日本共産党の岩渕友議員は5月22日の参院沖縄北方・地方特別委員会で、戸籍法改定案について質問しました。
提案募集に応じた自治体のうち東京都からは、現行の戸籍事務を担う市区町村に郵送で戸籍情報の照会を行っている事務手続きの簡素化を理由に、戸籍情報連携システムを直接都道府県が扱えるよう、利用可能対象範囲の拡大を要望していました。
岩渕氏は法務省に「戸籍がなぜ限定的かつ厳格に扱われるのか。東京都の提案に応えなかったのはなぜか」と質問。法務省の竹林俊憲官房審議官は「戸籍は真正な身分変動を登録し、公証する唯一の公簿となっている。戸籍法の趣旨および取り扱う情報の機微度から慎重な検討が求められるもの」と答弁しました。
ところが、同省は今回の改定で事務手続きの簡素化のためだとしてメール照会を可能としました。岩渕氏は「ヒューマンエラーを含め、セキュリティーを強化しても情報漏えいはゼロにはならない」と危険性を指摘し、戸籍情報連携システムの拡大が図られることにつながると指摘しました。
また岩渕氏は「戸籍法のような基本法の審議の場には本来法相が出席するか、もしくは法務委員会で審議を行うべきだ」と述べ、審議のあり方の見直しを求めました。
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221-参-沖縄・北方問題及び地方に関する特別委員会-005号 2026年05月22日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
本法案は、二〇二五年、地方分権改革に関する提案募集に対する対応方針のうち、法律改正により措置すべき事項について関係法律の整備を行うものです。
このうち、今日は戸籍法改正案に関わって質問をしていきます。
戸籍法の改正は、都道府県等による戸籍電子証明書等のオンラインでの公用請求を可能にするというものです。戸籍に関する事務は市町村、市区町村が担っています。都道府県が戸籍証明書等の交付を市町村に請求した際に、今は郵送で請求、交付するとなっていますけれども、この法案で、メール等での請求を可能にし、この請求に対し戸籍電子証明書等とひも付いた識別符号が送付される、オンライン化されるということになります。
初めに、法務省に伺います。
戸籍について伺うんですけれども、戸籍とはどういうものでしょうか。
○政府参考人(竹林俊憲君) お答え申し上げます。
戸籍は、一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに編製され、出生、婚姻、死亡等の親族的身分関係を登録、公証する唯一の公簿でございます。戸籍は、真正な身分変動を登録し、公証する機能を有していると考えてございます。
○岩渕友君 今答弁にはありませんでしたけれども、戸籍は、限定的かつ厳格に扱われる必要があるというふうにされています。
なぜ限定的かつ厳格に扱われる必要があるのでしょうか。
○政府参考人(竹林俊憲君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、戸籍制度は親族的な身分関係を登録し、公証する唯一の公簿となってございます。
したがいまして、戸籍には秘密性が極めて高い個人情報が含まれているということになりまして、戸籍法は個人の、失礼しました、国民のプライバシー保護のため、戸籍謄本等の交付を請求することができる主体を限定しますとともに、一定の必要性がある場合に限って請求することができることとするなどしてございます。
○岩渕友君 今の答弁のとおりだというふうに思うんですが、本改正案では、限定的に扱うというふうにされていたものを広げることになるというふうに思うんですね。
提案募集の提案事項を見ると、提案団体は東京都というふうになっています。そもそも、東京都の提案の中身というのはどういうものだったのでしょうか。
○政府参考人(竹林俊憲君) お答え申し上げます。
令和六年の地方分権改革に関する募集提案で、今御指摘ございましたように東京都から提案がございました。その内容といたしましては、戸籍情報連携システムの利用可能対象範囲を都道府県にも拡大することという提案でございました。
これは、戸籍情報連携システムについて、都道府県の利用が認められる、都道府県自体が利用するということによりまして、都道府県の事務処理の迅速化のみならず、市区町村における戸籍謄本等の交付事務の負担を大幅に減らすことができるとして、都道府県と市区町村双方の事務の効率化を目的として提案したものだというような御説明がございます。
○岩渕友君 要は、東京都に端末を置かせてほしいという中身だということだと思うんですね。
今回のこの提案に対して、法務省は第一次回答でどう対応したのでしょうか。
○政府参考人(竹林俊憲君) お答え申し上げます。
法務省からは、第一次回答といたしまして、戸籍情報連携システムは、その制度上、戸籍事務のためのみに用いることができるものであることから、市区町村の戸籍担当部署において利用が可能となっている。そのため、戸籍事務を取り扱うことがない都道府県において戸籍情報連携システムを利用して戸籍情報を閲覧することについては、戸籍法の趣旨及び取り扱う、失礼しました、趣旨及び扱う情報の機微度からすると困難であり、慎重な検討が求められるものとなると回答いたしました。
○岩渕友君 今答弁にあったように、戸籍法の趣旨及び扱う情報の機微度からすると困難であり、慎重な検討が求められるというふうに回答したということで、つまりは提案には応えられないという回答を行ったということなんですよね。
この第一次回答を踏まえた提案団体、東京都ですね、からの見解では、事務負担が重いことなどを理由に、一定のセキュリティーを担保した上で再検討を求める見解が示されています。
この見解を受けて、提案募集検討専門部会からの再検討の視点では、地方自治体職員の担い手不足が懸念をされるので、行政の効率化やデジタル化を進め、都道府県、市町村の負担軽減を図る観点から、既に構築されているシステムを利用できるように検討するべきではないかとか、戸籍法の趣旨や個人情報の機微度といった形式的かつ抽象的な理由から実現困難とするのではなく、厳密な情報管理の方策を検討するなど、柔軟な視点を持って検討してほしいなどとあるわけですね。
法務省は、この専門部会からの視点を受けて第二次回答を行っています。紹介をしたいと思うんですけれども、法改正によって負担が軽減されるものと考えると、こういうふうにしながらも、戸籍は機微性の高い情報を含むとして、市区町村の戸籍事務担当職員以外の者が利用することは認められないというふうにして、本来であれば戸籍事務を担当する職員が公用請求の権限や必要性、相当性について審査した上で戸籍証明書の交付を行うべきところ、それを経ることなく戸籍の情報を利用することが可能になってしまうことなどを踏まえると、都道府県職員による戸籍情報連携システムの使用を認めることは困難だというふうにしているわけですね。それで、利用状況を踏まえながら、費用負担策についても検討する必要があるというふうにしているんです。
そこで、法務省にお伺いしたいんですけれども、法案の中では、戸籍電子証明書などのオンラインでの公用請求に当たり、提供を求める都道府県は、戸籍情報連携システムの使用料、これを負担しなければならないというふうにされています。その趣旨は何でしょうか。
○政府参考人(竹林俊憲君) お答え申し上げます。
戸籍電子証明書等の公用請求を都道府県もすることができるようにしていくと、今回の法案によりましてそのようにしていくためにも、法務省において現在運用を行っております戸籍情報連携システムが将来にわたりまして安定的に運用され、十分な処理能力を維持していくことが必要不可欠というふうになってまいります。一方で、本制度の導入によりまして、都道府県は、従来、郵送請求等に係る時間的、金銭的コストを削減することができまして、業務の効率化という便益を継続的に受けることができるということとなります。
こうしたことから、戸籍情報連携システムの運用維持のための経費を賄う財源を確保するために、その利用者となります都道府県に対して、いわゆる受益者負担の原則などから、便益の対価として一定の使用料の負担を求めさせていただくこととしたものでございます。
○岩渕友君 戸籍情報連携システム、それ自体の拡充が図られるということにつながっていくんだというふうに思うんですね。
先ほども紹介をしたように、法務省は何度言われても、戸籍の重要性に鑑みて、戸籍情報連携システムを都道府県が直接利用することは認められないというふうにしてきたわけなんですよね。ところが、最終的にはこの公用請求のオンライン化を認めてしまったということなんですよね。
法務省に伺うんですけれども、これはなぜなのでしょうか。
○政府参考人(竹林俊憲君) 今お尋ねに、これまでお尋ねいただいたところと重なるところございますけれども、当初の提案の事項は、戸籍事務を取り扱うことがない都道府県が戸籍情報連携システムを都道府県自体におきまして利用して戸籍情報を閲覧するといったことを可能とする、それによりまして事務処理の負担の軽減などを図っていくというような趣旨のものであったと理解してございます。
先ほどお答えいたしました戸籍法の趣旨ですとか、あるいは、そこに、戸籍に記載されております情報の機微度、プライバシーに関わるような情報が、身分関係に関わる情報が記載されてございますので、そういったことを直接その戸籍事務を取り扱うことがない都道府県が閲覧したりすることは適切ではないと考えてございまして、その御提案そのものの実現は困難と判断したものでございます。
ところで、その検討の過程でございますけれども、今回の法改正に至る過程でございますが、その後、今申し上げましたような困難性の課題を引き続き検討することといたしまして、法令に根拠がある場合にのみ市区町村に対して認められる公用請求の枠組み、こちらは、都道府県自体が戸籍情報システムを使うというものではなくて、あくまで市町村が利用する戸籍情報連携システム、そちらに情報を提供してほしいと請求する仕組みでございますけれども、こちらの枠組みを利用して御提案の趣旨にあるような事務処理負担の軽減を図ることができないか検討していたものでございます。
そのやり方といたしましては、現在、市区町村の機関が、その市区町村長、その当該市区町村長に対して請求する場合に限定して認められておりますいわゆる広域交付といった仕組みでございますけれども、広域交付の公用請求、これに倣いまして、都道府県が公用請求をする場合にも同じような仕組みを整えることができないか検討させていただきました。
しかしながら、都道府県においてこのような、今申し上げましたような枠組みの公用請求を利用すること、これを可能とした場合には、これまで本籍地に対してされておりました公用請求、こちらが、都道府県の機関が所在する市区町村に対して集中してされることになることが想定されました。そういたしますと、請求する側の都道府県といたしましては事務処理が軽減されるわけでございますけれども、ある特定の市区町村に対してそういった公用請求が集中する、かえってそちらの市町村の、市区町村の事務負担が増大するということが懸念されました。そのため、都道府県のそのような枠組みでの公用請求を可能とすることも困難と判断してございます。
ちょっと長くなって恐縮ですが、そのようにして明らかになった課題を踏まえつつ検討を進めた結果、今回の戸籍電子証明書等の制度を活用して都道府県のオンラインでの本籍地の市区町村に対する公用請求を認めることといたしました。こういたしますと、本籍地のところに請求しているという事務負担自体は相手方としては同じでございますので、特定の市区町村に請求が集中することなく、都道府県と、都道府県の戸籍証明書等の公用請求に係る郵送等の事務処理負担、これが軽減されると考えて今回実現させていただいた次第でございます。
○岩渕友君 いろいろ答弁いただいたんですけれども、公用請求をメールでやり取りできるというふうになったら、これ先ほどもやり取りありましたけど、誤送信の可能性あると思うんですよね。それはどうですか。
○政府参考人(竹林俊憲君) お答え申し上げます。
繰り返しになる部分がありますけれども、今回の改正によりまして、都道府県等による戸籍電子証明書等の公用請求がオンラインで行えることと、行えるようになりますけれども、都道府県等と市区町村との間におきましては、インターネットから切り離された高度な安全性が確保された行政専用のネットワークを用いまして請求ですとかその回答を行うことを想定してございます。したがいまして、このネットワークの外部への情報流出等のリスクの発生は想定されないところでございます。
また、市区町村からの回答は、この行政専用ネットワークを用いた電子メール等の方法で行われることになりますけれども、個人情報が記載されている戸籍電子証明書等を直接都道府県等に送信するのではなく、戸籍電子証明書等を識別するために付された符号、パスワードを送信することとしてございます。そして、都道府県等は、法務省との行政機関間のシステム連携によりまして、この符号を用いて戸籍電子証明書等の提供を受けることとなりますので、更に高度の安全性が確保されることになると考えてございます。
法務省といたしましては、本法案が成立した場合には、先ほど申し上げましたような各都道府県等向けの運用マニュアルを作成する予定でございまして、御指摘のようなヒューマンエラーによる誤送信等の想定されるリスクの発生防止に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
○岩渕友君 そうは言うけど、可能性はゼロとは言えないわけですよね。
そこで、大臣に、先ほど法務省にしたことと同じ質問したいと思うんですけど、法務省が何度も認められないと言ってきたものが閣議決定されたわけですね。戸籍の重要性と利便性をてんびんに掛けた結果、利便性が優先されたということになるんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 今法務省から答弁がありましたとおり、非常に高いセキュリティーの下、この請求、都道府県からの、東京都からの依頼によってこの団体の抱える問題の解決につながったというふうに考えております。
引き続き、この戸籍法の趣旨、これをしっかりと守りながら、都道府県やまた市区町村の行政の簡素化、これにのっとって地方分権改革を進めていきたいというふうに考えております。
○岩渕友君 最後に、国会審議の在り方についてちょっと述べたいと思うんですが、地方の要求を酌み取ることそのものを否定するものではないんですけど、戸籍という法務行政の根幹に関わるような基本法が審議をされるのに、この場所には法務大臣いないわけですよね。本来だったら、これだけ重要なことは、法務大臣が出席する法務委員会で行われるか、若しくはこの審議に法務大臣も出席できるようにするべきじゃないかと思うんですよ。
国会審議の在り方、これでいいのかということで、大臣、いかがですか。
○国務大臣(黄川田仁志君) 今回の法案は、これまでの地方分権一括法と同様に、地方公共団体に対する義務付け、枠付けの見直し等を通じまして、地域の自主性及び自立性を高め、自らの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものであることから、一括法として提案することが適当であると考えています。また、本法案は提案募集方式という共通の枠組みに基づき措置するものでありまして、戸籍法についても、地方公共団体からの提案を受け、その事務負担を軽減する内容となっております。
今後とも、改正する法律の趣旨、目的等に鑑み、一括法として提案することが適当であるか、十分に精査して取り組んでまいりたいと考えております。
○岩渕友君 審議の在り方はやっぱり見直す必要があるんじゃないかということを求めて、質問を終わります。
○委員長(横沢高徳君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表し、第十六次地方分権一括法案について反対の討論を行います。
本法案は、令和七年地方分権改革に関する提案募集に対する対応方針に基づき、十七法律十一事項について改正を行うものです。このうち、戸籍法改正案は、都道府県等による戸籍電子証明書等のオンラインでの公用請求を可能にするとしています。
我が党は、二〇一九年に創設、二〇二三年に稼働された戸籍情報連携システムについて、戸籍は個人のプライバシーに関する核心的な情報であることを重視し、重大なプライバシー侵害の危険性を払拭できないコヨウ情報連携システムの運用そのものに反対しました。二〇二三年、戸籍法の改正による、市町村の事務担当部局が同一市町村の戸籍担当部局に公用請求を行い、戸籍情報を取得できるとする戸籍情報連携システムの利用拡大に対しても、こうした点から反対しています。
都道府県等が行う公用請求について、戸籍電子証明書等をオンラインで請求することを可能とすることは、戸籍情報連携システムの運用を更に拡大し、システム自体の拡大も伴うものであり、反対です。
なお、その他の事項については、個人情報の保護、給付金の支給や地域の課題への対応、地方自治体等の業務の効率化につながるものであり、賛成であることを述べ、討論とします。
