る、それぞれの災害に備えるということの重要性を痛感したところでございます。当社では、昨年の豪雨災害を受けまして、幹部以下社員一同で、意識が高いうちに、できたこととできなかったことを反省し、今後の備えをしていこうというところで進んでおるところでございます。
災害につきまして少しお話をさせていただきますと、七月七日午前四時半頃、工場がございます笠岡市、観測史上最大の二十四時間雨量によりまして、当社笠岡工場の裏山斜面が崩落し、土砂が工場内に流れ込み、従業員及び設備が巻き込まれたものでございます。事前にBCP、ビジネス・コンティニュー・プランですけれども、機能した点としまして、初動対応として、人命の救助、全社員の安否確認、対策本部の設置、客先への状況連絡等々は計画どおり進んだところもございますが、実際には、NHKの朝六時の全国版のニュースに取り上げられましたので、お客様の多くは、それを聞かれて対応を始められたというお客様が多くおられました。
私どもの課題としましては、BCPマニュアルは主に、私ども、地震、津波への対応を想定しておりましたけれども、山崩れという想定外の災害であったということ、また降雨情報への対応のいかんにつきまして、また土砂崩れへの対応という点ではできていなかったというふうに考えておるところでございます。また、被災発生が金曜日の夜勤、すなわち土曜日の早朝であったということで、完璧な連絡体制が機能したとは言えなかったというふうに考えております。
被災を受けましたラインが二つほどございまして、一つの加工ラインにつきましては、日本の軽自動車の七割に搭載される部品を生産しておりましたので、サプライチェーン確保のための対策といたしまして、加工、工法、生産設備等々、急遽対応することが求められましたので、変更の届出をお客様に行いまして、品質確認をした上で量産していくというプロセスにそれなりの時間が掛かるわけですけれども、それをいかにスピーディーに進めていくかというところで、お客様との連絡等々、常駐いただきまして進めたところでございます。
また、簡単とは言えないものでございましたので、どうしても大量に当初不具合品ができてしまうということが起きたわけですけれども、そういったことについてもお客様と一緒に対策をしていったというところでございます。
また、完全な自動化のラインではないわけですが、自動化していた工程がいろいろございましたので、結局それが使えないということで、人海戦術による生産というようなこともやってまいりました。
また、工程が分断されてしまいましたので、それぞれの工程をほかの会社さんにお願いしたということで、移動のための運賃というようなこともございまして、結果的に逆ざやでの生産になっていったわけですが、それに関しましては、お客様の御理解をいただいて進めることができました。
また、当日以降、先ほども申しましたけれども、自動車メーカーさん始め、被災直後より多くの応援をいただきました。多いときは一日百名程度おいでいただき、延べ千九百名の応援をいただいたところでございます。現在は、設備の更新もいたしましたし、復旧はほぼ完了いたしまして、今年に入りまして、災害以前の正規の状況で生産しておるところでございます。
また、復興に関しまして、岡山県自動車関連企業ネットワーク会議という関連企業の会議がございまして、そこに復興分科会というものをつくりまして、グループ補助金による助成を進めておりまして、私どもも、新分野での復旧という準備をしております。
被災により得られました教訓としまして、想定する災害の再点検、自治体の風雨等の避難情報、これをいかに積極的にスピーディーに活用していくかということを取り組んでいこうということで考えております。
また、私どもは地域未来牽引企業の認定をいただいておりますので、国の施策を活用させていただきまして、早期の復旧を進めていこうというところでございます。
また、資料四ページ、右上に小さく四ページと書いておりますけれども、当社は協同組合ウイングバレイに加入しております。私自身は理事長をしておりますけれども、自動車部品製造企業の集団の団地でございます。これまでも、自治体や関係機関、中小企業基盤整備機構さんとか中央会の指導をいただきながら、地域における連携を進めてまいりました。この度の災害でも、ほかの組合員企業から遊休設備を貸与してもらい、一部の代替生産を行いました。同じ組合員として長年協力できることはやってきたという信頼関係がこれまで築いてきたからこそできたことがあったなというふうに思っております。
中小企業にとりましては、非常時のコストを全面的にプライスにというところは非常に厳しいというところがあるわけですけれども、今回の中小企業強靱化法案には、いろんな意味で何を準備すべきかがよく分かりますので、計画認定制度という、災害対応といいますか、に、やる気を引き出す新たな措置が盛り込まれておりますので、非常に有り難いことと思っております。
特に、中小企業にとりましては、事前対策に取り組みますためには何らかのインセンティブが必要であると思っておりましたけれども、この点につきましても、政府系機関による低利融資や、通常とは別枠での信用保証、防災・減災設備への税制優遇が盛り込まれておりますので、中小企業にとりましては、意欲を持って取り組むということに対しまして非常に有り難いことと思っております。
また、組合の理事長という立場から申しますと、先ほど申しましたが、代替生産をするという場合、個別企業のノウハウを盗まれるんじゃないかという不安があるわけですけれども、これにつきましても、事前の情報管理やいろいろな意味での協定を事前にしておくということが一つの対策になろうかと思いますので、そういったことにつきましては、協同組合とか中央会というところで支援、声掛けするという役割ができるのではないかというふうに思っておるところでございます。
次に、資料の右上、五ページを御覧いただければと思いますけれども、私、岡山県中小企業団体中央会の会長をやらせていただいております。
中小企業が災害に取り組むということにつきましては、中小企業単独での取組が非常に難しいという面があります。頭では分かっていても先立つものが付いてこないというようなことが起こり得るわけでございまして、中央会は、岡山県中央会では約五百五十の組合がございまして、全国中央会では約三万人の会員組合がおられます。中小企業が連携して事業継続力を強化していくということで、こういった取組を誘導するという面ではできることがあるというふうに思っておるところでございます。
また、先ほど少し申しましたが、協同組合を通して中央会とは長年にわたり連携してやってまいりましたので、引き続きこのパイプを生かすことができるんじゃないかと思っておるところでございます。中央会には、組合間連携の組成を加速するためのあっせんとか、会員間の交流を促進させるとか、連携成功事例を皆さんに知っていただく広報活動等々、これまでもやってまいりましたけれども、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
災害が起きましたら、その災害が大きい小さいは別にいたしましても、復旧のための設備や傷んだ構造物の修理、更新が必要になってまいりますので、投資が必ず付いてくることになります。非常時のための強靱化ということは、長期的な視点では設備や人に対する投資ということになってまいりますので、支援機関として、組合、企業への金融ということでは、長年、商工中金さん、お世話になっております。商工中金さんの役割は非常に大きいと思っておりますので、引き続き御指導いただければと思っておるところでございます。
また、最後になりますけれども、災害といいますのは広い範囲で起こるわけです。県境を越えて起こるということはよくあるわけでございますので、県単独でできることは限界がございます。そういった意味で、全国中央会始め他の都道府県の中央会と力を合わせて事業継続力を強化していくということでも引き続き取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
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(明治大学商学部教授 山本昌弘参考人)
○参考人(山本昌弘君) 明治大学の山本でございます。よろしくお願いいたします。
私の方からは、中小企業強靱化法案に対する意見、特に事業承継についてということで、事業承継の分野を中心にお話をさせていただければと存じます。
私自身は、これまで、事業引継ぎガイドライン、事業承継ガイドラインという二本のガイドラインをまとめるに当たって座長を務めさせていただきました。事業引継ぎガイドラインというのはMアンドAに関するガイドラインでして、事業承継ガイドラインはMアンドAを含んだ全体的な事業承継に関するガイドラインでございます。さらに、現在は、事業引継ぎ支援全国本部に置かれておりますアドバイザリーボードの座長も務めさせていただいております。
事業承継でございますが、まず、一枚めくっていただきますと、事業承継に関する施策、親族内承継、従業員承継ということで幾つか挙げさせていただいております。
まず、事業承継税制及び遺留分の民法特例等における法人企業と個人事業主とのシームレスな対応ということでございます。
事業承継税制につきましては、この間、少しずつ少しずつ改正がされ、今回、個人でも使えるようになったということでございます。私自身は、税はドラスチックな改革には余り向いていないと考えております。毎年少しずつ微調整をしていくということの方がいいんじゃないかと思っておりますので、この間の流れの中で、事業承継税制、かなり個人事業主も含めて使いやすくなったのではないかというふうに思っております。これは非常に感謝しております。
それから、遺留分の民法特例においても全く同じで、要は、外国税額控除制度という制度がございます。これ海外の所得を控除するものなのですが、法人企業は法人税、個人の場合は所得税法ということになっておりますが、シームレスな形でどのような法人形態であれ適用が受けられると。同じことが事業承継税制や遺留分の民法特例等においても実現されたのではないかというふうに理解をしております。
二つ目でございますが、事業承継がなされた後の承継した経営者が安定して議決権を行使するために、私は公的資本を注入すべきではないかというふうに考えております。
いわゆる事業承継ファンドというものがございますし、中小企業投資育成といったものもございます。これは、ファンドといいましても、短期で何かリスク、リターンで売上げ上げる、そういう話ではありませんで、中小企業が長く安定的に成長していくためには、ある種、国が資本を入れて、後継する経営者が使いやすいような形あるいは議決権行使しやすい形での資本注入というものが非常に重要だろうというふうに思っています。
似たようなものに、実は中小企業基盤整備機構が高度化事業というものをやっておいでです。これは、私は実は元祖MアンドA資金だと思っておるんですが、今から何十年も前によく使われたものでございまして、複数の会社がこれを使って一つの会社になるとか、組合をつくるとかというような形で非常によく使われた資金でございます。
実は、事業承継に関しましてはかなりの制度が実はあると思っています。ただ、使いやすいかどうか、あるいは十分な財政、予算の手当てがされているかというところに問題が少しあるのかなと思うことはございますが、うまく微調整をしていけば使える政策というのはかなりたくさん蓄積されているというふうに考えております。
事業承継補助金でございます。これは、設備あるいはMアンドAで非常に役に立つものだというふうに思っておりますが、これも国家財政の関係だと思うのですが、単年度主義ということになっております。事業承継、特にこういったものというのはより長期で資本を入れて事業をやっていくというものだと思いますので、もう少し柔軟に使えるといいのかなというのが個人の感想でございます。
三つ目は、事業承継ネットワーク、こちらも事情は同じかと思うのですが、実は全国事務局が毎年替わっています。もう少し中長期的に同じ事務局の下でより継続的に事業承継ネットワークの展開ができると、もっと有効になるのではないかというふうに思っています。
その際に、商工会議所あるいは商工会の方々が非常にどこの都道府県でも頑張っておられるのは、私も調査等に寄せていただいて目にするところでございます。これに金融機関、地方銀行、信用金庫、信用組合等も積極的に参加いただいて、地域で一体となった事業承継ネットワークの展開ができるといいのかなというのが、まず一枚目の親族内承継の話でございます。
次は、MアンドAでございます。
MアンドAにつきましては、中小企業庁あるいは中小企業基盤整備機構が事業引継ぎ支援センターというものを展開しておられます。各都道府県に一つ、東京は多摩地区にもありますので二つなのですが。
この事業引継ぎ支援センターでございますが、学者の私から見ると、実は原理原則というのは上場企業における株式の取引あるいはMアンドAと全く同じものだというふうに理論的には見えます。つまり、どこかの取引所で株が売買されていて、その株の過半数を取ればMアンドAが成立する。これと同じことを実は中小企業について、もちろん規模は違いますが、やろうとしているわけです。つまり、売りたい会社が自社の情報をセンターに載せ、買いたい会社はその株式の過半数を取得すれば買える。これは全く、いわゆる大企業の資本市場と構造は同じです。
ですが、中小企業であるがゆえに様々な制約がございます。コストの面の問題、あるいは会計規制やインサイダー規制のように、資本市場では普通になされているような規制も必ずしもまだ十分ではないというふうに見て思っております。とりわけ、事業引継ぎ支援センターの中核になるのがいわゆるNNDBと言われているものでございます、ノンネームデータベース。
これは、事業を売りたいという事業者さんが事業引継ぎ支援センターに登録をし、どこの会社か具体化はされないけれども、こういう規模のこういう事業の会社が売りに出ているということが全国の事業引継ぎ支援センターで確認することができるということなのですが、実はこれにつきましても、まだ細かい部分の整備が追い付いていないように私は見ていて思います。もちろん現場の方々は非常に頑張っておいでで、中小企業庁の方あるいは中小機構の方も日々頑張っておられるのですが、何せ、それまで何の例もなかったところにいきなり何百社、何千社という案件が出てくるということになると、なかなか追い付いていない感じがいたします。
NNDBというのはデータベースなのですが、下手に実態が分かってしまうと風評被害に遭うかもしれません。あるいは逆に、全く分からなければそもそも買手が付かないという微妙な問題がございます。したがいまして、これも何らかの形でその資格を制定するなり、何かそういったきちっとしたルール作り、整備が必要だろうと思っています。
特に、日本の中小企業あるいは中小の事業者というのは、知的財産権、サプライチェーンですとか特許ですとかといったようなもので、僅か数名の企業でも物すごくすばらしい技術をお持ちで、でも経営者がいないからなくなってしまう、こういう危機に直面している企業がたくさんあります。こういったものを知的財産権を保護しながらいかにきちっと承継をするか、あるいはできるような仕組みをつくるかということが大事なんだろうと思います。更に言いますと、これは資本市場ですから、制限しないと誰でも買えてしまいます。じゃ、大企業で、あるいは外資系企業で自由に買っていいのかというような問題についてもきちっとルールを作るべきだろうと思います。
その次は、実は事業引継ぎ支援センターを統括する中小企業基盤整備機構についてでございます。
今回の法律改正でも機構の仕事が増えたかと思いますが、実は機構につきましては人的にも予算的にも上限が決まっていて、仕事が増えればそれだけ現場の皆さんの仕事が物すごく大変になるという、今こういう状況でございます。事業承継は確かに大事なんです。事業承継が大事なので事業承継を進めれば進めるほど、限られた予算と人員の中で現場は物すごく大変な思いをされているということでございます。
これは私の個人的意見なのですが、国際会計基準との兼ね合いで、企業会計審議会の会計基準設定部門が公益財団法人財務会計基準機構ということで民営化されています。こういった形で何か独立して、より長期の予算、長期の人員、長期の設備でやれるような仕組みをMアンドAについてやるべきではないかというふうに思っています。
その際に、実はMアンドAといいましても、あるレベルから上のものは民間の会社がおやりです。したがいまして、国の政策としてやるべきMアンドAというのは、本当にビジネスとしてMアンドAの仲介が成り立たない、でも大事だ、地方の雇用として大事だ、あるいはサプライチェーンとして大事だと、こういったところをいかにうまく引き継がせるかということだろうと思います。
それからもう一点、事業引継ぎにおきまして、私、学者的に言わせていただきますと、負ののれんが発生することがございます。これは何かといいますと、通常は純資産価格よりも高く買えますので、余分に支払った分がのれんになるのですが、例えば、事業を引き継いでくれたら一円で譲ってもいいという事業者がいらしたとしても、一円で引き継いだ途端に差額が利益として課税されかねないという問題がございます。ですので、是非、事業承継で安く引き継いだとしても、そこには課税されないような、是非そういう仕組みをつくっていただければというのが三つ目でございます。
めくらせていただきまして、最後は第三者承継の問題でございます。
まず、各都道府県の事業引継ぎ支援センターでは、後継者人材バンク事業というのをおやりです。これは実は、個人事業主あるいは小規模事業者に現在限定されています。私の考えでは、MアンドAで事業を引き継ぐのか、あるいは後継者になる方を呼んできてその方に引き継いでもらうのかは、それほど違いはないだろうということで、もう少し対象を拡大してもいいのではないかというのが私の考えでございます。
それから、第三者承継の二点目の私の考えは、第三者承継で事業承継をするというのは、実はベンチャーの会社を起こすということと非常によく似ています。現在、中小企業関係ではベンチャー支援の施策が様々に整備されています。第三者承継で外から来た人がそれまでの事業を引き継いでやる場合にも、一定のルールを設けて、ベンチャー支援と同じような支援制度が使えるようにするというふうになれば、より、地方で後継者がいないようなところに、例えばUターンだとかIターンだとかというような形で地方に行って専門家の方が事業を引き継ぐというようなことも、それも促進されるのではないかというふうに思っています。
最後でございますが、実は、事業承継を見ておりまして一番ネックとなるのは債務なんですね。個人が引き継ごうが、結局かなりの債務がある、場合によっては債務超過になっているというような案件がございます。先ほど震災関係でいろんなお話があったと思いますが、事業承継と非常によく似ているなと思って私聞いていたのですが、要は、何かそういう形で問題が起こると結局債務だけが膨らんでしまうということがございます。
実は、中小企業政策では中小企業再生支援協議会というものが各都道府県に置かれているのですが、ここは物すごく再生支援に限定が掛かっています。何らかの形でその債務整理を、経営者保証ガイドラインを活用するとかいろんな方法はあると思うのですが、債務整理をした上で、第三者であってもうまく引き継げるような仕組みを是非つくっていただければというふうに思います。
参考例として、東京都は、実は金融機関に東京都の資金を出した上で、資金援助とセットで事業承継をやるというような仕組みもおつくりですので、何かそういった形での仕組みはあるんじゃないかと。
以上、事業承継に限定させていただきましたが、私の方からは以上でございます。
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○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
今日は、三人の参考人の皆様、貴重な御意見をいただいて、本当にありがとうございました。
それでは、まず、山本参考人にお聞きをしたいと思います。
事業承継ガイドラインに、最も重要なのは、中小企業は雇用や地域経済を支える大切な公器であり、その事業承継は、経営者のみならず、支援機関を含む全ての関係者にとっての共通課題であると認識することだとあります。そのとおりだなというふうに思うんですね。
そこで、個人事業主を含む中小・小規模事業者が果たしている役割と事業承継を促進することの重要性についてお聞かせをいただきたいと思うんです。それが一つと、あともう一つ、中小企業の事業承継をサポートする仕組みとして、金融機関の支援の重要性についてお聞かせください。
○参考人(山本昌弘君) ありがとうございます。
ガイドラインの文言は、私はそのとおりだというふうに思っています。
施策として、要するに、国の財政を入れて中小企業、とりわけ事業承継をなぜやるのかというと、中小企業、もちろん個人事業者も含めてですが、そこが雇用を地元では確保し、物を作ったりサービスを提供することによってそこに人が定住し根付き、あるいはサプライチェーンとして、さっきも出ていましたけれども、最初から最後まできれいにつながるというようなことがあると思います。
とりわけサプライチェーンというのは、よく見ていますと、今では大企業がいれば済むというのではなくて、実は個人事業主、私も研究でいろんな企業を回らせていただくのが大好きなのですが、見させていただくと、本当に僅か数人のところで、世界でそこしか作れない、必ずしも株式会社形態にすらなっていないというようなところがたくさんあります。
そういうところで何が起こるかというと、個人事業主ですから、その経営者の方は例えばマネジメントもできるし物すごい高い技術もお持ちだけど、その方がお辞めになると、技術はあってもマネジメントが残らないという問題がよく起こります。そうしたときには、技術があるのだから、例えば何らかの仕組みをつくって事業そのものは残ると。
私は、これちょっと学問的になるのですが、会社承継ではなくて、あるいは企業承継ではなくて事業承継という名前が付いていることが学問的に極めて重要だというふうに思っています。承継すべきは事業だというふうに私は考えています。
そこで、一つ目の後半ないしは二つ目の前半とも関係するのですが、サポート体制の中で、見ていますと、地方の例えば事業承継ネットワークあるいは事業引継ぎ支援センター、商工会議所あるいは商工会の方々が物すごく熱心にサポートされています。
私が見て、何をすべきかというと、皆さん、専門は幾つかお持ちなんですね。ところが、事業承継というのは、法律、税務、金融、マネジメント、いろんなことが分かっていないといけない。そうすると、例えば地元の金融機関の方は金融には詳しいけれどもというのがあります。あるいは士業の方は、自分の専門分野は詳しいけれどもそれ以外のところはということがありますので、要するに、支援する側も何らかの形でネットワーク化して、お互いに自分の強みを生かし、弱いところは誰かに助けてもらうというのが例えば都道府県単位でうまく機能できればいいのかなと、これは親族内承継あるいは第三者承継に関わらずということでございます。
それから、金融のサポートでございますが、これは是非やっていただければというふうに思います。事業承継ができない大きな理由の一つが、債務整理が進まない。個人で、特に個人事業主の場合には個人の方が債務を個人保証していて、これがうまく抜けないことには次の事業に行かないというようなことがございますので、是非そういったところでうまく事業承継ができるような形で金融のサポートというのはいろんなレベルで必要だろうというふうに思っています。
以上です。
○岩渕友君 ありがとうございます。貴重な御意見いただきました。
次に、森参考人と晝田参考人にお聞きします。
先日、岩手県の宮古市で、中小業者の方々とあと市の担当者の方々から、この宮古は、東日本大震災、そしてその後、台風十号でも被災をされているんですけれども、そのときに地元の中小業者が果たした役割ということで話をお聞きしてきました。
大震災の後、建設業者の方々が誰に言われるでもなく市役所の前に集まってきて、自衛隊の後方支援ということで道路の復旧であるとか瓦れきの撤去作業なんかを行ったことがきっかけになって宮古地区の災害復旧対策連絡協議会というものが立ち上がったというふうにお聞きしました。地元の業者なので地理も地形もよく知っていて、スピーディーに対応することができたと役所の方が話しておられました。
中小業者が果たした役割というのはそれだけではなくて、先ほど森参考人、少しお話しされていたんですけれども、全国の災害で炊き出しをしたり各地から届く物資を避難所に届けたりということで、業者の方々が自分たちの地域は自分たちで守るんだという思いで取り組んでいらっしゃるし、その中小業者が地域にいるということそのものが災害対応ということになるんだと思います。
災害対応や防災で中小業者が果たしている役割について御紹介をいただければと思います。
○参考人(森義久君) お答えさせていただきます。
まさに、中小・小規模事業者といたしまして、そしてまた、我々商工会員が、先ほども話をいたしましたように、被災地にまずは青年部、女性部含めて、いろいろな物資、両面の支援を行っております。それと同時に、全てボランティア活動で行っているわけであります。その中に、特に我々商工会の場合は建設業の会員も非常に多いわけであります。いち早く駆け付けるのが建設業、そしてまた、それを支えているのが我々商工会の青年部、女性部であるわけであります。
ですから、このことにつきましては、本当にいろいろな公共事業の問題等を含めて建設業も一時大変な時期もありますが、今はまさに国土強靱化も含めて、そしてまた我々小規模事業者の強靱化も図ってもらうためには、我々が果たしている役割、しっかり御理解いただいて、まさにいち早く駆け付けるのは我々建設業そして商工会員であります。その後、国が、あるいは県が要請して自衛隊とかいろいろありますが、まずは地元の人たちが駆け付けるということが第一になっておりますので、その辺のところもよく御理解をいただきたいと思っております。
○参考人(晝田眞三君) 自助、共助、公助という言い方がありますけれども、中小企業という枠というより、地元の企業としてやれることは何なのかというところで、やっぱりその団体、組織の決定権を持つ人が地元にいるのでスピーディーであるということですよね。やっぱりそれはなくなってはいけないことだと思います。
ですから、公共工事の発注も、必ずしも地元だけというものでもないけれども、やっぱりそういう会社が存続するシステムは必要なんだろうと思いますし、実際にはそうなっているんだと思います。
ありがとうございます。
○岩渕友君 続けて、森参考人と晝田参考人にお聞きしたいんですけれども、災害時の中小業者と行政との連携についてちょっと更にお聞きしたいんですね。
重機とか人材の面から見ても、行政だけで災害に対応するということは難しいと、重機や機材をふだんから持っている事業者の存在が欠かせないと思うんです。そこで、自治体の災害対応能力を高めるというためにも、例えば資材や機材や重機、災害に活用できるものを持っている事業者の維持費の負担軽減ということで、その部分の税制面での優遇措置をとるとか、機器を導入するときには補助を出すとか、そういう支援をするということも考えられると思うんですね。
行政との連携といったときに、どういう支援があればいいとお考えか、お聞かせください。
○参考人(森義久君) お答えさせていただきます。
今委員おっしゃいましたように、まさに建設業を含めてそういった設備、そういった機動力を発揮する、そういったものを備えているのが地元の業者、地元の商工会員でもあります。そういった人たちがいち早く駆け付けてそういった災害対応をいたしておりますので、今おっしゃいましたように、そういった関係の特別な補助制度、そういったものをこれからは必要としているんじゃないかなというふうに思っておりますので、その点についてはまたよろしくお願いをしたいと思います。
○参考人(晝田眞三君) 私、土木の会社じゃないので答えにくいところもありますけれども、我々が所属している自治体ですと、やはり地元の土木関係の方々とのコミュニケーションというのは自治体がお持ちですので、進んでいると思っております。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次も森参考人と晝田参考人にお聞きするんですけれども、グループ補助金についてお聞きしたいと思うんです。
先ほどもグループ補助金の話出てきていたんですけど、衆議院の参考人質疑でも、東日本大震災で気仙沼で被災をされた参考人が、その地元業者復旧の決定的な支援になったのがグループ補助金だったというふうに話しておられました。グループ補助金が東日本大震災以降、創設をされて、熊本地震でも西日本豪雨でも活用されたと。けれども、一方では、北海道胆振東部地震などでは、地元業者が求めたけれども適用されなかったという事例もあります。
そのグループ補助金を使えるようにしてほしいという要望とともに、制度を充実、改善させてほしいという要望もあります。グループ補助金の活用状況がどうなっているのかということと、あと現場での要望に応えて広げる必要があると思うんですね。そのことも含めて、充実、改善した方がいいと考えていらっしゃることがあればお聞かせください。
○参考人(森義久君) グループ補助金につきましては、本当にいい制度をつくっていただいておりますし、今北海道の関係はちょっと初めて耳にしましたけれども、我々商工会といたしましては、そういった指導を含めて、そしてまた、そういった経験を踏まえた中でこの活用については全力を挙げていたしておりますし、先ほどもありましたように、会員にとっては非常に有り難い補助金だというふうに思っておりますので、これからも更に拡充していただきたいなと、そのように思っております。
○参考人(晝田眞三君) 我々もグループ補助金の支援をいただいておりますので、非常に有り難い制度だと思いますし、割に岡山県の場合、早い段階からグループ補助金を検討していますよという情報をいただいておりましたので、そういう復旧のための心積もりといいますか、そういうものが進んでいったと思いますし、やっぱり廃業しようという企業さんもおられましたので、そういったところを考えを見直すというきっかけになったということで、非常に有意義な制度だったと思います。
先ほどの他県の事例につきましては、ちょっとコメントできないなというところでございます。
○岩渕友君 ありがとうございました。
グループ補助金が非常に活用されているということ、よく分かりました。
最後に、森参考人と晝田参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほども議論がありましたけれども、消費税が増税をされると、それだけではなくてインボイスの導入もあるということで、今国内や世界の経済情勢を見て非常に不安を感じていらっしゃる中小業者の方もおいでだと思いますし、景気回復の実感を持てないという方も多いと思うんです。
それで、消費増税と、インボイスの導入についても、免税事業者が排除される可能性があると、廃業が増えるのではないかと、こういう懸念も今出てきている中で、その中小・小規模事業者にとって消費税の増税やインボイスの導入がどのような影響をもたらすとお考えか、お聞かせください。
○参考人(森義久君) 消費増税につきましてはこれからになりますが、冒頭の意見を申し上げましたときにも申し上げましたけれども、我々といたしましては、この消費税増税につきましては、しっかりとした我々の商工業、小規模事業者にとっての経済的あるいは景気回復が落ち込みのないように補助制度を拡充していただきたいと、そのように思っております。
インボイスにつきましては、これからの関係で、いろいろと説明をしていきますが、今までにないことでもありますが、しっかり検証しながら進めていきたいと、そのように思っております。
○参考人(晝田眞三君) 消費税増税を前提にいろんなことが進んでいきますので、中央会でも、傘下企業といいますか、会員企業に制度を知っていただいて、活用していただくということで取り組んでおりますので、是非そういった面で進んでいければと思っております。
○岩渕友君 インボイスはいかがですか。
○参考人(晝田眞三君) これも同様に考えております。
○岩渕友君 以上です。
ありがとうございました。