17日の参院本会議で成立した改定種苗法と重要品種育成法(新育苗法)は、国内外の種苗企業の参入促進・利益確保を強化し、農家の種に対する権利をいっそう制約する内容です。参院農林水産委員会は14日、参考人質疑を行い、OKシードプロジェクト事務局長の印鑰(いんやく)智哉参考人が、種子・種苗に対する民間企業の知的財産権の強化と、農業試験場などの公的試験研究機関の役割の放棄につながると危険性を訴えました。
印鑰氏は意見陳述で、種苗法の知的財産権の存続期間を現行の25年から35年に延長することについて「過度な強化は、むしろ地域に根差した種苗農家の淘汰(とうた)や大企業の独占、種苗の多様性の喪失を招き、イノベーションを阻害する」と懸念を表明しました。
新育苗法により、公的な試験研究機関が民間企業の新品種の開発に協力させられる枠組みを新たに設ける点について「民間企業が日本企業とは限らない。外国企業が日本の公的機関の育種データで新品種を開発し、利益に変える法律になりかねない」と述べました。
日本共産党の岩渕友議員は、遺伝子組み換え食品の表示制度がわかりにくくなり、ゲノム編集食品は表示すらされない中、消費者の知る権利を守る対策はどうあるべきか見解を求めました。印鑰氏は、知る権利は農家から始まるとした上で「農家も種子・種苗がゲノム編集や遺伝子組み換えのものか分からない」と指摘。食品表示法だけでなく種苗を買う際の表示義務付けも必要だと主張しました。
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221-参-農林水産委員会-015号 2026年07月14日(未定稿)
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
今日は、参考人の皆様、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
初めに、栗原参考人に二点お伺いをします。
一点目は、種子条例についてです。
先ほど答えが少しいろいろあったので、改めてということになるかもしれないんですけど、種子法の廃止に伴って公的な種子の生産体制の維持や価格の高騰、品質の低下などを防ぐということで、各県が種子条例を制定しました。長野県でも、先ほどお話があったように、種子条例が制定をされて、ソバも主要農作物に指定されています。この種子条例が果たしてきた役割について伺いたいというのが一点目です。
二点目は、重要品種育成法が創設をされて産官学の連携が強化されるということになると、これまで公的な機関が安価に提供をしてきた種子の価格に影響があるんじゃないかというふうに懸念するんですけれども、参考人はどう考えるかお伺いできればと思います。
○参考人(栗原潤君) ありがとうございます。
まず、一つ目の質問、種子条例の果たしてきた役割についてでございます。
長野県、まあ他県も同様ではないかと思いますけれども、奨励品種、認定品種という制度で、長野県として種子を確保して、現地で生産をしていただくと。安心して生産をしていただくための種子の確保ですとか、そういうものを条例として定めて、先ほども申し上げました原種センターで、種苗の生産、それから供給体制というのを整えてきておるところでございます。これをもちまして、現地では、安心して一定の現地が求める品種というものを生産することができているのではないかなというふうに考えております。
二つ目の、重要品種のこの法案によって先生が今御心配されている種子の価格に影響するのではないかということでございますけれども、これにつきましては、ちょっと申し訳ないんですけれど、私の方、知見を持っておりませんので、失礼させていただきたいと思います。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、西川参考人にお伺いをします。
今日のお話の中で、アグロエコロジーについて触れていらっしゃいました。それで、このアグロエコロジーや有機農業、農村や農民の多様性という点で今回の法改正はどういう影響があるというふうに考えておられるか、参考人の御意見をお伺いできればと思います。
○参考人(西川芳昭君) 御質問ありがとうございます。
非常に難しい御質問で、どういうんでしょうかね、基本的に、法律三案ありますので、ちょっとどれがということですけど、基本的には、まず改正種苗法に関しましては、私はコモンズの増加だと思っております。だから、新しい品種が世界の中に出ていく、一定期間の、何というんですか、時代の方を経て世界に出ていくという意味では、アグロエコロジー等に関してもプラスに働くものだと思っております。
一方、その品種に関しての、先ほどのその農研機構とかの、何というんでしょうかね、資産が一部の企業に利用されるのではないかというふうな懸念を考えると、そこはなかなか悩ましいところで、やはり、どういうんでしょうか、資本とか資機材とかを持たない小規模な農家にとっては必ずしもプラスにならないんではないかということで、それぞれの法律によってそのプラスマイナスの可能性というのはたくさんあると、様々なことが予想されますので、申し訳ないですけど、現時点での私の知見では、イエス、ノーという答えは出させていただけないと。ただ、いずれにせよ、多様な影響が出てくるだろうなということは懸念しております。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、西川参考人と印鑰参考人にお伺いをします。UPOV条約の育成権者の存続期間の延長についてお聞きしたいと思うんですね。
本法案では、存続期間を三十五年にするというふうになっています。それで、現状、存続期間の上限まで登録を維持するものは全体の約一七%になっているということで国会質疑でも答弁されています。そうした下で期間を更に延長するということについて、どんなふうにお考えなのかということをお伺いしたいんですね。
それで、農家の自家採種も許諾制とされたことに加えて、さらに自由に使えない期間を長期化するということは、地域に根差した品種の保存や地域社会にとっても影響があるというふうに私は考えているんですけれども、お二人の考えをお聞かせください。
○参考人(西川芳昭君) 御質問ありがとうございます。
知財の保護期間を延ばすことに対しての直接の意見というのは、私自身はちょっと持ち合わせていなくて、だったら、その世界的に見ても長期間であるということの相対的な位置付けに関しては認識はしております。
ただ、許諾が必要だからその利用が制限されるというのは、私はある一つの見方であって、その許諾を受ければ利用できるという意味で、農家にとっては選択肢が広がるというふうな法制度、仕組み、産業法としてはそういう仕組みだというふうに私は理解しておりますので、そういう懸念は持っておりません。
要は、希望すれば、もちろん一定期間県外では使用できないとかそういうふうないろんな制限はありますけれども、最終的には、多くの人たちがその生物資源である農業の投入資材であるものにアクセスができるという意味では、私は全体的な枠組みとしてはそんなに懸念は持っておりません。
○参考人(印鑰智哉君) 特に、UPOV条約が求めている育成者期間って二十年なんですよね。だから、日本はそれをはるかに突破しちゃっている水準に既になっているわけです、それを更に十年延ばすということで。
これは何を意味してるかってことなんですけれども、世界でアグロエコロジーといったことをいうときは、これ種から始まるんですよ。種から自分たちで決定していくというのが一番大事なんですよね。もちろん、自家採取するかしないかというのはそれはもう農家の選択なので、自家採取しなければアグロエコロジーじゃないということじゃないんですけれども、やはりその種の決定権というのはとても大事です。
しかし、今例えば、これは自治体によって、もうこの品種変えますってことになると、もう選択の余地がなくなってしまうわけですよね。しかも、その選択の余地がない期間がずっと長くなってしまうというのは、実質的なアグロエコロジー的な運動というものは僕はそこでは伸びなくなってしまうと思うんですね。
今、ブラジルなんかでもアグロエコロジーとても盛んになっています。これは、二〇〇五年にクリオーロ条項といって、在来種を守る条項が二〇〇五年にできているんですよ。それを基にアグロエコロジー発展してきたんですよね。
みどりの食料システム戦略というのが出ましたけど、あそこの中に、種、どういう種を作る、項目あるか。ゲノム編集と、あとスマート育種、AI育種ですよ。だから、これは決定権がある種の政策に関しては僕は皆無だと思うんですよね。
その点、今の本当のもう一つの日本に欠けているこの分野、つまり在来種、地域の種を守るというそういう政策が今なければ、日本のアグロエコロジー、有機農業は伸びない状況にあるんじゃないかなということで、そこはかなり危惧を持っております。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、印鑰参考人にお伺いをします。
先ほどのお話の中でも、あと提示していただいた資料の中でも、米国では知的財産権を抑制をして公共品種に予算を投入する政策への転換が進められているというふうにありました。日本とはちょっと逆の方向に進んでいるということなのかなというふうに思います。それで、資料には、米国では特許の六割を外国企業に握られているというふうにありました。
この知的財産権を強化したとしても、その権利を持っているのが外国企業ということになれば、誰のための強化なのかということになるんじゃないかなというふうに思うんですね。
それで、本法案で知財権の強化が進められるということになりますけれども、日本の種苗の知財権を外国企業によって占められる危険性がないか、参考人の考えをお聞かせください。
○参考人(印鑰智哉君) この件っていうのはとても大事な話であると思うんですよね。
結局、何で、先ほどアメリカ政府がその方針を転換したと言って、その後のこと言ってなかったんですけれども、バイデン政権替わっちゃって、トランプ政権になっちゃっているので、今はそこは進んでいないんです。だけど、進んでいないけど、終わったのかというと終わってもいないんですよね。だから、これ、アメリカでもやらなきゃいけないよという認識というのは存在していると僕は考えています。
なぜかというと、先ほど岩渕議員に指摘していただきましたけれども、アメリカで、知財権、特許権持っている割合というのは、六割が外国企業なんですよ。アメリカだったら、特許権、当然アメリカ企業だろう、モンサントがあるだろう、コルテバがあるだろうと思うかもしれませんけれども、四割しか持っていないんですよ。アメリカで四割ですよ。これ、日本で本格的にやったら、それこそ二割とか、八割が外国企業に占められている、そんな状況になりかねないと思うんですよね。
そういった意味で、この知財権を余り強化し過ぎるという政策を何でアメリカが変えようとしたのかというのは、こういう背景があると僕は考えております。
その意味で、やはりこの知財権が強化し過ぎることによって、これ、小さな地域の育種企業、あるいは地方自治体の関係者の方も、これ使ったら訴えられるんじゃないのということで萎縮しかねない。自治体にはそういう法務関係の方はいらっしゃらないと思いますので、やっぱりリスクは避けようという運用になってしまうと、やはりそういった自由も薄れてきてしまいますので、そこは実際に政府が余り強め過ぎないという歯止めをやはりもう一つの方で持っておく必要が僕はあると思います。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次も、印鑰参考人にお伺いをしたいんですけれども、育種方法について、先ほど来も出ていますけれども、ゲノム編集とかAI育種が大きな柱になっているということで懸念の声もあります。
今、遺伝子組換えについて食品表示の仕方も変わっている下で、これもやっぱり不安の声があるわけですけれども、その消費者の知る権利というものを確保するという点でどういう対策が必要だというふうに考えるか、考えをお聞かせいただければと思います。
○参考人(印鑰智哉君) ありがとうございます。
知る権利という点は、まず農家から始まるわけですよね。農家が、今ゲノム編集されている種苗かどうかということを知る権利がないです。これ、書く必要がないわけですよね。そういった意味で、この品種はこういう品種だということを知っていれば、農家の時点では分かりますけれども、これができない、今知る権利がない。これは、EUにおいても、恐らくイギリスにおいても、これそういう制度になっていくと思うんですよね。EUはもう確定しています。
だから、種苗の段階では、EUに輸出するときには、日本の企業も、種苗、これゲノム編集していますと書かなきゃいけないはずなんですよね。だったら、国内でも作った方がいいと僕は思います。でないと、それが農家が分からないと、消費者は何を基に安全を、自分の選択をするのかということを、これ分からないですよね。
そういった意味で、やはり一番基準となるのは、基礎となるのは、種苗の表示制度かなというふうに思います。
○岩渕友君 ありがとうございます。
時間が来ているので終わりたいと思うんですけれども、今日は三人の参考人の皆様から貴重な御意見をいただきました。今後の法案審議に生かしていきたいと思います。
今日はありがとうございました。以上で終わります。
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