2020年11月24日(火) 参議院 経済産業委員会
一般質疑(梶山経産大臣の所信的挨拶を受けて)
みなし法人支援せよ
法人登記していない「みなし法人」が、新型コロナの影響を受ける事業者を支援する「持続化給付金」の対象外となっている問題について、日本共産党の岩渕友議員は24日の参院経済産業委員会で、実態を見て申請を認めるよう求めました。
法人登記していない農産品の直売所や付属レストラン、観光地の「ガイドの会」などは、事業実態があっても「持続化給付金」の対象外です。
岩渕氏は「持続化給付金が出るかどうかは生死がかかる問題だ」と指摘。みなし法人の福井市競輪場売店組合が申請のために準備した写真や収支計算書、出勤簿を示し、「営業していることは一目瞭然だ。中小企業庁は『一つ一つの現場に足を運ぶことは難しい』というが、確認できるものから対象にするべきだ」と主張しました。
中小企業庁の奈須野太次長が「(みなし法人の中で)多数はマンション管理組合や町内会だ」「(事業実態があるものは)少数で、名称から識別できない」と述べたのに対し、岩渕氏は「どうすればみなし法人を対象にできるのか知恵を出してほしい」と強調しました。
原発汚染水 海に流すな
日本共産党の岩渕友議員は24日の参院経済産業委員会で、東京電力福島第1原子力発電所事故により発生し、設備処理後、敷地内タンクで保管している汚染水について、海洋放出を絶対に行わないよう迫りました。
福島県漁連は2015年8月、「タンクにて責任を持って厳重に保管管理を行い、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わないこと」という要望書を東電と国に提出しています。これに対し、東電は「プロセスや関係者の理解なしにはいかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします」と回答しています。
岩渕氏はこのことを示し「この立場に今も変わりはないか」とただしました。東電の小早川智明社長は「今後国が示す基本的な方針に従い適切に対応していく」と述べるのみ。梶山弘志経済産業相は「理解を得られるよう努力し続けることが大切という考え方は一貫して変わらない」「理解を得るための活動をしっかりとしていく」と答えました。
岩渕氏は「漁業者のみなさんは海洋放出絶対反対と言っている。海洋放出は絶対にあってはならない」と強調しました。
(赤字部分のリンクから別ウィンドウで開きます)
質問資料① 福井市競輪場売店組合【PDF版】【画像版】
質問資料② 福島県漁業協同組合連合会への東電の回答(2015年8月)【PDF版】【画像版】
質問資料③ 全国漁業協同組合連合会「福島第一原理力発電所事故に伴う汚染水の海洋放出に断固反対する特別決議」(2020年6月)【PDF版】【画像版】
質問資料④ 東電福島第一原発 配置図(2020年10月)【PDF版】【画像版】
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2020年11月24日(火) 参議院 経済産業委員会
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
長引くコロナ禍で、多くの中小・小規模事業者、そして個人事業主の方々から、このままだったら年を越すことができない、こういう悲鳴が本当に多く上がっています。
宮城県の商工団体連合会で、宮城県内の中小業者の方々から話をお聞きしました。東松島市で民宿をやっているという方は、三月から七月前半は一日中電話が鳴らない日が続いて、東日本大震災のときよりも大変だった、海水浴も禁止となって、常連客も次々とキャンセル、東京からの宿泊がゼロになったショックは大きかった、こういう話をお聞きしました。
御夫妻でエステを経営している方からは、売上げは半分以下、エステの優先順位は一番最後、お客さんのために何とか続けたいけれども、お金を借りるに借りられない、年を越せるか心配だ、こういう声が寄せられて、塩竈市のあるビルでは、十軒ほどスナックが軒を連ねていたんですけれども、全て撤退をすると、こういうことが起きていたり、仙台市内でレストランを経営していたんだけれども、消費税の増税でダメージを受けていたところにコロナが重なって廃業をして、新しい仕事に就いたんだけれども、店主が妻子を残していなくなった、もう生きるか死ぬかの状況になっているんだと、こうした実態が次から次へと出されました。
営業継続の努力を続けているんだけれども、持続化給付金はもう使い切ってしまったと、こういうのが今皆さんの実態なんですよね。大臣は、この給付金の継続ということについて、今後については内外における感染状況や経済の動向を見極めたいと、こういうふうに答弁をしているんですけれども、コロナの感染が拡大をする下で、この持続化給付金を一回限りじゃなくて継続しなければもうとても事業続けられないというのが実態なんですよね。
これ、再給付を是非決断していただきたいんですけど、どうでしょうか。
○国務大臣(梶山弘志君) 持続化給付金に関しましては、今年の五月から始まった制度でありまして、これまでに約四百万件の方が申請をしておられる、そして約五兆円のお支払をしているということであります。
そういった中で、今も申請者があって、しっかりとできるだけ速やかにお支払をするような形で対応してきているところでありますが、中小企業の対応、小規模事業者の対応ということでは、多層的に様々な手段を取ってきておりますし、それぞれに向いたまた対応を、選択肢を選んでいただければと思っておりますけれども、それでも足りないという声も十分に私の方にも届いているところであります。
今回の感染がまた拡大をする中で、例えば大阪であるとか札幌であるとか、非常に多くの感染者、重症者が出ているという中で、行政がしっかりとまた何かしらお願いをしなくちゃならないという場合に、協力要請推進枠というものが先週創設をされまして、五百億円の枠で対応しているということでありますが、そのほかにも地方創生臨時交付金ということで、県や市町村の対応に委ねる形でこれまで二回にわたって三兆円の予算を組んでいるところであります。
地方の実情というのは地方がやはり一番分かっているところもあり、全国一律というよりも、感染状況などを見ながら対応していただきたいということで今回の協力要請推進枠の創設をしたところでありますけれども、これのみならず、これに限らずにしっかりと対応できるような今対策というものを議論をして、できるだけ早くその実施に向けて対応してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今、多層的というお話あったんですけれども、お金を借りるに借りられない状況だと、何回ももう借りてきているということで、年をこのままじゃ越せないという声があるのも事実なんですよ。
今お話にあったような、その時短要請なんかに合わせたお金ということで追加は決めているということなんですけれども、やっぱりそれだけではなくて、この給付金の継続が必要だというのが現場の皆さんの本当に切実な願いなんですよね。これをやっぱり強く求めるとともに、地域やその業種の実情に合わせてということでいうと、その事業を継続、維持するための新たな給付金制度とそのための交付金の支給、これを強く求めたいというふうに思います。
今お話をしたように、事業者の皆さんの実態、切迫しているんですよね。持続化給付金の確実な給付とともに、対象になっていない事業者の皆さんを対象にする必要があります。
いわゆるみなし法人についてなんですが、六月の閉会中審査の中で大臣から、調査をすると、こういう答弁があって、実際に調査そして検討が行われました。その結果、中小企業庁から、事業性が低い法人もあって線引きが難しいと、こういうふうに言われたんですけれども、継続して事業を行って、収益を上げているかどうかというのは実態見れば分かるんだと、一つ一つをよく見て審査してほしいという声がその後も寄せられているんですよね。
実際、中小企業庁が関係の省庁にいろいろ聞き取りも行っていると。その中で、道の駅なんかは事業の実態確認できると、こういう話だったというふうにも聞いています。事業性があって、コロナ禍で売上げが落ちているのに、線を引くのが難しいから対象にならないんだというふうに言われても、これ、やっぱり納得できないんですよね。
前回の質疑でも取り上げました福井市の競輪場売店組合ですけれども、ここは結成から五十年以上です。飲食店が集まって組合をつくって、売店で複数の飲食店が営業をしています。
これ、資料一を御覧いただきたいんですけれども、これ、上の写真は競輪場内の案内図ということで、そこにもちゃんと食堂のコーナーが明記をされています。この下の写真は食堂の中の様子なんですけれども、こうしてお店が並んでいるというような状況なんですよね。これを見れば営業しているということはもう一目瞭然なんですよ。全国商工団体連合会を通して私のところにこうした資料が来たんです。これ、四十枚あって、本当は皆さんに全部見ていただきたいぐらいなんですけれども、こうした写真が何枚も入っていたり、収支計算書であるとか出勤簿もあるんですよね。
先日、中小企業庁との交渉の中では、担当の方に同じ資料を渡してあるんですけれども、法人番号もあって法人税も納めているのに何で申請すらできないのかと、今も全国から訴えが届いています。中小企業庁とのやり取りでは、事業の実態を確認するために一つ一つの現場に足を運ぶことは難しいんだというふうにずっと言われているんです。だから、事業者が自分たちでこうした写真を撮って、事業の実態示しているということなんですよ。こういった形で事業の実態を明らかにできるんですよね。
線引き難しいというんですけれども、事業の実態をこういった形で確認できると。確認できるみなし法人から対象にしていけばいいのではないでしょうか。
○政府参考人(奈須野太君) お答え申し上げます。
持続化給付金でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな影響を受けている方に対して事業の継続を下支えすると、再起の糧とするということを趣旨としております。この観点から、事業の永続性であるとかあるいは個人財産との混同を防ぐ観点から、法人格があるということを要件としております。
お尋ねのみなし法人でございますけれども、いわゆる任意団体であるとかあるいは人格なき社団等と、こういうカテゴリーでございます。その中には、その多数は共済組合であるとかマンション管理組合であるとか町内会であるとか幅広いものが含まれるわけでございます。こうした団体は、構成員の福利厚生、それから共用の施設の管理であるとか相互交流を行うものが大多数でございます。こうした団体は、構成員からの会費などによって活動費が賄われるべきものであって、公、公費による支援はなじまないというふうに考えております。
ただ一方で、御指摘のような農産品を販売を行うグループであるとか、不特定多数に対して財・サービスを提供する株式会社類似の団体、これはございますけれども、こうしたものは少数でございます。これは法人の番号やその団体の名称から識別することはできません。
このような人格なき社団などの実態は極めて多様でございます。所管省庁においては、その実態把握の状況は様々に異なります。道の駅の例を挙げられましたが、そういった公の制度によって把握しているものというのはごく一部でございまして、こうした人格なき社団の活動内容を一つ一つ分類して給付の是非について判断する、現地で確認するということは私どもにとっては現実的ではなく、持続化給付金の対象に含めることは困難というふうに考えております。
一方で、地方自治体などにおきましては、人格なき社団などの個々の事業実態を現地で確認できる、把握できるという強みがございます。そうしたことで、現地の当該地域でのその団体の活動が重要であるといった意義を踏まえて、独自に給付金であるとか補助金であるとかの支援措置を講じている自治体も実際にございます。
今回、地方創生臨時交付金なども御活用いただきながら、それぞれの団体の地域における様々な活動が支援されるということで、こういうことが重要であるというふうに考えております。
○岩渕友君 寄附金等を主な収入源とするNPO法人も、九月二十九日から持続化給付金の対象になっています。約二万法人あるそうなんですけど、所管の内閣府が事前確認事務センターを新設していて、ここで事前確認を受けた後、持続化給付金の事務局に申請をするという流れになっているんですね。この事務センターには、十一月上旬時点で百件を超えるアクセスがあったということを聞いています。みなし法人も同じ二万社なんですよね。
寄附金等を主な収入源とするNPO法人を対象としたように、みなし法人も対象にするべきです。どうですか。
○政府参考人(奈須野太君) NPO法人でございます。NPO法人につきましては特別の法律がございまして、その法律に基づいて法人格がございまして、所管官庁による監督もございます。こうしたNPO法人につきましては、従来から持続化給付金の対象となる法人ということで、その事業収益などを売上げの基準としているということでございます。その計算方法として、寄附金なども売上げに含められるよう算出方法を変更したという経緯がございます。
人格なき社団などを持続化給付金の対象に追加するということとは性質が異なるというふうに考えております。
○岩渕友君 先ほど答弁にあったように、公で確認できる部分もあると。確認できない部分は、こういうふうに事業者の人たちが写真を出してきて、大変だからということで、でも事業やっているんだということで、こういうふうに出してきているわけですよね。
これ、これまでもいろいろ調査もしていただいているし、現場に足を運んでいただいているのも分かるので、更に知恵出していただきたいんですよ。更に知恵出して何とか対象にしてほしいんですよ。大臣、どうですか。
○国務大臣(梶山弘志君) 先ほど申しましたように、これ四百万件からの申請があるわけですね。そういった中で、やはりある程度の線引きはしなくちゃならないということでもあります。
そして、一件一件確認に赴くというような形ではなかなか迅速な対応というのはできない。そういった中で考えられる手段というのは、地方創生臨時交付金等で地方が、やはり自治体がしっかり把握できるということであって、また、この地域によって必要だということであれば、それらも支払えるような交付金になっておりますので、その中で対応していただくというのが私どもの考え方であります。
○岩渕友君 これ、本当に知恵出していただいて、是非対象に含めるように引き続き検討してほしいということを強く求めておきたいと思います。
次に、ALPSで処理をされた汚染水の取扱いをめぐる問題についてお聞きをいたします。
この二月にALPS小委員会の報告書が出てから、これを受けて、福島県内では、県議会のほかに四十一の市町村議会で、これ七割に当たる議会になるんですけれども、海洋放出に反対若しくは慎重な対応を求める意見書が相次いで上がっています。四月から七月末までに行われたパブリックコメントは四千件以上に上っているんですよね。これを、一つの意見にいろんな意見が入っているということで、意見ごとに切り分けて集計した意見の総数というのは八千件を超えています。海洋放出への懸念が五千件を超えるということで、海洋放出の決定など、とてもできるような状況ではありません。
二〇一五年八月に、福島県漁連が、サブドレン水等の排水に対する要望書を東京電力と政府に提出をしています。この中に、建屋内の水は多核種除去設備等で処理をした後も、発電所内のタンクにて責任を持って厳重に保管管理を行い、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わないことという要望があります。これに東電は何と回答をしているか、該当部分だけを読み上げてください。
○参考人(小早川智明君) 東京電力ホールディングス、小早川でございます。ただいまの先生からの御質問に御回答いたします。
二〇一五年八月に、福島県漁業協同……(発言する者あり)はい。
要望書の四点目につきましては、建屋内の汚染水を多核種除去設備で処理した後に残るトリチウム水を含む水については、現在、国(汚染水処理対策委員会トリチウム水タスクフォース)において、その取扱いに係る様々な技術的な選択肢、及び効果等が検証されております。また、トリチウム分離技術の実証試験も実施中です。検証等の結果については、漁業者を始め、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたしますと回答させていただいております。
○岩渕友君 資料二を御覧いただきたいんですけど、このとおりとなっています。
東電に聞くんですけど、この回答を守るという立場に今も変わりはないということでいいですね。これ、確認します。
○参考人(小早川智明君) 当社といたしましては、廃炉・汚染水対策を安全かつ着実に進めていくに当たり、リスク低減に向け安全対策の取組や作業状況などについて地元を始め広く社会の皆様にしっかりとお伝えし、御理解いただきながら進めていくことが重要だと考えております。
また、処理水の扱いにつきましては、二〇二〇年二月に取りまとめられました国の小委員会の報告書を受け、国が立地自治体や関係省庁との意見交換、御意見を伺う場や書面での意見募集などを行い、これら様々な機会を通じて得た御意見を踏まえて、今後国から基本的な方針が示されるものと認識しております。
この基本的な方針につきましては、こうした幅広い関係者の皆様の御意見を踏まえて関係省庁で検討がなされた上で国として責任を持って出される結論と認識しており、当社といたしましては、これに従い、丁寧なプロセスを踏みながら適切に対応してまいる所存でございます。
当社は、今後、引き続き情報を正確に伝えるためのコミュニケーションや風評の払拭、福島県産品の流通促進の取組を進めてまいりますが、その際には、国から示される基本方針の具体的内容を踏まえた上で、関係者の皆様に御理解を深めていただけるよう、取組を更に充実してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 今の答弁でいうと、じゃ、国が海洋放出という方針決めたら、県漁連との約束はほごにしてもいいというふうに考えているということなんですか。
○参考人(小早川智明君) 繰り返しになりますが、今後国からお示しいただく基本的な方針は、国の小委員会で長期にわたる御議論を経て報告書を取りまとめられたこと、また、国主催の御意見を伺う場が設けられ、ここでの多くの関係者の御意見を踏まえて出された結論であり、当社といたしましては、これに従い、丁寧なプロセスを踏みながら適切に対応してまいる所存であります。
当社といたしましては、計画的なリスク低減を実現しつつ、透明性を確保し、関係者の御理解をいただきながら廃炉を進めることにいささかの変わりもなく、風評対策も含めて、引き続き関係者の御理解を深められるよう努力を続けてまいります。
○岩渕友君 全然答えていないし、これ、約束破ってもいいと思っているということ、回答にあったということになるんじゃないんですか。
これ、資料三を見ていただきたいんですけど、これ全漁連が第一原発事故に伴う汚染水の海洋放出に断固反対をする特別決議というもので、六月二十三日に全会一致で採択をされたものです。これ、非常に重いものです。
ここの中には、国も漁業者に対して、汚染水について関係者の理解なしに放出は行わないとする方針を遵守していかなければならないと回答してきたというふうにあるんですね。
大臣も全漁連の要請受けていると思うんですけれども、この関係者の理解なしに放出は行わないという立場に変わりはないということでいいですか、大臣。
○委員長(有田芳生君) 最後に、梶山国務大臣。
○国務大臣(梶山弘志君) 先般、全漁連から十月十五日に要請書を頂戴をいたしました。地元を始め関係者の御理解を得られるよう努力し続けることが大切という考え方は一貫して変わりません。受け取ったからそれで終わりということではなく、理解を得るための活動をしっかりとしていくということであります。
○委員長(有田芳生君) 時間ですのでおまとめください。
○岩渕友君 はい、分かりました。
漁業者の皆さんは海洋放出絶対反対と言っているわけで、意見聞くということはその声聞くということになるんですよ。
海洋放出は絶対にあってはならないということを求めて、質問を終わります。