
日本共産党の岩渕友議員は1日の参院沖縄北方・地方特別委員会で、日ロ間の領土問題が未解決のもとで、2019年から墓参を含む島への自由訪問ができない現状を突きつけ、元島民の切実な願いである墓参再開に向けた取り組みを政府に求めました。
黄川田仁志沖縄北方担当相は「最優先事項の一つである北方墓参に重点を置き、事業再開を強く求めていく」と従来の答弁を繰り返しました。
岩渕氏は、17歳で択捉島を追われた山本昭平さんのインタビュー記事(北海道新聞)を紹介。山本さんはグリーンランド領有に意欲を示すトランプ米大統領は「北方領土を占領したソ連と何が違うのか」と問いかけ、米国とロシアが「力の論理」をふりかざすなど「戦前に似てきた」と語っているとして、この訴えを受け止め、国際法にも国連憲章にも反する米国とイスラエルによるイランへの攻撃中止を働きかけるよう政府に強く求めました。
また、漁業は「北方領土」隣接地域の基幹産業だとして、1日に出漁となったサケ・マス流し網漁への支援の重要性に言及。サケ・マス漁については、母川国主義に基づきロシアと毎年交渉しており、日本側は3月、ロシア側に支払う漁業協力事業費を、漁獲高に応じ1・8億~3億13万円(前年度同)とすることで妥結したが、出漁隻数が11年度の67隻から26年度の15隻へと4分の1にまで激減しているため、漁業協力費が1隻あたり300万~600万円超の重い負担となっていると明らかにしました。
その上で、国による補助はあるものの、太平洋小型さけ・ます漁業協会は負担が厳しいと訴えており、ロシアとの関係でもこの海域での漁は重要だとして、漁業協力費への補助を手厚くするなど、さらなる対策を求めました。
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221-参-沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会-002号 2026年04月01日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、日本とロシアの領土問題に関わって質問をします。
ロシアによるウクライナ侵略から四年がたちました。プーチン政権は、国際法違反のウクライナ侵略を日本が非難していることをもって、平和条約交渉を中断し、ビザなし交流の合意を破棄するという極めて横暴な態度を取っています。
二月二十四日付けの北海道新聞に、択捉島出身の山本昭平さんのインタビューが掲載をされていました。山本さんは、二月七日に行われた北方領土返還要求全国大会のパネルディスカッションでパネリストをされていらっしゃいました。終戦時十七歳だった山本さんは、ソ連占領下の島で重労働を強いられて、一九四七年に強制退去させられています。インタビューでは、戦火の母国を逃れるウクライナの人たちに御自身の記憶を重ねて、さらに、アメリカのトランプ大統領がグリーンランドの領有にも意欲を示していることに対して北方領土を占領したソ連と何が違うのかと述べて、アメリカとロシアが力の論理を振りかざしているとして、世界が戦前に似てきたんじゃないかというふうに述べていらっしゃいます。
筆舌に尽くし難い経験をされてきた山本さんの訴えは非常に重たいものがあると思うんですね。大臣はこの訴えをどのように受け止めるでしょうか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 御指摘のインタビュー記事については私も拝読いたしました。ソ連によって故郷を追われた経験を現在の国際情勢と重ねて語っておられ、私としても大変重く受け止めました。
山本様のようなこうした元島民の方々の思いをしっかりと受け止めて、北方領土問題を外交交渉によって平和裏に解決すべく、強い決意を持って粘り強く取組を進めてまいりたいというふうに思っております。
○岩渕友君 重く受け止めたという答弁でした。
今、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が泥沼化をしているという状況になっています。攻撃は国連憲章にも国際法にも反するものであり、政府には直ちに攻撃をやめるようアメリカとイスラエルに求めるよう強く求めたいというふうに思うとともに、日本とイランとの間にある友好関係ありますので、それを生かしてアメリカとイランが戦争終わらせるための外交交渉を開始するための働きかけを行うようにも強く求めたいというふうに思います。
このロシアのウクライナ侵略などによって、北方墓参及び自由訪問は二〇一九年を最後に行われていません。三月二十二日に国後島民の会が総会を開催して、北方墓参の早期再開を求める決議文を採択しました。
元島民の方々が、平均年齢もう九十歳に達する下で、墓参の再開というのは切実な願いになっています。こうした願いにどう応えるのか、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 北方墓参を始めとする北方四島交流等の事業の再開は日ロ関係における最優先事項の一つであります。政府として、ロシア側に対して、今は特に北方墓参に重点を置いて事業の再開を引き続き強く求めていく考えであります。
私自身、令和元年に四島交流事業に参加し、お墓参りもさせていただきました。御高齢となられた元島民の方々、もう平均年齢九十・二歳ということでございます。もう切実なお気持ちにお応えしたいという思いも私は強く持っております。事業が再開可能な状況となった際には速やかに実施できるよう、しっかりと準備してまいりたいと思っております。
○岩渕友君 今大臣から最優先事項だという御答弁あったんですけれども、墓参の再開が見通せないというような声も上がっていますので、政府には再開に向けて力を尽くしていただきたいということ、これも強く求めておきたいというふうに思います。
次に、北方領土隣接地域の基幹産業である漁業、そのうち、サケ・マスについて質問をします。
先ほど勝部委員も質問をされていたので重複するところもあるんですが、改めて確認の意味で質問したいと思います。
日本の二百海里水域内で行うサケ・マス漁について、ロシアとの交渉が妥結をして、本日、四月一日から出漁ということになりました。日本漁船による漁獲枠、魚種別の内訳、ロシア側に支払う漁業協力費の額はそれぞれどうなったか、妥結内容について教えてください。
○政府参考人(魚谷敏紀君) お答えいたします。
日ロサケ・マス漁業交渉につきましては、本年三月十七日から三月十九日まで開催をされ、日本水域における我が国漁船によるロシア系サケ・マスの操業条件等について妥結をいたしました。
具体的には、二〇二六年の漁獲量の上限については前年同であり、カラフトマス、ベニザケ、ギンザケ、マスノスケの合計が千五百五十トン、シロザケが五百トンの計二千五十トンとなっております。
また、日本側からロシア側に供与する協力費につきましても、一億八千万円から三億十三万円の範囲で漁獲実績に応じて決定するという前年と同じ内容となったところでございます。
これらによりまして、日本側漁業者の要望する、本日四月一日からの出漁が確保されたところでございます。
○岩渕友君 昨年も漁獲枠は二千五十トンだったわけですけれども、漁獲量は三百四十六トンですよね。非常に少ないという状況です。この出漁隻数の推移、どうなっているのか確認をします。
○政府参考人(魚谷敏紀君) お答えいたします。
小型サケ・マス流し網漁業の出漁隻数は、十五年前の二〇一一年度には六十七隻であったものの、十年前の二〇一六年度には四十五隻、五年前の二〇二一年度には三十一隻、昨年度、二〇二五年は十七隻という推移となってございます。
○岩渕友君 先ほどの答弁の中では、ピークだった一九八七年には二百八十三隻でしたかね、というふうにもありました。
それで、資料を見ていただきたいんですけれども、今御答弁いただいたとおりなんですね。今年度は十五隻まで減少をしているというわけですよね。この十五年だけを見ても四分の一以下にまで減ってしまっているという状況になっています。
これなぜ出漁隻数が減っているのか、その理由についてお答えください。
○政府参考人(魚谷敏紀君) お答えいたします。
御指摘のとおり、我が国二百海里水域における小型サケ・マス漁船の出漁隻数は減少しております。その要因につきまして、水産庁としましては、サケ・マスの漁獲量の減少、乗組員の確保の状況、さらには、例えば兼業業種であるサンマ棒受け網漁業の不振といったものが複合的に影響しているものというふうに認識をしてございます。
○岩渕友君 今の答弁の中で、漁獲量が減少していることとか、人手不足というんでしょうかね、乗組員が減っているというような答弁だったんですけれども、それだけではないんだというふうに思うんですね。
ロシア二百海里水域においてサケ・マス流し網漁が禁止されたことに伴って、他の魚種に切り替えた影響も大きかったんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、これいかがですかね。
○政府参考人(魚谷敏紀君) お答えいたします。
当然、漁業者の皆さんの経営の内容、あるいはどういう業種を組み合わせて経営されているかということにつきましては、個々の漁業者によって状況は異なるものと認識をしております。そういった中で、先ほど私が述べた要因以外の要因が影響している可能性というのももちろんあるというふうに考えてございます。
○岩渕友君 更に言うと、ロシアのクリミア半島併合であるとかウクライナ侵略などの影響もあったんじゃないかなというふうにも思っています。
それで、もう一度資料を見ていただきたいんですけれども、出漁隻数の減少に伴って一隻当たりの漁業協力費の負担が増えているんですよね。二〇一一年度には約三百万円でしたけれども、二〇二五年度はもう倍以上の六百万円を超えるまでになっています。
この協力費の負担軽減のためにどんな対策が行われているのでしょうか。
○政府参考人(魚谷敏紀君) お答えいたします。
サケ・マス漁業の協力費につきましては、近年、ロシアとの交渉において協力費の引下げを実現するとともに、水産庁においては、サケ・マス漁業協力事業によりましてサケ・マス増殖用の機材供与に係る経費の一部を助成し、漁業者の負担軽減措置を行っているところでございます。
更なる漁業者の負担軽減となるよう、協力費の引下げの実現に向けましてロシア側と交渉をしてまいりたいと考えているところでございます。
○岩渕友君 補助率が、政府負担金が四分の三以内となっていたと思うんですよ。多くの政府の負担金、大体二分の一が多い下で手厚い補助になっていると思うんですが、そういう認識でいいでしょうか。
○政府参考人(魚谷敏紀君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、サケ・マス漁業協力事業については、サケ・マス増殖用の機材供与に係る経費の四分の三以内の補助率ということになってございます。これは、国連海洋法条約の母川国主義の規定を踏まえたサケ・マス資源の保存及び管理に係る国際協力の推進、サケ・マス漁業の安定的な操業の確保及び国民へのサケ・マスの安定供給を図るため、サケ・マス増殖用の機材供与に係る経費の一部を四分の三という補助率で助成をしているというものでございます。
○岩渕友君 政府負担金が手厚くなっているのは非常に重要性があるからだということでよろしいんですよね。つまり、この地域でサケ・マス漁を行うということが重要だということでもあるんだと思うんですね。
太平洋小型さけ・ます漁業協会は、一隻当たり協力費負担が増加するなど厳しい状況に置かれているというふうに述べていらっしゃるんですね。先ほどその政府の負担金四分の三以内というふうにあったわけですけれども、資料を見ていただければ分かるように、昨年度の協力金一億八千万円なのに対して、補助金の予算額は七千二百万円なので、政府の負担は単純に四分の三というふうにはなっていないんですよね。
北方領土隣接地域の基幹産業である漁業と漁業者への支援の重要性、この海域で漁を行うことの重要性から見れば、出漁隻数が十五隻にまで減っているということは重大です。漁業協力費の補助をもっと手厚くするなど、更なる対策が必要だというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 北方領土隣接地域は返還要求運動の拠点でございます。よって、漁業を始めとする地場産業の振興など、この地域の振興と住民生活の安定を図ることは大切な課題であると考えております。
内閣府としても、漁業を含めた隣接地域の振興が図られるよう、農水省を始めとする関係省庁としかるべき連携をしてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 非常に重要な問題ですので、更なる対策、是非検討いただきたいということを求めて、質問を終わりたいと思います。