2020年6月25日(木) 参議院 経済産業委員会
一般質疑(閉会中審査)
給付金「みなし法人」にも
日本共産党の岩渕友議員は25日の参院経済産業委員会で、新型コロナウイルス感染症の影響で減収した事業者向けの「持続化給付金」について、法人格のない「みなし法人」も対象にするよう迫りました。
岩渕氏は、給付の対象外となっている「みなし法人」から相次いで相談や要請があり、「法人番号もあり、法人税を納めているのに納得いかない」の訴えがあったと紹介。申請ページで法人番号を入力しても「正しくない番号」と表示され、先に進めない実態も示し、事業実態のない団体とは区別して申請できるよう求めました。
団体を構成する事業者が個々に申請できると言う梶山経産相に対し、岩渕氏は、税務署の指導により単独で事業所として申告しておらず、申請できない実態があると指摘。「少なくとも法人3税を納めている事業者は対象にするべきだ」と要求しました。
梶山経産相は、実態を「調べてみる」と答弁。岩渕氏は「個別の実態を見て検討を」と重ねて求めました。
岩渕氏はまた、東日本大震災被災地の福島、宮城の両県で、50%以上の売り上げ減少という条件のため申請できないとの声が多数寄せられたと紹介。「売り上げが49%減」「あと数百円足りない」の声も示し、「条件を見直すべきだ」と迫り、あわせて1回で終わらない給付を要求しました。
岩渕氏は、政府が活用を促す持続化補助金やものづくり補助金について、「今必要なのにタイムラグがある」「要件が厳しい」などの声を示し、「活用が難しい実態がある。改善を」と求めました。中小企業庁の奈須野太事業環境部長は「ご指摘をふまえ、どのようなことができるか考えたい」と答えました。
(赤字部分のリンクから別ウィンドウで開きます)
質問資料 持続化給付金 権利能力なき社団(いわゆる〝みなし法人〟)の申請【PDF版】【画像版】
(ボタンをクリックやタップすると議事録が開きます)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
国会閉会後、福島県、そして宮城県で事業者の方々、商工団体の方々からコロナの影響について話をお聞きしてきました。
東日本大震災、東京電力福島第一原発事故に加えて、消費税の増税があり、台風被害もあり、そして暖冬もあったということで、被害が重なっていたところにコロナということで、もう何重にも苦しい思いを皆さんしていらっしゃいます。
台風で浸水をして三月に営業を再開したばかりだったのに今度はコロナだと、営業を続けるか悩んでいるという印刷業の方もいらっしゃいました。原発事故で避難指示が出ていた地域がある福島県の川俣町の中心商店街は、この十年間で店舗が三割も減っているということだったんですね。
福島の商工会議所が四月二十七日から五月十二日までで行ったアンケートでは、全体の約七割の事業所の売上げが減少をしていて、今後売上げへの影響が出る可能性がある事業者を加えると九割を超えるということになっています。売上げの減少率が五割を超える事業所は幅広い業種に存在をしていて、極めて深刻な状況にあるんだというふうにしています。
こうした状況の下で、持続化給付金がまさに命綱と言えるものになっているんです。現場に伺えば、支給されて助かったという声がある一方で、どこでも出されたのが、売上げが五〇%以上減少していないので申請することができないと、何でこういう線引きがあるのか、ひどいじゃないかという声だったんです。中には、売上げが四九%減だと、あと数百円足りないという方も何人もいらっしゃって、あっ、こんなにいらっしゃるのかということで、私も非常に驚きました。
何で三〇%減じゃ駄目なのか、四〇%減じゃ駄目なのかという声もありましたし、見舞金や香典だったら要らないんだと、事業を続けられなければ意味がないということで、厳しい実態を訴える方もいらっしゃいました。こうした声に応える必要があります。
売上げの五〇%以上減少という条件を見直すべきです。どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 持続化給付金は、戦後最大とも言えるこの危機の中で、外出自粛等により売上げがゼロになるような、とりわけ厳しい経営状況にある事業者の皆様を対象に、使途に制限のない現金を給付する前例のない思い切った対策であります。
五〇%行かないまでも、多くの事業者が苦しんでいることは承知をしております。補助金、融資、納税の猶予等を含めた税制といった政策手段の総動員を超えた対応であることも踏まえて、売上高五〇%減という線引きをさせて、その要件を設定をさせていただいているのが現状であります。他方、売上げが二割、三割以上減少している事業者も大変厳しい状況に置かれていることは、何度も申し上げますけど、強く認識をしております。
今委員からはその福島、宮城、岩手のお話がありましたけれども、その地域に関しては、さらにまたその地域の実情というものを加味した上での、例えば昨年の豪雨での対応もあったと思いますし、また地方創生臨時交付金というものも、そういったものも考えていくところでありますけれども、様々な合わせ技でその対応をしていくということが政府の考え方でありまして、そういった中で利用できるものをしっかり利用していただく、使えるものは必ずやはり使っていただく、そして、その変化に応じて、この時間の流れの変化に応じて、必要なものはしっかりとまた対応をしてまいりたいと思っております。
○岩渕友君 これ、事業者にとってはもう死活問題になっているんですね。
福島県内では、インバウンドでそもそも全国ほど伸びていないところにコロナの影響が重なったということがあって、旅館であるとか猪苗代湖の観光船の運航会社なども廃業をしているんです。今までは蓄えで何とかしのいできたんだけれども、もう給付金も焼け石に水という、受け取った方でもこういう声もあるし、この先、更に倒産、廃業が増えるんじゃないかという声も寄せられました。
今そういう実態の中で、借入れ自身も非常に慎重になっているんですね。給付金が一回ではとても足りないというこの声も本当にたくさん寄せられたんです。申請の対象を広げるとともに、更なる給付がやっぱり必要だと思うんですね。
これも是非検討していただきたいんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 御意見としてしっかりと受け止めておきたいと思います。
持続化給付金は、固定費で、使途制限なくということで、本来、家賃もここに含まれていたわけなんですけれども、これでは足りないという各党の御意見がございまして、今度の家賃の給付金、そして最大六百万円の支給というものも七月ぐらいから始まる予定でありますけれども、これ、与党内での調整も最終の詰めのところだということを聞いておりますので、しっかりとした様々な対応ができるような仕組みをつくってまいりたいと思っております。
○岩渕友君 一回だけではない給付も求めておきたいというふうに思います。
それで、前回の質問で、みなし法人について質問をしました。
福井競輪売店組合、農民連ふるさとネットワークから、税金納めていると、事業実態もあると、それなのに何で申請できないのかという声が寄せられているんだということで紹介をしたわけです。
その後、さらに、映画センター全国連絡会議といって、映画配給に取り組んでいる事業者の全国ネットワークなんですけれども、ここからもこのみなし法人を対象にしてほしいという要請をいただいたり、とある世界遺産のガイドの会からも、自分たち法人番号もあると、法人税も納めているのに法人扱いしてもらえないことには納得いかないんだということで訴えがあって、兵庫県内の観光地の直売所からも何とかならないのかと、こういう訴えもいただいています。
これも、こんなに申請できない方たちいらっしゃるのかということで、次々余り来るものですから、私も驚いたわけなんです。中企庁にもみなし法人に関する問合せが来ていますというふうに聞いています。
それで、資料を見ていただきたいんです。これ、持続化給付金の申請ページなんですけれども、みなし法人で法人番号を持っている団体が申請ページで法人番号を入力します。そうすると、この赤い字で書かれているように、正しくない法人番号が入力されていますということでエラーになっちゃうんですね。要するに、その先に進むことができないということなんですよ。
大臣が、その前回の質疑の中で、みなし法人は例えばサークル活動や同窓会なども含まれると、財産の取扱い一様じゃないので、給付金が必ずしも事業の継続のために利用されないおそれがあるんだということで答弁いただきました。
先ほど紹介をしたようなみなし法人というのは、サークルであるとか同窓会とは違うということは明らかなわけですよね。みなし法人だから申請できないということで、もう一くくりにするんじゃなくて、これ、分けることができるんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症の拡大により特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を下支えし、再起の糧とすることを目的として現金を給付するものであります。
みなし法人とは、法人税法では法人ではない社団又は財団ということで、代表者又は管理人の定めがあるものに含まれて、例えば、先ほど先生からも御指摘のありました、前回もありましたけれども、福井県の競輪売店組合、農民連ふるさとネットワークと、また映画の関係の法人、団体というものも入るわけでありますけれども、これらに関しては、こうした形態の組織においては財産の扱いは必ずしも一様ではなくて、実態として個々の構成員に帰属することもあって、この場合、給付した現金が必ずしも本給付金の目的である事業の継続のために利用されないおそれがあるということであります。
ただ、この構成をするそれぞれの事業者が単独で出してもらうことには何の問題もございません。例えば、これ競輪の売店の組合でいうと、例えば仕入れを一緒にしているような売店かと思いますけれども、組合だと思うんですけれども、そのなりわいに関しましては、個々のお店の実績等について五〇%減であれば、そういうことの対応もできるということであります。
また、この農民連ふるさとネットワークというのも、多分、今度は出荷のところでまとめてということで、給食などに出荷をするということで聞いておりますけれども、これもそれぞれの農業者が事業として営んでいるものが五割減っていれば、そこはそれでしっかりと対応をしていくということでありますので、そういった中での対応をお願いをしたいと思っております。
○岩渕友君 それ、前回も答弁いただいて、その個々の事業者がやってくれればいいということだったんです。レクをしたらば、個々の事業者の皆さんが申告をしていなくて、要するに法人として申告していて、結局、個々にもやっぱりできないということだったんですよ。それで、それは何でそうしているかというと、税務署から指導があってそういうふうにしているということだったんですよね。
それで、皆さん、この団体の皆さん自身は五〇%以上売上げ減少しているわけなんですよ。だから、特に大きな被害という点では同じなんですね。いずれの団体も法人税納めて、法人三税なども納めているし、事業実態もあるし、去年と今年の収入の金額を比較することも可能なわけなんですよ。なのに、何で申請できないのかということなんですね。
これ、少なくても、法人三税などを納めている事業者は対象にするべきじゃないかというふうに思うんですけど、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 組合の構成員の方も多分申告はしているはずだとは思うんですけれども、それがないというお話でしたけれども、そうすると、一本でそこでやっているということは、逆に法人化をしていく必要があるのかなという、これは私、個人的にはですよ、今そういうことを感じましたけれども、実際ちょっと調べてみます。調べた上で、私の発言が少し、今日の、そういう前提で発言をしておりませんので、そういった形で、個々の構成者が一切申告をしないでそのみなし法人でしているというのは、税務署の指導だということも含めて、ちょっと調べさせてください。
○岩渕友君 あわせて、もう個々の事業者というのもあるんですけど、その法人としてということも是非見ていただきたいというのがあるんですね。今言っていただいたみたいに、ちょっと個別の実態を見ていただいて、是非とも検討していただきたいということを強く求めておきたいというふうに思います。
今日もいろいろ議論があるんですけど、やっぱり給付金の目的が事業の継続のためだということで、この皆さん自身もやっぱり事業の継続のために必要なんだという思いは同じなわけですよね。申請すらできないというのはやっぱりおかしいということだというふうに思うので、是非検討をお願いしておきたいというふうに思います。
それで、今日も少し答弁あったんですけど、この間、大臣答弁の中で、例えば持続化給付金受けられないといった場合に、持続化補助金ありますとか、ものづくり補助金あります、あとIT導入補助金も活用してほしいんですということで、いろんな補助金使ってほしいと言っているんですけれども、北海道の新ひだか町の商工会からこうした補助金についての意見が寄せられていて、コロナ対策として持続化補助金を申請して採択待ちなんだけれども、今お金が必要なのに実際受け取る時期とのタイムラグがあると、この持続化補助金の活用を求めるのであればもっと早くしてほしいという声が寄せられています。こうした声にどう応えるのかという問題。
そして、ものづくり補助金について要件があるわけなんですよね。給与の支給総額の年率一・五%以上の増加、事業場内の最低賃金をプラス三十円以上という要件あるんですけど、これがはっきり言って厳しいと。賃金を上げられる対策とセットでないと難しいんだという声もありました。こういう声にもどう応えるのか。
さらに、ものづくり補助金について、必要書類は減ったと。減ったとはいえ、商工会では職員が徹夜での対応を強いられていると。大手の金融機関なら事務も早く対処できるかもしれないけれども、地方では商工会が頼りにされていて、自分たちのところに相談来ると、必要書類減らしてほしいという声もありました。
それで、活用してほしいと言うんだけれども、結局はなかなか活用がしにくいという実態があるということなんですね。このコロナの影響で事業者が大変なときだからこそ、活用しやすくする必要があると思うんです。
こうした指摘を受けて、この補助金の使いにくいと言われている部分を改善する必要があると思うんですけど、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 御指摘があるたびに改善を図っていくという意識で取り組んでおります。
今回のコロナウイルス感染症の影響を受ける特別枠というものを設けているわけでありますけれども、この持続化補助金については、通常枠では公募から採択までかなりの時間掛かるのも事実でありますけれども、特別枠の第一回目の公募では一か月以下に短縮をしたところであります。
ただ、個別にいろんな差があると思います。いろんなその書類の内容についての審査が伴うということですから、できるだけ標準化しているものに関しては一か月ということでやらせていただいている。また、補助対象経費についても、採択前の二月十八日以降の取組に遡って支援するなどの柔軟化を図っておりますし、書類を少なくすることということも、かなり減らしているということであります。
また、商工会からのお話ありましたけれども、今回、商工会のこのコロナ禍での対応の強化ということでの予算も付けておりますし、そういったことも含めてこれから対応も、また足りなければそういう対応もしていかなければならないと思っております。
補足があれば、奈須野部長。
○政府参考人(奈須野太君) まず、持続化補助金について時間が掛かるという御指摘ございました。
今回、特別枠を設置しておりまして、通常、公募から採択まで三か月掛けていたわけですけれども、これを一か月以下に短縮しておりますし、それから遡りというか、採択前の二月十八日以降の取組に遡って支援するということで、できるだけ使い勝手を良くしております。二〇%以上売上げが減少している方については、交付決定と同時に、補助金の半分を概算払をするという特別な措置も今回導入しているところでございます。
それから、ものづくり補助金でございますけれども、コロナの問題が起きる前に生産性向上や賃上げの目標のちょっと強化というか見直しを行ったわけですけれども、今回こういうことがございましたので、この目標の達成時期を一年間猶予するということで申請要件の緩和を図っております。
それから、申請書類多過ぎるんじゃないかと、こういうような御指摘もございました。そういった観点から書類の削減を進めておりまして、最大十六点必要であった申請書類を七点まで減らすということで、できるだけ申請がしやすいように見直しを進めているということでございます。
まだこれでも足りないというような御指摘もあろうかと思いますが、引き続き、御指摘を踏まえまして、どのようなことができるか考えていきたいと思っております。
○岩渕友君 以上で質問終わります。