岩渕氏は、盗掘され国内外に保管されているアイヌの遺骨返還を求める訴訟などが後を絶たない実態を指摘。2007年に先住民族の生存、尊厳、福祉のための最低基準を定めた国連宣言に沿った具体化を行うことが政府の責任だと強調し、アイヌ施策推進の改正を行うよう求めました。
岩渕氏がアイヌの遺骨返還状況をただしたのに対し、渡邊輝内閣官房アイヌ総合施策推進室室長は、政府が把握している2091体のうち、祭祀(さいし)継承者に2体、出土地域に202体返還されたと答弁。岩渕氏は「全体のわずか10%だ」「遺骨が故郷に帰れない、こんなに悲しく苦しいことが許されるのか」と訴えました。
オーストラリアは先住民族の遺骨や祭礼具の返還のため、出どころの調査や資金助成を行い、国内博物館8施設が協力体制を取る場合もあると紹介。昨年、日本共産党の紙智子参院議員(当時)が、オーストラリアと比べ遅れている日本も海外での遺骨返還の動向把握をすべきだと求めたのに対し、当時のアイヌ担当相が「研究したい」と答弁したとして、現状をただしました。
黄川田仁志アイヌ担当相は「情報収集、検討作業を進める」とだけ答弁。岩渕氏は「今日までアイヌの方々に悲惨な経験をさせてきたのは国による強制移住と同化政策に他ならない。国が調査チームを設置するなど、率先し遺骨を返還しにいくくらいのことが必要だ」と強調し、政府の責任で遺骨返還すべきだと求めました。
日本共産党の岩渕友議員は5月25日の参院決算委員会で、3月に閣議決定された「第6次男女共同参画基本計画」が女性差別撤廃委員会等でも重ねて指摘されてきた選択的夫婦別姓や最低賃金目標を削除するなど後退しているとして、黄川田仁志男女共同参画・女性活躍担当相に認識をただしました。
黄川田担当相は「APEC(アジア太平洋経済協力会議)女性と経済フォーラム2026で日本の女性活躍の前進を象徴することとして、女性初の内閣総理大臣のもと強い経済の実現に向かっていると紹介したところだ。後退しているとは考えていない」と開き直りました。
岩渕氏は、地方からの人口流出のうち、33道県は男性より女性の転出が多くなっていると指摘。「とりわけ10代後半から20代の女性の転出が多くを占めている。地域社会の固定的な性別観にかかわるアンコンシャスバイアス(無意識の偏見、思い込み)や低賃金、非正規雇用などを選択せざるを得ないような多岐にわたる問題解決が求められている。包括的な施策が必要だ」と主張しました。
221-参-決算委員会-004号 2026年05月25日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
初めに、アイヌ施策推進法に関わって質問をします。
二〇一九年五月に施行されたアイヌ施策推進法は、附則第九条で、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」としています。
五年が経過し、政府は、見直し作業を始めると表明し、ラポロアイヌネイションや静内アイヌ協会などが改正を求めていたにもかかわらず、昨年十二月、改正しないと決めました。これに対し、私たちの要望はどうなったのか、改正されずに残念だとアイヌの皆さんが大変落胆をされています。
大臣、この思いをどう受け止めますか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 委員御指摘のとおり、アイヌ施策推進法の附則に基づきまして、法の施行状況や今後講ずる措置の検討を行うに当たっては、令和六年九月から十か月程度の期間を掛けて、アイヌ、北海道内の各地、また東京において、アイヌの方々の御意見等を広く伺う意見交換会を計二十回開催してまいりました。政府として、可能な限りアイヌの方々の意見や御要望の把握に努めてまいりました。当該意見交換会でいただいた様々な御意見を踏まえまして、政府内におきまして真摯に検討を行い、昨年十二月に開催されたアイヌ政策推進会議において、アイヌの方々を含む委員の皆様に検討結果を御報告したところでございます。
今後は、多岐にわたる課題に対しまして、教育や啓発などを力点を置いて取り組む方向性を示し、総合的な施策を継続実施していくこと、その際、施策間、地域間等の連携を一層推進していくこと、引き続きアイヌの方々、地方公共団体のニーズ等を丁寧に行い、施策の申告状況等のフォローアップを行うことといたしました。
なお、アイヌの方々の御意見を踏まえた総合的な施策の継続実施に当たっては、法改正を要しないという結論をさせていただきました。また、法改正の要望があった差別的言動に対する罰則規定の創設については、差別には様々な形態のものがあり、刑法上の罰則の構成要件とするに足りる厳密な定義は困難であることから、見送ることとしたところでございます。
いずれにしても、政府としては、引き続き、アイヌ施策振興法に基づきまして、アイヌの方々の誇りが尊重される社会の実現に向けて、アイヌの方々のニーズを丁寧に伺いながら総合的な施策の推進に努めてまいる所存でございます。
○岩渕友君 改正しなかった理由を長々御答弁いただいたわけですけど、皆さん大変がっかりされているわけなんですよ。
アイヌ団体が出した要望書がどうなったのかということなんですね。二十回にわたって聞き取りしたというんですけど、公表されているのは項目だけなんですよ。改正の検討に当たって要望がなぜ生かされなかったのか、議論も経過も会議録も明らかになっていません。ヒアリングに参加された皆さん始め、改正を求めた方々に経過について説明するべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(黄川田仁志君) お答えいたします。
その会議の経過の詳細については内閣官房アイヌ総合政策室のホームページで公開しているほか、引き続き様々な機会を通じて、アイヌの方々や地方自治体等の皆様へ政府の考え方を丁寧に説明してまいる所存でございます。
いずれにせよ、政府としては、引き続き、アイヌ施策推進法に基づきまして、アイヌの方々の誇りが尊重される社会の実現に向けて努めてまいります。
○岩渕友君 各地のアイヌ協会、そして要望を出した団体にちゃんと説明するべきです。
法改正を求める理由というのは様々あるわけです。交付金事業について、交付はアイヌ施策推進地域計画に基づいて行われていますけれども、自治体間で格差が生じていることから、その解消等が求められていました。また、差別解消では、札幌市の地下歩道で、旧土人保護法はアイヌにとって至れり尽くせりの法律だと歴史を曲解し、差別を助長する展示が行われるなど、アイヌの方々は今日に至るまで差別で苦しんでいます。遺骨をめぐっては、今月、ウポポイに保管されている御遺骨の返還を求め、国が提訴されました。過去にも、なりわいとしてサケ漁を行う先住権の確認を求めて国と道が提訴され、二風谷のダム建設差止め訴訟、東京大学などによって持ち去られた御遺骨返還訴訟、ウポポイに保管されている御遺骨の返還を求める訴訟など、後を絶たないんですよね。
これ、裁判などしなくてもいいように、二〇〇七年に先住民族の生存、尊厳及び福祉のための最低基準を定めた国連宣言に沿った具体化を行うのが政府の責任じゃないですか。今回の検討にとどまらず、引き続き改正に向けた検討を行うべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 今お話がありましたこの先住民族の権利に関する国際連合宣言について、法的拘束力はないものの、先住民族に関わる政策の在り方の一般的な国際指針として認識しております。
また、平成二十年に衆参両院の本会議で決議されたアイヌ民族を先住民とすることを求める決議において、先住民族の権利に関する国際連合宣言を参照しつつ、総合的な施策を確立するべきとされているところでございます。同宣言に示されている国の果たすべき責務は、憲法等課題整理に図る必要があるものを除き、現行のアイヌ施策推進法及び関連法令によりおおむね措置されていると考えているところでございます。
委員が御指摘のとおり、差別、また丁寧に説明した方がいいという話がございます。もちろん差別はあってはならないということでございます。しかしながら、このアイヌ推進法、現状をしっかりと実行することで、差別のない、そういうアイヌに対しての差別のない社会にしていくこと、また、様々な交付等の歴史、文化を守る政策、これは進めていけるものと考えておりますので、引き続きこちらもこの法律に基づいて政策の推進に努めてまいります。
○岩渕友君 アイヌの方々の権利がきちんと保障されるように法改正を行うべきだということを強く求めておきたいと思います。
次に、アイヌの御遺骨返還について質問します。
四月二十四日の沖縄・北方地方特別委員会で、昨年イギリスから返還された御遺骨について確認をしました。三体のうち二体は現在もウポポイに安置されているということでした。
五月五日にはイギリスから七体の御遺骨が返還されましたが、由来の地域の内訳、どうなっているでしょうか。
○政府参考人(渡邊輝君) お答えいたします。
英国自然史博物館から返還を受けたアイヌの御遺骨七体のうち、八雲町由来のものが三体、森町由来のものが一体、千島列島由来のものが二体、由来不明のものが一体でございます。
○岩渕友君 続けてお伺いするんですが、これ、いつ持ち出されたものなのかということと、返還は日本からイギリスに求めたのか、イギリスからの働きかけがあったのかなど、その返還に至る経緯を教えてください。
○政府参考人(渡邊輝君) お答えいたします。
令和五年に内閣官房から英国の自然史博物館に対して問合せをしたところ、所蔵リストにアイヌのものがあるとの記録がある御遺骨が三体あると回答がございました。その後、これら三体の御遺骨以外にもアイヌの御遺骨である可能性のあるものがあるとの連絡があったため、内閣官房と英国自然史博物館において更に調査を進めた結果、合計七体のアイヌの御遺骨を保管していることが判明いたしました。
この調査結果を踏まえ、令和七年十月にこれら七体の御遺骨全てについて内閣官房から返還を請求したところ、まず同年十一月に五体を返還する旨の連絡がございまして、令和八年二月に残りの二体についても返還する旨の連絡があったものでございます。
なお、調査の結果、これらの御遺骨のうち、八雲町由来の御遺骨三体と森町由来の御遺骨一体は一八六六年に、そして千島列島由来の御遺骨二体は一九一一年に、それから由来不明の御遺骨一体は一九〇〇年に寄贈されたことが分かってございます。
○岩渕友君 千島からの御遺骨が二体あるということでしたけれども、千島からの御遺骨はどのように返還されるのでしょうか。
○政府参考人(渡邊輝君) お答えいたします。
千島列島由来の御遺骨については、五月十九日から出土地域への返還申請の受付を開始したところでございます。
現在はウポポイの慰霊施設に安置されておりますけれども、出土地域である千島列島のアイヌの御子孫の方々などから返還申請があれば、これら御遺骨の返還に向けて丁寧に対応してまいりたいと考えております。
○岩渕友君 千島・樺太アイヌの方々は、明治以降の日本とロシアの領土拡張主義、植民地主義に翻弄されて、強制的に移住させられてきました。
北方四島含めて、生まれ育った地に御遺骨を埋葬することは現時点では難しい状況だということだと思うんですね。政府が把握している御遺骨は何体でしょうか。これまで国内外合わせて何体の御遺骨を返還することができたのでしょうか。
○政府参考人(渡邊輝君) お答えいたします。
二〇二六年五月二十二日現在でございますが、政府が把握しているアイヌの御遺骨の数は計二千九十一体でございまして、このうち、大学には二百三十体、博物館には十一体、ウポポイの慰霊施設には千六百四十六体のアイヌの御遺骨が保管されております。
また、これまでに祭祀承継者に返還された御遺骨は二体、出土地域に返還された御遺骨は二百二体でございます。
○岩渕友君 今の答弁ではふるさとに戻ったのは僅か二百四体ということなので、全体の一〇%しか返還されていないということなんですよね。盗掘までして持ち出した御遺骨がふるさとに戻ることができない、帰ることができない、こんなに悲しくてやっぱり苦しいことが許されるのかということだと思うんですね。
オーストラリア政府の取組を紹介したいというふうに思うんです。アボリジニなど先住民族の遺骨や祭礼具を返還できるように出どころの調査を行って、芸術局又は先住民遺骨返還プログラム博物館助成金の下で資金助成を行って、国内博物館八施設が協力体制を取る場合もあるというんですよね。
昨年の決算委員会で、我が党の紙智子前議員が海外遺骨返還の動向を把握するべきではないかというふうに質問をしたのに対して、当時の伊東大臣が、少し研究させていただきたい、遺骨の海外からの収集そして埋葬というのは相当大きな事業であり、所管省庁と相談したいと思うというふうに答弁をされました。
その後、どんな研究や検討が行われたのか。外国の遺骨返還に向けた調査は行われているんでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 海外で保管されているアイヌの方々の御遺骨については、どこに何体あるか、全容は現在のところ判明してございません。そのため、現在において、まず情報の収集、その上で研究者などの専門家と相談しつつ学術的な確認や関係機関への確認を進めるなど、検討作業を丁寧に進めることとしております。
海外の先住民族の遺骨返還の動向についても、アイヌの方々の御遺骨返還に有益な情報があれば、必要に応じて参考にすることとしたいと考えております。
○岩渕友君 丁寧にと言うんですけれども、いまだに情報収集の段階なわけですよね。大臣、これ、進んでいないのであれば、国がイニシアチブを取って、例えば調査チームを設置するとか、そういうことをやるべきじゃないかと思うんですよ。
返還に当たっては、申請方式ですけれども、国が率先して御遺骨を返還しに行くくらいのことが必要なんじゃないでしょうか。いかがですか。
○国務大臣(黄川田仁志君) チームを編成するかどうかは現段階でお答えすることはできませんが、私、今回イギリスに行って、この返還に際して研究者の方々とお話をさせていただきました。そういう中で、やはりイギリスにおいても、全体的にどの、どういう種類の遺骨やら、これはアイヌに限らずですけど、把握している、全体的に把握しているってところがないらしいんですね。やはり一人一人の研究者で情報を持っていて、なかなかそれがネットワークで結び付いているということもなかったそうです。
いろいろな情報を私たちもいろんな機会で捉えようと努力しておりますが、そういう形で、私たちも様々な形で情報収集を行って、また、そういう情報が入れば、素早くお伺いして遺骨の返還に努めてまいりたいというふうに考えております。
○岩渕友君 国内で保管をされている御遺骨も海外から返還された御遺骨も盗掘されたものです。アイヌの方々に悲惨な経験をさせてきたのは、日本政府による同化政策と強制移住です。その認識に至った政府としての反省と謝罪は欠かせません。政府が責任を持って返還するということを強く求めます。
次のテーマに移ります。
地方からの人口流出が止まらない状況です。総務省の資料によれば、二〇〇五年から二〇二五年まで、転入が転出を上回ったのは東京都と神奈川県だけです。福岡県、埼玉県、千葉県、大阪府などは十年以上転入が超過していますけれども、それ以外の四十道府県は転出が上回っています。
その中で、三十三道県は男性より女性の転出が多くなっているんですね。女性の転出が多いのはなぜなのかということで、政府は、地域社会の中には、男は仕事、女は家庭などの固定的な性別観に関わるアンコンシャスバイアスが残っていると指摘されているとか、魅力的な職場がないこと、アンコンシャスバイアスに有効なアプローチができなかったことが要因だというようなことをおっしゃっているんですけど、いずれにせよ、女性に責任があるわけではないんですよね。
大臣は、APEC女性と経済フォーラム二〇二六に参加をされて、日本は今、女性の内閣総理大臣の下で、強い経済の実現を目指して着実に歩みを進めていますなどの発言をされています。これね、歩みが着実に進んでいるのかってことなんですよ。
三月に閣議決定をした第六次男女共同参画基本計画は、国連の女性差別撤廃委員会、CEDAWの勧告でも指摘されている選択的夫婦別姓について素案からの書換えが行われ、旧姓使用について突然加筆される一方、選択的夫婦別姓は削除されました。最低賃金の目標も、労働時間の短縮に関わる記述も削除されました。これ、率直に言って、後退しているんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 先般、中国で開催されましたAPEC女性と経済フォーラムに出席をさせていただきました。私からは、日本の女性活躍の前進を象徴することとして、昨年十月に高市早苗内閣総理大臣が就任され、女性初の内閣総理大臣の下で、強い経済の実現に向けて歩みを進めることを紹介させていただきました。
本年三月には、全ての方が希望する働き方を選択でき、その能力を十分に発揮できる社会を実現すること、そして、社会のあらゆる意思決定に女性が参画することを官民共通の目標として取り組むという総理の御指示の下、第六次男女共同参画基本計画を閣議決定し、今後更に日本が女性活躍を進め、男女共同参画社会の実現に向けて取り組むための政策の枠組みを決めたところでございます。
我が国の男女共同参画については、政治分野や経済分野において国際的にも進んでいないと指摘されておりまして、これらの分野にも力を入れて基本計画を取りまとめたものでありまして、後退しているとは考えておりません。この基本計画に基づきまして、男女共同参画、女性活躍をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○岩渕友君 男性より女性の転出数が上回る三十三道県の超過した女性を年齢別で見ると、十代後半、二十代での転出数が全体の八割から九割占めて、突出しているんですね。
低賃金に賃金格差、非正規雇用を選択せざるを得ない根強い性別役割分担意識など、多岐にわたる問題の解決が求められています。包括的な施策が必要だということを求めて、質問を終わります。