(議事録は後日更新いたします)
参院国民生活・経済に関する調査会は20日、住まいの確保について参考人質疑を行いました。
日本共産党の岩渕友議員は、憲法25条が保障する生存権をあげ、「住まいは人権」であり、住まいの貧困打開のため政治が役割を果たすべきと主張しました。
岩渕氏は、災害と住まいをめぐる課題について、安定した住まいの確保のために求められる公的役割の重要性と一部損壊住宅への支援について質問。神戸大学大学院の平山洋介教授は「復興の基本は住まい。住まいが安定して初めて政府や自治体の政策がいきてくる。住まいがないと政策がうまくいかない」と述べ、「一部損壊でも住めないのが実態、新しい支援制度が必要」と主張しました。
続いて岩渕氏は、住まいの質を確保することと子どもの成長との関係や、住まいの貧困の解消に向けて必要な公的役割を質問。立教大学コミュニティ福祉学部所属日本学術振興会RPD研究員の葛西リサ氏は、居住空間の狭さが学力の低下や病気の発生につながる研究結果を紹介、「少なくとも面積を保障していくことや家賃補助を行うことが重要」と応じました。
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○参考人(平山洋介君) 御紹介にあずかりました平山でございます。
私の方からは、現代の住宅問題をどういうふうに見たらいいのかということに関しまして、まず大づかみに話をさせていただきます。続きまして、若者、高齢者、障害者の状況について述べたいというふうに思います。
最初に日本の住宅政策の特質についてお話をしまして、続きまして住宅事情、最近どういうふうに変化しているかということに関しまして大づかみにお話をします。続きまして、若い人たち、高齢の方々、障害をお持ちの方々の住まいについて述べまして、最後に結論を申し上げたいというふうに思います。(資料映写)
まず最初に、日本の住宅政策がどういう特徴を持っているのかということについてお話をします。
いろんな住宅問題があるわけでございますが、それに対しましてどういうふうに政府は反応するのかということに関しまして三つのアプローチがあります。一つは、マーケットメカニズムを使ってアプローチする自由主義のモデルがあります。次に、家族などの伝統的な集団で問題に対処しようとする保守主義のアプローチがございます。それから最後に、政府の所得再分配政策によって住宅問題に対応しようという社会民主主義のアプローチがあります。この中で日本の特徴は一つ目と二つ目、自由主義的アプローチ、保守主義的アプローチのミックスでやってきたという点、言い換えますと、政府の所得再分配による社会民主主義アプローチが非常に弱かったという点が大きな特徴だろうというふうに思っております。
日本の戦後の住宅政策は、御承知と思いますが、公営住宅、低所得者向けの公営住宅、中間層向けの公団住宅、それから中間層の方々が家を買うときに融資をする公庫住宅、この三つの柱、三本柱で階層別の供給体系というものを組んできたわけですが、一九九〇年代の半ば頃から政府の方針が変わりまして、なるべく市場経済を使って住宅を供給していこうというふうになりました。今ではほとんどの住宅がマーケットで供給されるものになっています。しかしながら、それではマーケットの住宅を確保できない方々がおられますので、それに対しましては住宅のセーフティーネットをつくっていこうというのが組立てになっております。もう一度申し上げますと、三本柱による階層別の供給体系から、ほとんどの住宅を市場で供給し、しかし一部セーフティーネットを張るというような枠組みに変わってまいりました。
このグラフは戦後の住宅の着工戸数を見たものでございますが、増えたり減ったりしてだんだん減ってきている、人口も減るということで減ってきているわけですが、御覧いただきたいのは、二〇〇〇年代になりますと、赤のところですね、公的資金による住宅が非常に減っておりまして、今では民間資金の住宅がほとんどになってきているというのが最近の大きな変化であろうと思います。
また、関連しまして、低所得者向けの公営住宅の着工戸数を御覧いただきますと、一九七〇年代の初頭ぐらいに十二万戸を超えましてピークだったのですが、そこからどんどんどんどん下がり続けまして、今では非常に少なくなってほとんど供給が停止していると、今建っていますのはほとんど建て替えによるものでございますので、新しい公営住宅はもう建たないという状況にあるということでございます。
次に、今述べましたようなことを国際比較の中に置いて見ますと、まず、社会住宅とありますのは、これは定義は、市場家賃よりも安い家賃で供給されるということと、自治体などの公共セクターが入居者を選ぶというこの二点で定義される住宅でありますが、日本では公営住宅がこれに該当します。
ここにお示ししましたように、日本では三・八%しか社会住宅がないということになります。これに対しまして、ヨーロッパ、西欧、北欧では、例えばオランダでは三四%、オーストリアでは二六%、デンマークでは二二%というように非常にたくさんの社会住宅を持っているというようなことがお分かりいただけるかと思います。
イギリスを除くアングロサクソン諸国では社会住宅の割合は余り高くない、日本よりちょっと高いぐらいなのですが、しかし、アングロサクソン諸国も含め西欧、北欧諸国では住宅手当、これは主に家賃補助でありますが、家賃補助を中心とした住宅手当の制度がありまして、例えばデンマークでは二割ぐらい、イギリスでは一五%、ニュージーランドでは一八%といったように非常にたくさんの方々が政府の家賃補助を受けているということがお分かりいただけるかと思います。
日本の特徴は、社会住宅が極めて少ないということ、それから政府の家賃補助制度が、ゼロではないのですがほぼゼロに近い、ゼロに近いと言って間違いない、ほとんどないというふうにお考えいただいたらよろしいかと思いますが、要するに、このグラフから分かりますのは、先進諸国の中で日本の住宅政策は非常に規模が小さいということがお分かりいただけるかと思います。
続きまして、そういう住宅政策の下での最近の住宅事情の変化について、持家セクターと賃貸セクターに分けてお話をしたいと思います。
まず、日本では、公営住宅は先ほど申しましたように非常に少ないのですが、持家を買えるようにというようなことで、そういう政策をずっと歴史的に長く展開してきたわけですが、やはり九〇年代ぐらいからそれがなかなか簡単ではなくなってきているという状況がございます。
まず、これは住宅ローンを使って住宅を買った方々に関する統計でございますが、まず所得がじりじりと減っているということがお分かりいただけるかと思います。左側ですね。次に、真ん中御覧いただきますと、所得が減っているにもかかわらず一か月当たりの住宅ローンの返済額が増えていると、じわじわ増えているというのがお分かりいただけるかと思います。所得が減りましたので、頭金が減っています。ところが、今、銀行は一生懸命住宅ローンを貸しますので、大型の住宅ローンを組む人が増えているということです。その結果、住宅ローン返済額の対所得比がじりじり上がっていまして、八九年では一〇・九%だったのが、二〇一四年には一七%まで上がっている。これは、少しずつ変化しますのでなかなか大きな社会問題にはならないのですが、こういうスパンで見ますと、実は住宅を買うということの環境が大きく変わっているんだということがお分かりいただければと思います。
また、せっかく苦労して買った持家の資産としての価値が、バブル経済がはじけて以来、どんどんどんどん下がっておりまして、この左っ側ですが、もう急激に資産価値がなくなっている。ところが、右側にありますように、住宅ローンの残高はどんどん増えているというようなことであります。今まで、戦後、政府が持家政策を一生懸命やってきましたのは、それが資産になるからだという説明が一つあったのですが、それが、今でもそれが当てはまるかどうかというと、かなり怪しくなっているということが重要だろうと思います。
続きまして、賃貸住宅でありますが、賃貸住宅でも、まず所得が減っています。ところが、一か月当たりの平均家賃がじわじわ上がっておりまして、その結果、家賃負担率が、八九年では九・六%だったのが、二〇一四年では一五%まで上がっている。これも急激ではないので余り話題になってこなかったように思うのですが、例えば十年、二十年のスパンで見ますと、家賃負担というのは明らかに重くなっているということです。
ここで、所得が下がっているのに家賃が上がるというのは、市場経済のメカニズムからいうとおかしな話でありまして、なぜ家賃が、平均家賃が上がっているのかといいますと、家賃が上がっているというよりは低家賃の住宅の絶対数が減ってきていると、その結果、平均家賃が上がって見えるというような統計になっております。
日本では、低家賃の住宅は三つの種類があります。先ほど申し上げました公的な借家、それから企業が供給する社宅ですね。それから最後に木造のアパート、民間借家の中でも家賃が安いタイプです。この全てが、ここに示しましたように、どんどん減っているということがあります。
公共賃貸住宅は、二〇〇三年をピークとしまして、先ほど建設戸数が減っているというお話をしましたが、今建っている、ストックといいますが、ストックの数も減り始めたということがお分かりいただけるかと思いますし、また、企業が供給する低家賃の住宅もピークのときに比べまして半分ぐらいに減っています。企業の社宅はその社員しか入れませんので、余り社会問題には関係ないように思われるかもしれませんが、しかし、その分低家賃の住宅に対する需要を減らしますので、マーケットに対する影響力はあるわけですね。その住宅が大きく減ったということ。それから、余り質は良くありませんでしたが、木造で安く住める場所が大きく減ったということがあります。低家賃住宅がこの十年、十五年ぐらいで大幅に減ったという点をまず強調させていただきたいというふうに思います。
続きまして、若い人たちの状況について御説明したいと思いますが、今まで標準的なライフコースと呼ばれるものがございました。これは、例えば、家族に関しましては、結婚して子供を育てる、仕事に関しましては、就職して、年齢が上がると地位と賃金が上がる、住宅に関しましては、親の家を出ることを離家といいますが、親の家を出てまず借家を借りて、結婚などをきっかけに家を買って、それで資産をつくるというのが標準的なパターンだったわけですが、このパターンに乗っていない、乗れない若い人たちが非常に増えているということについて幾つか統計を御紹介します。
これは若い方々のパターンを見たものでありますが、増えていますのは左の世帯内単身者であります。これは、成人で未婚で親の家に住んでいる方々です。この人たちが物すごい勢いで増えているということであります。二十代後半で四割ぐらい、三十代の後半でも二割ぐらいの方々が、若者が親の家に未婚で住んでいるという状況があります。
次に、単身者、これは一人で住んでおられる方ですが、この方々も増えています。一般には、この単身者が増えているというのはよく言われますし、指摘されることですが、実のところ、単身者よりも親の家に住んでいる単身者の方がはるかに多いということがお分かりいただけるかと思います。この世帯内単身者は、もちろん親の家に住んでいることは全然悪いことではないのですけれども、いろいろな調査からしますと、家賃を払えないので親の家から出たくても出られないという方がかなりおられるということが分かっております。
最後に、世帯形成者とありますのは、これは伝統的なパターンでありまして、親の家から独立して、結婚して自分の世帯を構えた方々です。この方々がもう非常な速い勢いで減っているというのがお分かりいただけるかと思います。三十代の後半で親の家を出て、結婚して自分の世帯を構えている人が六割にまで減っている。三十代の後半でです。六割にまで減ったという点は、やはり若い人たちの間で大きな変化が起こっているということだろうと思います。
次は、若い世帯、これは親の家を出て自分の世帯を構えた人たちに関しての統計ですが、御覧いただきますと、これは住宅の種類を見たものですが、若い世代で、親の家を出て自分の世帯を構えた若い世帯の中で家を買ったという人が非常に速いスピードで減っております。例えば、三十代前半で家を持っていた人が七八年では四五%ありましたが、二〇一三年では二九%まで減っています。代わりに、民営借家に住んでいる若い世帯が三五%ぐらいだったのが、今は六割ということで、倍近くまで増えているということでありまして、若い人たちは親の家を出て独立しましても、昔に比べて家を買えなくなっていて、あるいは家を買うのがすごく遅くなっていて、民間の借家にずっと住んでいるというパターンが増えているということであります。これもやはり大きな変化です。
また、これも大きな変化だと思うのですが、このグラフは過去五年間に引っ越したことがある転居率を示していますが、このグラフから分かりますのは、若い世代で引っ越した人が非常に減っているということです。物すごい勢いで引っ越しが減っているということですね。これは、一つは、地方から都会に出てくる人が減ったということは一つありますが、もう一つは、先ほど申し上げましたように、親の家から出るとか、結婚する、子供ができた、大体若い方が引っ越すのは結婚と子供さんの関係です。ところが、結婚と子供さんができたということが減っておりますので、こういう、引っ越しが減っているということですね。
ここまでのことは一言で申し上げますと、若い世帯、若い方々がライフコースを前進する速度が遅くなっている、あるいは停滞しているというような状況があるのかなというふうに思います。
続きまして、若くて未婚で低所得、低所得といいますのは年収二百万円未満と定義しておりますが、そういう人たちについて調査を行いましたので、その結果についてごく簡単に御紹介したいと思いますが、まず、重要な調査結果を一番下に書いてございますが、年収二百万円未満の未婚の方々の、若い方々の七七%は親と同居しているということであります。結論から申し上げますと、親の家を出る経済力がないというようなことであります。
また、そういった方々の仕事を見ますと、所得が低いというよりは無職の方が非常に多いということが分かります。働いている方でもパート、アルバイト、臨時、日雇が多いということですね。それから、結婚の意向。未婚の方々は結婚の御意向を尋ねますと、結婚できるか分からない、結婚できないと思う、結婚したいと思わない、分からないという方がほとんどで、結婚する予定があるという方は数%しかいないということが分かります。しかも、このグラフが、重要なポイントは、親と同居している若い方で、無職の人が極めて多い、また結婚に対して消極的な人が極めて多いというようなことであります。
また、親の家に住んでおられる方は親の家にずっと住んでおられるという印象があるのですが、確かに八割が親の家にずっと住んでおられるわけですが、ところが、一旦独立したんだけれども自分の住宅から親の家に戻ったという方が一八%おられまして、年齢が高いほどそういう方々が増えています。一旦親の家からは頑張って出たんだけれども、やはりなかなか家賃が払えない、いろんな理由があって親の家に戻ったという人が年齢が上がると増えるという状況でございます。
続きまして、高齢者、障害者の住まいについてごく簡単にお話ししたいと思いますが、まず、高齢者に関しましては重要なのは、アウトライトの持家といいますが、アウトライトというのは住宅ローンが終わっているということです。負債がないという持家に住んでおられる方が多いんですね。
日本は既に超高齢社会です。超高齢社会がどうにかこうにか維持できていますのは、高齢者の八割の方がアウトライトの持家に住んでいて、住居費負担が非常に軽い、それから住宅という資産をお持ちだと、こういう状況があるからです。
しかしながら、三行目に書きましたけれども、二割の方々は借家なわけです。高齢で借家の方々は非常に不安定な状況にあります。高齢者の持家率は高いのですが、二割の借家の方々、このグループの絶対数がこれからどんどん増えますので、この点が心配です。
また、障害者の方々は、今からデータをお見せしますが、御家族の持家に住んでいる方が多いということですね。障害者の方々をやはり保護しているのは家族だということで、やはり日本のいろんな社会政策が家族での保障というものを重視しているということの表れだろうと思いますが、障害者の方々も同様に、民間借家が不安定で、公営住宅は少ないという状況にあります。
このグラフは、六十五歳以上の方々を含む世帯の所有形態を見たものでありますが、先ほど申し上げましたように、合計の欄を御覧いただきますと、八三%の方は持家に住んでおります。
ところが、単身世帯ですね、高齢の単身世帯は持家率が非常に低いということ。特に、単身の中でも死別の方は持家率が七五%で結構高いですね。これは、御結婚されていたときに、御夫婦そろっていたときに家を買って、片方がお亡くなりになっても持家に住んでいるという状況なのですが、重要なのは、未婚のままで高齢になった方あるいは離婚を経験された方の持家率が非常に低く、民営借家率が非常に高いということです。これから生涯未婚がどんどん増えていきますので、このグループが大きくなるということですね。この点を見ておく必要があるだろうと思います。
また、所有形態別に高齢者の方の状況を見ますと、ややこしいので、持家と民営借家、この二つのグループ、持家が八割、民営借家が二割弱、この二つのグループを比べますと、持家の高齢者は世帯年収が低い方が少ない、所得がまあまあある方が多い。それから、住居費が非常に軽いですね。先ほど言いましたように、ローンを払い終わっている方が多い。その結果、住居費の負担というものが軽い方が多いわけです。ところが、民間借家の方は、所得の低い高齢者が多い上に家賃を払わなくてはならないので、結局、住居費の負担率が非常に高いということです。
重要なことは、年金があるわけですけれども、年金のかなりの部分が家賃に消えていってしまうということです。持家の方は住居費がないので、アウトライトの持家ですので、年金で何とか暮らせているという点が重要です。
これは、持家の方々の資産を活用して何とか高齢期を乗り切ろうという政策がいろいろ考えられておりますが、これも所得と非常に相関がありまして、所得が低い高齢者の方は資産が、高齢者は所得が減るけれども資産があるので、それで何とかやれる手だてを考えようという流れがあります。ところが、所得が低い方は資産もないわけですね。所得が高い方は貯金も不動産もいろいろ資産をお持ちだということで、なかなか資産だけに頼るのは難しいのではないかと思います。
続きまして、障害者の方々でありますが、六十五歳未満の障害者の方々、先ほど申し上げましたように、家族の持家に住まれている方が五割です。ここで何とか暮らしておられる方が多いのですけれども、三割が民間借家で、ここの住宅の質を上げていく必要があるんだろうというふうに思います。六十五歳以上の障害者の方は、自分の持家の割合が増えます。しかしながら、先ほどお見せした高齢者の持家率が八割ということからしますと、やはり低いままだということですね。
時間ですので、結論をごく簡単に述べさせていただきたいと思います。
これから超高齢・低成長社会の住宅政策を考えるに当たりまして、まず重要なことは、住宅に困る方が増えるだろうというふうに思っております。
一つは、不安定就労の方々ですね。特に、我々は今注目しておりますのは、非正規第一世代と呼んでおりますが、九九年に派遣労働が解禁になりました。そのときに例えば三十歳だった方々がぼちぼち五十代ぐらいに入ってくる、すると、仕事があるのかどうかということですね。それとまた、非正規労働の方々の多くは無年金だというふうに予想されております。この方々がこのまま高齢期に入っていくと、住まいの確保に苦労される方が多いのではないかなというふうに思います。
それから、先ほどお見せしましたように、配偶関係によって日本では住宅事情が大きく違いますが、これに関しましては、生涯未婚の方が非常に増えていくという点を見ておく必要がありますし、また離婚を経験される方も増えていくということ、それから、これは、最後に、既に大きな問題になっておりますが、低所得の高齢者が非常に増えているということであります。これに対しまして、今まで日本の住宅政策はマーケットと家族を活用するというやり方だったのですが、このやり方でずっとやっていけるかどうかということを御検討いただくのが重要ではないかなというふうに思いますし、また日本の住宅政策は、今日申し上げましたが、かなり先進国の中では非常に特殊です。
なぜ特殊かといいますと、申し上げましたが、一つは社会住宅の割合が極端に少ない。それから二つ目に、政府の家賃補助制度がないということですね。それから三番目に、最初に申し上げましたが、今政府が力を入れているのは住宅セーフティーネット制度です。これは民間借家の空き家を使って住宅困窮者の方に供給しようという制度でありますが、これが、今現在、昨日調べた段階で、民間借家でこのプロジェクトに、プログラムに参加しようという方々は七千六百戸しかないわけですね。政府は二〇二〇年の末までに十七万五千戸を目標にしていますが、今の段階で七千戸しか登録がないということで、ほとんど機能していないと言うと言い過ぎかもしれませんが、量的にはほとんど機能していない。
こういう日本の住宅政策の特殊さというものが重要ではないかなと思いますし、私の、最後にしますが、意見は、社会的インフラとしての住まいの整備をしていかないと超高齢社会を安心して乗り越えていけないのじゃないかなというふうに思います。また、住宅を造るのには確かにお金がいろいろ掛かりますが、住宅をきちんと整備するということは、投資になって非常に割の合う話だというふうに思っています。住まいが安定することで年金制度が生かされますし、あるいは、今、超高齢社会に向けまして地域包括ケアなどの政策に取り組んでおられますが、その基盤としての住まいを安定させ住居費負担を軽くしていくことが社会的に重要な課題だろうというふうに思っております。
若干時間を超えました。以上です。ありがとうございました。
○参考人(葛西リサ君) 立教大学のコミュニティ福祉学部、葛西リサと申します。どうぞよろしくお願いします。
私の方からは、母子世帯が直面する住まいの問題について、先ほど平山先生から日本の住宅政策の全体像がありましたけれども、それがシングルマザーにとってどういう影響を与えるのかということについてお話をさせていただきたいと思います。(資料映写)
報告の内容なんですが、母子世帯の居住貧困の特徴といたしまして、シングルマザーがどのタイミングでどういったような住宅問題に直面するのかという、このタイミングですね、それについてまずお話をします。
さらに、シングルマザー向けの住宅支援、住宅施策というのは存在しますが全く使えていない、どの点でミスマッチが生じているのかということについて二つ目に御説明いたします。
そして、三番目に、母子世帯の住宅支援に必要な視点はどのようなものかと。ハードだけをどんどん提供して質のいいものを提供すれば、それでシングルマザーの住宅支援、住生活問題は改善するのかというとそうではありません。彼女たちは、やはり住宅というよりかは地域のインフラですね、子育てネットワークであるとか支援をしてくれる親とのネットワークであるとか、そういったようなインフラを非常に重要視しています。ですので、そうではなくて、ハードだけではない支援の在り方というものが必要だということを御説明いたします。
そして、四つ目に、どんどんと空き家が日本の中で増えてきています。それを活用するような民間の企業による母子世帯向けの居住支援ですね、そういうものがどんどんと出てきているんですが、その傾向について少しお話をしたいというふうに思います。
そして、最後にまとめですね。よろしくお願いします。
まず、シングルマザーの貧困というのは、いろんなところで取り上げられていますので皆さんも御存じかなというふうに思うのですが、まず簡単に御説明をしたいと思います。
直近のデータでは、シングルマザーは百二十三万世帯存在するというふうに言われています。これは、諸外国と比較すると随分数は少ないのですが、日本の中ではかなり増えてきている。この数十年の間に二倍ぐらいになっているというようなデータもございます。もう一つ特徴は、この多くが生別母子世帯、それも離婚による、先ほど平山先生からもございましたが、離婚によるシングルマザーがほとんどだということですね。北欧諸国なんかでは未婚のシングルマザーというのはすごく多いんです。半分ぐらいが未婚のシングルマザーだと言われているんですが、日本では、なかなか制度がそろわないとか、かなり差別視の風潮があるとか、そういうことで未婚のシングルマザーは増えないという状況をずっと言われてきたんですが、実数を見ると随分増えてきている。私も調査をしていますと、肌感覚ではかなり未婚のシングルマザーが増えてきているなという印象を受けます。
そして、こういったようなシングルマザーが増えてくる上で問題となってくるのは、やはり経済的な貧困ですね。平均収入見ますと二百四十三万円です。さらに、勤労収入は二百万円というふうに報告されています。前回調査からこれ二十万円増えたというふうに言われているんですが、制度がすごくうまくいっているというふうに行政の方は言っているんですけれども、そうではなくて、よくちゃんとデータを見ていくと、勤労時間がすごく増えているというのもあるんですね。薄給の仕事ですごく労働時間を長くして生活費を稼いでいるというようなお母さんたちがすごく増えてきているというのと、無職の人が就職したということで平均賃金がぐっと上がっている。だから、一人単位にすると別に裕福になったわけではなくてというところも注目して見なきゃいけないようなデータなんですね。
いずれにしても、二百万円というのは一般世帯の三分の一程度です。これで子供を育てていかなきゃいけないというのは非常に深刻かなというふうに思いますね。
そして、だからといってシングルマザーは働いていないのかというとそうではなくて、八割が就労しています。ただ、正規社員というのが残念ながら四割程度しかいないと。これ、なぜかというと、一つは、この厚労省のデータにもありますようにキャリアがないということですね。結婚時に、婚姻時に仕事をしていないという人が二五%、さらには、仕事をしていてもパート労働だった、家計を助けるためのパート労働をしていたという人が、突然の離婚なんかによって大黒柱になってばりばり稼いでいけるかというと、それは非常に難しいということと、もう一つは保育の問題があるかなというふうに思います。
このデータ、同じデータなんですが、母子世帯になった当時に子供さんの年齢幾つでしたかと尋ねたデータがあるんですが、半分が未就学児童ですね、一番手の掛かる未就学児童を同伴していた。なので、かなり育児と仕事の両立を、困難を抱えてパートに移行しているという人が多いのではないかというふうに思います。
で、どの段階でシングルマザーは住宅問題に直面するのかということなんですけれども、離婚前後だと思います。このデータは、私がやった調査の集計をしたものなんですが、離婚によって、あるいは死別した後転居したかしていないかというものを見たものなんですね。なぜこんなデータをわざわざ取ったかというと、シングルマザーの住宅事情に関する統計データというのはほとんどございません。あっても住宅所有関係ぐらいなんですね。なので、なぜ居住貧困に陥っているかというようなことを調べるためには実態調査をするしかないということで、母数は少ないのですが、こういう実態調査をしたということですね。すると、死別では別に差し迫って転居する必要はなく、持家であっても、夫の生命保険ですね、それで相殺されてそこに住み続けることができる割合が高まるんですが、離婚の場合には転居しなければいけないということになります。
なぜシングルマザー、離婚のシングルマザーが転居をしたのかということも調べているんですが、夫さんの名義、ほとんどが夫さんの名義ですので、そこにとどまれないという問題があります。そしてもう一つは、離婚するに当たって、新生活ですね、スタートさせるに当たって夫が払っていた家賃額を払うことができない、節約したいので安いところに住み替える。さらには、もう住宅の問題、コンディション関係なく、生活支援、実家からの育児支援がなければ生活が成り立たないので、実家に戻るということで転居される。もう一つは、ドメスティック・バイオレンスですね、最近、柏の児童虐待事件なんかもございましたけれども、ドメスティック・バイオレンスによって家を出ているという人は結構シングルマザーの中では多い割合で存在します。
その後、じゃ、彼女たちがどこへ行くのかということなんですけれども、まず、先ほど就労のステータスの話をしましたが、不動産業者の方にお話を聞くと、どこを見ますかというと、前年度収入と勤続年数です。そうすると、前年度は専業主婦でとかパート労働でという人がいきなり賃貸住宅の市場に出て住宅を借りられるかというと、非常に不利です。なので、その点で、ステータスの点ではねられてしまうということが一つ。さらには、敷金、お金がまずない。そして、保証人確保の問題ですね、保証人が確保できない。親に頼みたくても親が高齢化しているとか、まあ、元夫に頼むなんという人もいるんですけれども、多くの人がやはり関係性が御両親なんかでも薄くて、なかなかなってもらえないとかですね。
さらにもう一つは、入居差別。最近は空き家が増えてきていますので、シングルマザーを排除するというような、全面的に排除するというような不動産業者は減ってきてはいますけれども、きても、条件の悪い物件を提供するというような事業者さんも存在します。ですので、入居差別、シングルマザーにはこういう物件をといって足下を見ているというような市場がございます。
もう一つは、プレシングルマザーといって、離婚できていない状況で住宅探しをされる人ですね、これが非常に増えてきています。私も調査の一環で不動産業者の方と面談をしたりもすることがあるんですが、大抵がこのプレシングルマザーですね。
このプレシングルマザー、何が問題かというと、母子世帯としての制度が全く受けられないんです。児童扶養手当はない、さらには、新たに生活をスタートしようとしても、保育所の料金というのは元夫の収入ですので、ぐんと高いと、なので生活がなかなかしていけないというような問題があったりもするわけです。ただ、一番直面しやすいのはプレシングルマザーの状況ということですね。
そして、先ほど平山先生の方からもありましたが、公営住宅。これはシングルマザーを優先的に入居させますよということで制度、自治体さんが制度をつくってやっているんですが、緊急に利用ができないという問題があります。例えば、五か月ぐらい応募から掛かってしまう自治体さんもあったりとか、シングルマザーは結構緊急に住宅を確保したいというような要望がございますので、それに対応できないというような問題があります。
さらには、当たらないということですね。希望する地域の団地はすごく人気が高くて、倍率が高くて、それで何度応募しても当たらないという実態がございます。
さらには、へき地というかすごく立地の悪いところの公営住宅というのは非常に空いているんですが、そこへシングルマザー入れて自立した生活ができるかというと、なかなかできないという問題がございます。
ですので、なかなか公営住宅というのは使いづらい制度だということになっています。
さらにもう一つ、児童福祉法の施設で母子生活支援施設というものがございます。これはどんなシングルマザーでも引き受けますよというようなことをうたっているんですけれども、実情はやはり施設が随分、残余化していまして、より深刻なシングルマザーを入れたい、つまりは、ドメスティック・バイオレンス、暴力被害を受けたようなシングルマザーを優先して入れたいというような意図が働いているようで、シングルマザーが単に住宅に困窮しましたということで相談に行っても、暴力を受けているかと、児童虐待があるかみたいなことがヒアリングされて、なければ随分順位が後ろになってしまうというような実態も聞かれています。緊急性が非常に低い人を排除していくということで、なかなかこれも使えないということになっているわけで、もちろんDVの人にとっては重要な社会資源ですが、一般の住宅に困窮する人がこれを使えるかというとなかなか使えないという問題があります。
さらには、住宅資金、転宅資金。これは母子福祉資金というものなんですけれども、転宅するときに貸し付けますよというようなものなんですが、これも利用に際しては厳格な審査がございます。保証人の確保も必要だったりとか、さらには、保証人が二人必要、さらには、利用するときには面談も必要ですよみたいなところがあって、シングルマザーにとって、本当に今日明日行くところがないですみたいな感じの人にとってはなかなか使えない制度になっているというのが現状です。よって、シングルマザーというのは自助努力で何とか住まいを確保していかざるを得ないという状況になっているわけですね。
これは証言で、私がいろいろとインタビューをしている中でシングルマザーの方の聞き取りからまとめたものなので、もしよければ読んでいただきたいなというふうに思いました。なかなか制度が使えなくて、結局は誰かに借金をして住宅費を賄っているというような状況があったということです。
そして、こういったようなシングルマザーなんですが、どこへ依存しているのかなということが気になりまして、アンケート調査を実施いたしました。すると、多くがやはり民間借家か親元ですね、家族のところに依存をしているという状況でした。
シングルマザーというのは、特にプレシングルマザーについては制度がございませんので、実家ですね、事前転居というのがプレシングルマザーに値するのですが、実家へ依存をする人が非常に高くなっていると。同時転居については、民間借家も増えるんですが、同居に依存する人も非常に多いということです。さらに、事後転居につきましては、公営住宅の割合が上がりますので、住宅のコンディションを改善したいということで離婚後しばらくして転居した方については、公営住宅は利用できるかなという状況になっています。
そして、もう一つ重要なことは、親類宅や民間借家に移動をした人でも、結構転々と転居をされているケースが多いわけです。これはなぜかなというふうに思ってインタビュー調査を重ねますと、親類宅なんかに転居した人たちは関係性が悪くなるとか、そういう問題がある。
そして、民間借家につきましては、どうしてもお金がないので非常に劣悪なところ、屋根があればいいと思って借りたけど、子供のアレルギーが発生してしまった、ぜんそくが出た、アトピーが悪化してしまったということで、やむを得ず再転居している、環境を変えるために再転居しているというようなケースもございました。
このように、転々と住まいを変えるというのは、なかなか日本では見えにくいのですが、欧米なんかではもうホームレスの定義に値するということで、この一番不安定期にどうやって住宅を供給するかということを深刻に考えていかなければいけないと思います。
そして、住宅が確保できたからいいのかというと、そうではありません。やはりシングルマザーは所得が低いですので、どうしても低質な住宅に依存せざるを得ないということになっています。先ほど平山先生の方からもありましたが、離婚のシングルマザー、やはり賃貸住宅に依存をする傾向が非常に高いです。賃貸住宅であっても良質であれば問題はないんですが、そうではなく低質なんです。
もう一つは、住居費負担率が非常に高い。私の調査では三五%程度でした。先ほど、どんどん上がってきて一五%ぐらいだというふうに書かれて、先生からも報告はありましたけれども、シングルマザーについては民間借家の平均が三五%です。これ、五十万円の収入の三五ではなくて、二十万弱の三五%を持っていかれるわけですね、家賃に。なので、随分家賃負担は大きいというふうに見て取れると思います。
もう一つは、狭小住宅への集中ということですね。下のデータは、最低居住水準未満の指標というのが我が国はありまして、それの指標にのっとって算出をした結果、民間借家では、大阪府と大阪市のデータなんですが、四二%、民間借家では、が最低居住水準未満、これ最低ですので、これ、最低の住宅にも入れないようなシングルマザーが四割も存在するというような状況がございます。
そして、最近シングルマザーの問題がかなりクローズアップされてきたなと。私は十八年ぐらい前からやっているんですが、当時は全然そんな、シングルマザーの支援なんてほとんど話題にもされなかったんですが、最近非常に注目されるのはなぜかというと、やはり子供の貧困問題が非常にクローズアップされたからなんですね。
その点で、子供の空間貧困を考えるという節を設けてちょっとお話をしたいのですが、この下の図面は、実際にシングルマザー、DVを受けたシングルマザーの方が描いた図面になります。これは、かつて住んでいた六畳一間、そしてコンディション、二人の子供が大きくなったので、コンディションを改善しようとして2Kのところに移ったというパターンなんですけれども、今一番何が問題ですかというお話をすると、子供の勉強のスペースが取れないことだというふうにおっしゃられていました。
これは、いろんなところで講演をしてお話をすると、やはり当事者、さらには支援者の方がやはりこの問題は非常に深刻ですというふうに言って私にケースをお伝えくださいます。例えば、小学生の二人が床にはいつくばって勉強をしているとか、スペースがないので壁にプリントを付けて宿題をしているとか、更に深刻なのは、十代の男女ですね、部屋数がないので一緒に寝かせているとか、一室しかないところでお母さんが疲れて帰ってくるともう就寝するので勉強するような空間が全くないとか、そういったような意見もどんどんと上がってきています。
国の方では、いろいろと子供の貧困対策として学習支援を積極的にやっていこうというようなことをなされているんですが、学習支援の前に学習環境がないということが非常に問題だと私は思っているんですね。こういう面からも、やはり住宅の質の向上ですね、こういうことを子供の貧困を考えるのであればやっていかなきゃいけないだろうというふうに思っています。
さらには、シングルマザー、箱の供給だけでいいのかというと、そうではありません。多くのシングルマザーが、当初私は、調査を始めたときは仕事とか安い住宅に飛び付いて移動をしているのかなというふうに思ったのですが、よくよく見ると、シングルマザーというのは友人、知人を頼って、コミュニティーですね、そこで育児支援をしてもらうとか、さらには子供を転校させたくない、保育所や子供の学校、そのエリアの中で転居をしたいというような要望があるようです。
ですので、良質な箱をどんどん造るというよりは、やはり支援、ケアの部分をセットで提供するようなことをしていかなければシングルマザーの自立はないかなというふうに思っています。
その中で、いろいろと、企業さんは早いので、空き家を活用して社会貢献としてシングルマザーに対していろんな支援をしていこうと。その一つが、シングルマザー向けのシェアハウスというのが最近増えてきているんですね。
企業さんのもくろみは、こうやっていろいろと、シングルマザーが実家に帰って育児支援をしてもらいながら働いているらしいと。それは、都心部であればいいがそうではない、地方であったり郊外の場合には就労機会そのものがないので、シングルマザーというのは十分に働けていないだろうと。ならば、都心部でもケアを付けて、そして住宅を安定供給して、住まいとケアと一体的に供給することでシングルマザーの就労環境を整備しましょうと、そういうもくろみで企業さんがこういったような支援を始めているんですが、住まいとケアの、セットするような仕組みというのはなかなか難しいんですよね。
ケアの部分の費用をどうやって出すかと、介護でも障害福祉でもないのでどうやって出すんだというときに、生活保護はどうかといろいろ皆さん考えたみたいなんですが、生活保護を受けているシングルマザーの方って全体の一割ぐらいなんですね。なので全く使えないと。だったらば、一住戸に複数のシングルマザーが一緒に住まっていろいろ助け合うことで就労環境を整備していったらどうだろうというような箱をつくる、まあ仕組みですね、をつくってみよう。
もう一つはケアですね。保育施設をセットする、さらには就労の場をセットすることによって、オールインワンでシングルマザーの生活を支えていけないだろうかというような企業さんが増えてまいりました。
これは、私が聞き取りして全国にあるだろうというふうに仮定をした、カウントしたシェアハウスの数です。
事例を少し紹介したいのですが、例えば、介護事業所さんが人材不足を解消するために仕事と保育とシェアハウスをセットで提供していくというような仕組みを提供しているところもあります。こんなことをして何がもうかるんですかという話をしたら、人材不足非常に深刻で、介護業界のリクルートにすごくお金が掛かると、それをこういったような社会貢献に回すことでシングルマザーの人材が確保でき、そして広告料も安くなるというような事業モデルのようですが、こういうことをやっているような企業さんもいらっしゃいます。
そしてもう一つは、こういった複合施設ですね、一階に小規模保育園を併設し、そしてもう一つは就労の場として洗濯代行店をセットして、二階を、二階、三階をシングルマザー向けのシェアハウスにするというような事例なんかも出てきています。最近では、むしろ箱だけを提供するというよりかは、こういったような仕組みですね、住宅と仕組みをセットで提供するような企業さんの事業モデルが増えてきているんですが、こういったことに救われるようなシングルマザーさん、たくさんいらっしゃいます。
インタビューをすると、なぜシェアハウスに来たのかというと、制度が全く使えなかったからということと、さらには、施設に入居を希望したけれどもあなたは入れませんというふうに断られた、だからシェアハウスに流れてきているというような声もたくさんあります。
もう一つ、こういったような事業者さん、いろいろともくろみは、もうかるとかいろいろあるんですけれども、せっかくこうやってシングルマザー向けに住宅を供給したいというふうに集まってくださった方に、やはりシングルマザーとはどういう特徴を持っているのかとかどういう制度が使えるのかとか、そういうことを知ってほしいということで、私の方では全国会議というのを企画しまして、全国のシングルマザーに住宅を提供してもいいよというような事業者さんたちに対してこういったような会議をして知識を付けてもらうような機会をこの度設けて、前回も一回やったんですけれども、こういうことをやっていこうというふうに思っているわけです。
国は空き家をどんどん活用していくというふうに決めたと。ならば、やはりどうやって優良な不動産業者さんたちを集めて、そして一緒に、共に成長していくかということを考えなきゃいけないかなと他方で思っているところです。
済みません、時間が延びていますが、最後にまとめなんですけれども、まず、いろんな事業者さんたちがシングルマザー向けに住宅を提供しますよというふうにやっているんですけれども、それは民間が、国が全く住宅支援がないというところにビジネスの余地をつくっているだけであって、やはり、母子世帯の居住貧困というのは国の施策が足りていないから起こっている問題だということをちゃんと直視をして住宅整備をしていく必要があるだろうなというふうに思っています。一つは、もう直接供給をやめているので家賃補助の充実というのは重要かなというふうに思っています。
もう一つは、繰り返しになるんですが、単なる箱ではなくて、シングルマザーの就労環境を整備するためには、住宅だけではなくて、いろんなものをセットで提供できる仕組みが非常に重要だということですね。そのためには、不動産業者だけではなくて、NPOであるとか行政、もちろん様々な業界が手を組んでいろいろと知恵を出していかなきゃいけないというふうに思います。
そして、最後に、母子世帯や子供たちを孤立させない住宅、町づくり、こういうことに私は期待をしたいなというふうに思っているんですが、やはり地域に様々なケアの、市場によらないケアの拠点がたくさんつくられることによって、シングルマザーの孤立を防いで、虐待児童なんかも早期に発見ができて救われるのではないかと、こういうような視点でいろいろと研究をしているところです。
済みません、時間が長くなりましたが、ありがとうございました。
○参考人(塩山諒君) こんにちは。御紹介あずかりましたHELLOlifeの塩山です。よろしくお願いいたします。
では、二十分お時間いただきましたので、お話しできればと思います。(資料映写)
ちょっと本題の住宅の我々の取組に入るまでに、我々の法人が何のために存在しているのかであったりとか、少し前提の部分をお話しできればなというふうに思います。
NPO法人HELLOlifeは、今、大阪の方で事業をやっております。創業は十一年前になりますけれども、大阪府内、今、四人に一人が非正規雇用という状況と、大阪市内におきましては、約、労働人口の半数ぐらいが非正規雇用という状況で、結構、大阪も今、インバウンドだったりとかで結構景気がいいように言われておりますけれども、結構、駅前もすごく再開発されていっていますけれども、かなりオーバーストア現象という形で、かなりディベロッパーさんはもうかっているかもしれませんけれども、現場でオペレーションを担う若者に関しましては、平均年収は百六十八万円というのが出ているという状況もあって、結構、大阪市内において百六十八万円って結構低い現状があると。
先ほど平山先生がおっしゃったように、実際、なので、百六十八万円だと独り暮らしができない状況があったりもしますので、実家の方に暮らしている若者が多い状態にあると。とはいえ、別に障害者手帳を持っているわけでも何でもないので、いわゆる一般的に言うと、低所得な状況のままいわゆる働きながら何とかやっていると。結婚をしていくと、今、先ほど子供の貧困という問題もありましたけれども、いわゆるそのままキャリアアップというものがなかなか望めない状況の中で、次のライフステージに上がっていくという中で、今の子供の貧困問題みたいなものがいわゆる表面化していっているという、顕著な、現れている問題もあるのかなと思いますけれども。
いわゆる、完全に、僕たちの十年前からも、今もそうですけれども、いわゆる本当に格差というかかなりの、いわゆる正規、非正規ということもあるかもしれませんけれども、半々ぐらいのウエートに今来ているんじゃないかなというぐらい結構深刻な問題ではなかろうかということを十年前に、我々も二十二歳のときに大学の友達と一緒に起業したということもありますけれども、僕は大学も行っておらず、元々小学校も余り行っていなくて、ずっと学校教育にはほとんど行っていなかったんですけれども、中学校を出て社会に出て、自分自身も非正規の状態という、あれですね、日雇労働みたいなことを繰り返していく中で、ああ、結構これ深刻な問題なんだなということを自分の体験を基に、非常に自分事としても非常に危機感を、危機感というか、何とかできないのだろうかなということを思いを持ちました。
そういった中で、そういった若者たちがまず訪れるというものが、いわゆる公園とか図書館とかと同じような形で、地域にあるやっぱりハローワークだったりとか、いわゆるセーフティーネットとしてある、ハローワークは全国に今五百四十四か所ありますけれども、結構どこに行ってもあるという状況がありますので、まずはそういった地域の行政の支援機関に行くわけですけれども。
そこに行くと、仕事の相談ということがまずありますけれども、いわゆる労働者というか求職者の主語で申し上げますと、ハローワークでも働くということ、支援がありますけれども、多分、僕たちは今、人生、この時代をどう生き抜いていくのかという主語があったりしますので、自分の人生をより拡充していくとか、より豊かなものにしていくために、手段としての働くというものがあったりとか、手段としての暮らしというものがあったりとか、住むということだったりとか、どういったパートナーと過ごしていくのかということで、本来、ハローワークみたいなところに行く中で、そういった手段の最適化を図っていくというか、働くだけではなくて暮らしの支援だったりとか、何か婚活事業みたいなのもあってもいいかもしれませんけれども、もっと本当は人生の質を向上させていけるような、トータルのサポートみたいなものがあったらいいんじゃないかなと。
僕たちの世代というのはちょうど小学校のときにJリーグが生まれた時代でもありますので、もっと本当は、何かこういった公共サービスみたいなものがもっと地域密着型で、行政の資本、国だけではなくて、地方自治体だけでもなくて、地域資本主義というか、地域の皆さんも資本参加をしていくというか、皆さんでそういった若者を応援していくだったりとか、今、いかんせんというか、やっぱりなかなかその非正規の状態、さっきの低所得の状態の若者に関しては、なかなか大阪においても、自己責任論というか、なかなか厳しい目があって、なかなか応援していこうという機運というものがなかなかなかったりするんですね。
なので、何かみんなで、地域の中小企業さんだったりとか地域の皆さんも含めてそういった若者を応援していけるような仕組みみたいなものとかですね、本当は何か理念先行型のハローワークみたいなものができたらいいんじゃないかなということを勝手に思いまして。なので、国の政策の、ハローワークみたいなものを含めて、労働政策と住宅政策も併せてアップデートしていけるようなものですね、仕組みみたいなものができたらいいなということを十年前に思いまして、それでこの法人を立ち上げました。なので、まずは、パートナーとしては大阪府さんだったりとか地方自治体の皆さんと連携をしつつ、地域の経済界、中小企業の、主には中小企業になりますけれども、の皆さんと連携をして一緒に事業を今つくっていっているという状況になります。ちょっと前置き長くなりましたけれども。
で、我々の、一応、住宅においても、今、主に、先ほどのメーン、事業のターゲットとして行っておりますのが、先ほどのいわゆる、いわゆる高度人材像ではなく、いわゆる、僕たち一応NPOになぜしているかというと、なかなか株式会社がもうからないからサービスをつくらないという市場があると。それは、いわゆるグレーゾーンというか、いわゆる高度人材像でもなく、いわゆる福祉ゾーンでもないと。福祉でも医療でもなく、いわゆるキャリア層でもなかったら、いわゆる一般的には若年無業状態になったりだとか働いていないという状況の若者というものだったりとか、また、さっきの非正規の問題というものも非常にかなりの大きな母数になっておりますので、いわゆるそういったグレーゾーンでいる人たちをターゲットに一応していると。
で、ここというものは、なかなか受益者負担だったりとかそういったサービスがなかなか成立しづらいこともあって、なかなか、いわゆる利益が出るというか事業化していく領域ではなかなか難しいと言われていると。ここにおいて、いわゆる公的ないろんな、様々なサービスというか事業が一応ありますけれども、そういった民間市場で難しく、かつ制度もないというような領域において今事業の展開を図っていると。なので、我々としましては、なかなか民間参入が少ないという公共市場に対して、そこの、新しい、新たなマーケットみたいなものをつくっていけないかなと思っていて、ここに、行政だけではなくて、先ほどの地域の皆さんもお金を落としたりとか、地域の中小企業の皆さんもお金を落としていけるような仕組みを持っていって、次の持続可能な新たな公共システムとして、ハローワーク含めて、地域の空き家も含めて活用していって、ちょっとおせっかいなおばちゃんじゃないですけれども、困っている若者がおったら仕事を紹介したりとか家を紹介したりとかってしていけるような、間に入るような立ち位置として我々は今仕事をさせてもらっているという形になっております。
その後に、かなり今、衣食住という形で、そういった若者の仕事の支援だけではなくて、暮らしの支援だったりとか、いわゆる婚活の支援というか、いろんな幅広く人生の支援みたいなものをさせていただいておりますので、そういった中の一部少し、仕事の紹介の部分とメーンの暮らしの、仕事の、暮らしの紹介という形でさせていただきます。
一つ拠点というものが我々持っておりまして、大阪の本町という場所に靱公園といって、大阪のセントラルパークって勝手に言っていますけれども、大きな公園がありまして、その前に、二〇一三年に、勝手に、若者の声を意見集約していって、勝手に理想のハローワークみたいなのをつくってみようというので、勝手に仕事の支援の機関みたいなものをつくりました。ここには、一階にはカフェがあったりとかライブラリー空間という形で、仕事とか人生にまつわるいろんな本があったりとか、暮らしを豊かにしていくための様々な情報提供を行っていこうというので、お茶を飲みながらそういった情報を得れるという空間があったりと。
その一階の方で提供しているお菓子であったりとか、おはぎバーガーとかあるんですけど、いろいろな商品は、実はそのさっきの福祉制度に乗っからなかったりとか、なかなか民間市場で働けない若者たちが、引きこもっているだったりとかという若者たちが職業訓練の一環として、働くことを通して自信を付けてもらうために、四階の方にキッチンがあって、いわゆるそのトレーニングの一環として四階で作ったものを一階で販売していて。大阪の方で今、阪急百貨店さんだったりとか、いろんな近鉄百貨店さんとかで販売をしたりとかして、結構これは、なので、しっかりと物を売ってみんなで仕事にしていくという試みを一階の窓口としてやっていると。茶室というものがありますと。
二階に行けば、いわゆるその仕事を探す機関として、キャリアカウンセリングだったりとか含めて人生をプランニングしていくということで、様々な仕事相談の窓口があると。
大阪市内に約五百社の中小企業の皆様の今お取引をさせてもらっていて、中小企業の皆様って、なかなか大手の求人媒体においては大手企業に勝てないこともありますので、ハローワークに載せてもなかなか来ないであったりとか、そういった課題がありますので、人材不足というものがかなり深刻化している状況でもありますので、中小企業の皆様の採用費であったりとか定着支援といういわゆる人事の費用を一部アウトソーシングしていただいています。そういう形で、町の人事部みたいな形で、中小企業の皆様はお金を落としてもらって、一緒に若者の支援をしていくということを今やっているということです。
三階に行けば、そのような若者たちが常に集まってもらえて、かつ、いわゆる職業訓練だったりとか、何のために生きているのか、何のために働いているのかということをしっかりとそれぞれが言語化できるような場をスクールとしてコミュニティーを持ってサポートさせてもらっています。
これが今は登録者約五千名という形で、月々今百名ぐらい新規の登録者がいて、先ほどのいわゆる低所得であったりとかなかなか将来に希望が見出せないという若者がうちの方に登録をしてもらっているというような状況になります。こういった中で、仲間を見付けたりとか、結局はその正解というのはなかなかなかったりするので、そこの中でコミュニティー、友達をつくっていって、生きる力を付けていくということをやっていたりしていますと。
四階の方にこういうキッチンがあるという形ですね。
こういった本町のこの場所で拠点がありまして、そこから、ここでいわゆる働く支援という形で働く機会をつくっていくことはさせてもらっていますけれども、ここで働いていっても、先ほどの百六十八万円だったりとか、やっぱり働き続けていく上での難問というか課題がありまして、やっぱり二百万円行かないと、先ほどの平山先生おっしゃったように、やっぱり家賃を払っていくのがなかなか難しかったりもしますので、そこから共働きであっても非常に厳しい経済環境というものがありますので、その中で、二〇一三年ぐらいから空き家問題みたいな問題を伺う中で、全国に八百万戸空き家があると。
大阪府内におきましても、六十四万ストックという形で六十四万戸空き家があるという状況の中で、六十四万のうちの府営住宅、公営住宅におきましても十六万戸とかあると。大阪府に関しましては、そのうちの一万八千ストックという形で一万八千戸空き家があるということもありましたので、それを有効活用させていただけないかということを協議をさせていただきまして、なので、いわゆるこの社会保障というか、さっき住宅、ベーシックインカム的にこういう住宅みたいなものがまずあると大分変わってくるなという状況もありましたので、その中でも、とはいえ大阪市内の公営住宅は結構人気があってなかなか入れないという状況がありまして、なので、ちょっと利便性が悪い、少し市外の方に行った、山の方に行った場所の四條畷という場所にあります清滝団地という場所でそのモデル事業をやらせていただこうという話になりました。
とはいえ、その公営住宅というものを今空いているからといってすぐ活用するということがなかなか、条例であったりとか、なかなか難しいという状況がありました。単身の若者がすぐ利用できないということもあったりもしましたので、一旦は、今回、我々がこの公営住宅の空き室を活用して就職支援と住宅の支援をやっていくという部分で一応国交省の方にお話をさせていただいて、一応通常の公営住宅の目的ではないということで、一応、目的外使用という項目ですね、を活用させていただいて、大阪府と日本財団とHELLOlifeで一応三者の協定を結びをさせていただいて、一応、その通常の利用ではないですけれども、今回社会実験的にこういう試みをやりましょうということで、空き室をまず十一部屋ですね、貸していただきました。これの協議で三年ぐらい掛かったんですけど、結構時間が、なかなか全国にも例がないというので、日本で初めて大阪でこういうことをやるということもあって、前例がないということで非常に難航したということがあります。
あとは縦割りの壁もあって、やっぱりどうしても、大阪府が母体で、雇用の商工労働部という形で雇用セクションと仕事をしていましたけれども、住宅まちづくり部という形で住宅のセクションの皆さんとやっぱり仕事をしていく、一緒に協働していくというものが非常に厳しくて、やっぱり縦割りの壁というものに非常に苦しんだというのがありました。
でも、何とか、思いを持って、思いを伝えて、プラス、日本財団さんが全部の資金をバックアップするということで、一応、ファンドレイジングという形で、財団さんがお金を全て出すからやりましょうということでできましたと。
なので、三者でこういった、大阪府が住宅の提供をしていくのと、日本財団が全ての予算を出すということと、HELLOlifeが全ての企画からオペレーションを担うということの三者でまず社会実験をしましょうということで、先ほどの就職の支援と、あとは住宅に関しましてはやっぱり結構古い、空き家に関しましても昔のものなので、それを今の若い子たちが住めるようにDIYという形で、建設、建築業のいろんな皆様に協力いただいて、セルフリノベーションという形で部屋を全てリノベーションしていくということを職業訓練みたいなプログラムを作っていって、仕事探しとDIYをしていくということと、あともう一個が、ここはもうまさにほとんど、ここは六百戸部屋がありまして、うち五百戸、五百埋まっていますけれども、そのうちの八〇%が高齢化という状況にありますので、ほとんど高齢者しかいないという状況もありますので、その地域のお祭りがなかなかできなかったりとか、いわゆる地域の取組みたいなものに若者が入っていって地域のお祭りを再生していくだったりとか、そういうコミュニティーの全体の支援を一緒にやっていこうということで、そういったプログラムをやりました。
なので、就労支援の取組の部分と、あとは先ほどの、全国的にも建設業界とかそういった部分について人材不足ということもありますので、大阪の建設業界の皆様に協力いただいて、親方を無料で派遣してもらったりとかして、いろんな親方さんに来てもらって、一緒に建設業というか、家を造るということを一緒にやりました。
こういう形で、結構、元々すごくぼろぼろの部屋だったんですけれども、一応、こういう形で全員がペンキ塗ったりとかして全体のリノベーションをしたという状況になります。通常であれば約三百万円ぐらい多分業者さんにお願いすると掛かっちゃうんですけれども、自分でやるとほぼ材料費だけでいけるという状況もありますので、そういった形でこういったリノベーションができたと。
プラス、一部屋はコミュニティースペースという形で、その入居者の子たちが衣食住一緒にできるような、大きなキッチンがあったりとかいわゆるランドリー機能があったりとかという形で、「テラスハウス」という何か番組があるんですけれども、一応、男女五、五ぐらいにさせてもらって、みんながいろんな出会いがあったりするような形で、交流深められるようなコミュニティーの場所としてこういった場所をつくりました。
地域の方ともここで交流をするという形で、こういった場所を設けました。ここの場所を設けてよかったなというのは、やっぱり一人ずつ洗濯機だったりとかいわゆるいろんなものを、家電を買うと非常にコストが掛かりますので、こういった共用部で家電も含めてシェアできると、結構そういった初期の引っ越しの予算だったりとかいろんな生活費が全部シェアできるということもありますので、非常にいい形でこの場所を使えているのかなというふうに思います。
こうやって地域の清掃活動だったりとかいろんな地域の活動にも参加していると。
地元の最年少の市長という形で東市長にも入ってもらって、いろんな自治体の皆さんにも入っていただいて、一緒に研究会だったりとか、今やっていることの効果測定をしていくということをさせていただいています。
一旦、今回、モデル事業という形で、昨年の春から約二年間の期間という形になりますけれども、三十名申込みいただいて十二名入っていただいて、八名が一応正社員になって、仕事を決めて、一応この三月末で全員退去というふうになっております。
一定、このモデル事業が非常に、全国で初めての試みということで非常に反響が大きくて、本当にテレビ番組も含めて非常に、マツコ・デラックスさんもなぜか評価をしてくれたということもあって、いろんな全国の自治体の方でもこういったことができないかということの中で、もうちょっと、より、じゃ、しっかりと日本財団の助成金がなくてもできるようなスキームにしようということで、この春から、一応、新しい事業モデルをつくっていこうというので、公民連携、官民連携モデルという形に変えておりますけれども、いわゆる地元の企業さんと、一定、今回入居する若者もちょっと家賃を負担してもらうという形で、一緒にお金を出し合ってもらってやれるようなスキームにしていこうというので、この春から事業を、十戸から三十戸になって、部屋も広がって、やっていこうと思っております。
という形で、やっとちょっと試験的に、いわゆる低所得の若者たちが固定費を下げてやっていけるような、衣食住を支援していけるようなプログラムを大阪でちょっとやりましたけれども、これがしっかりと全国の自治体でも汎用性を持ってやっていけるようなものになればいいなというので、一応この春からは、四條畷、地元の市町村も主体に、事業の主体に入って、四者協定という形で一緒にやっていくというふうになっております。
プラス、居住支援の試みとして、国交省の方からも予算を一定いただいていたりもしますので、民間の空き家もできれば活用できればなということで、今ちょっといろいろと動いているという状況になります。
少し時間が過ぎちゃいましたので、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
参考人の皆様、今日は本当にありがとうございました。
住まいは生活の基本であって、憲法二十五条が保障をする生存権の土台というべきものです。世界人権宣言や国際人権規約も住まいが権利であるということを認めています。
これまでの参考人質疑でも、住まいは人権だということを何度も確認をしてきました。貧困等格差が広がる中で、住まいの安定が損なわれる方たちが後を絶たない状況に今なっています。住まいの貧困をめぐる多くの問題を打開、解決するために、政治が役割を果たすということが求められていると考えています。
こういう立場に立って参考人の皆さんにお聞きしたいんですけれども、まずは平山参考人にお伺いするんですが、参考人が阪神・淡路大震災の被災者の住宅問題にずっと関わってこられていて、東日本大震災後には、現地を訪ねて調査にも参加をされてきたということを読んだんですけれども、私は福島県に住んでいて、みなし仮設住宅であるとか復興住宅に移ると公的な支援が届きにくいという問題があったり、原発事故によって避難指示区域の外から避難をされている方々の中には、住宅の無償提供が打ち切られた後に公営住宅に引っ越しをしたいんだけれども空きがなくてなかなか入ることができないと、こういう方もいらっしゃいます。
災害と住まいをめぐる問題には多くの課題があると感じています。災害に当たって、安定した住まいの確保のために求められる政治の役割、公的な役割の重要性についてどう考えておられるのかということが一つと、あと、今、災害が全国各地で起きている中で、一部損壊住宅も増えていますけれども、この一部損壊住宅でも暮らしへの影響が非常に大きいということで、一部損壊に対する支援も行う必要があると思うんですけれども、どうお考えでしょうか。
○参考人(平山洋介君) 私は神戸で地震に遭いましたし、自分の家も壊れちゃいましたし、東北も行かせていただきましたし、熊本も行ってきたんですけれども、やはり復興の基本は住まいの復興だというふうに思います。
やはりそこが、災害が起きますと、自治体、政府、いろんな政策を打たれます。雇用をどうする、医療をどうする、学校をどうやって復興する、いろいろありますけれども、まず、基本はやっぱり住まいが安定しないと、今日お話ししたこともそうなんですけれども、住まいが安定して初めて、政府や自治体がいろいろ御努力なさっている政策が初めて生きてくるんだろうと思います。住む場所がないと、なかなかいろんな政策が本当にうまくいかない、無駄になっていくというふうに考えております。そういう意味で、今、公営住宅を造るあるいはみなし仮設住宅ができた、いろいろありますが、まず重要なことは、災害のたびに少しずつはいろんな手法が増えてきていてということがあろうかと思います。
今御指摘になりましたように、私、神戸で地震に遭いましたのは一九九五年でしたけれども、そのときに復興の仕事をしていて、何という珍しい仕事をしているんだと思いました。何でこんな目に遭うのかなというふうなことだったんですけれども、逆に言いますと、今はもう災害が、言葉は悪いですけど、当たり前のように発生するようになってしまってということですね。
ですから、やはりそういう過去の経験も参考になりますし、少しずつ手法が増えてきているという点、要するに、そういう教訓の下で政策を打っていくことができるようになったというふうに思います。
今非常に重要になっているのは、まさに御指摘のように、一部損壊住宅の問題だろうと思います。
例えば、昨年の大阪の北摂の地震は、実は全壊はそんなになくて、言葉がおかしいですけど見た目ちょっと地味だったんですね。ところが、後で分かってきたのは、一部損壊の住宅が非常に多い、しかも高齢者が非常に多い、なので、例えば罹災証明取りに来るのも非常に遅かったというふうに聞いております。高齢者の方が非常に多いわけですね。
一部損壊で見た目そんなに大したことないんですけれども、一部損壊でも住めないものは住めないわけです。雨漏りが非常にあって大変なわけですね。ところが、そこに対する制度が今までほとんどなかったというような現状がありまして、これも新しい教訓で、是非新しい制度、政策を打っていく必要があろうかと思いますし、そういう経験の、やはり地震があるたんびに新しい手法増えてきたと思います。神戸のときは行政の仮設しかなかったのが東北ではみなし仮設ができましたし、持家に対する再建の補助も東北では始まったし熊本でもやっている。
次、やはり一部損壊に対する補助というのが重要だろうというふうに思っていますし、先ほども御指摘ありましたように財政出動が大変な時代だというのは分かっていますけれども、しかしながら、それは割に合うんだというのが私の主張です。住まいが安定することが政府のほかの政策のコストを下げる、あるいは効果を上げるための基本なんだというようなことを申し上げたいと思います。
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に葛西参考人にお伺いするんですけれども、母子世帯にとっては住まいの確保そのものが非常に困難であると。その中で住まいの質を確保することも同じようにやっぱり難しい実態があるんだというふうに先ほどお話がありました。
子供の空間貧困という話があったと思うんですけれども、住まいの質を確保するということが子供の成長にとってどういう影響をもたらすのかということが一つと、あと、公的な支援が不足をしている中で民間が入ってきているというお話がありましたけれども、住まいの貧困の解消に向けて必要な公的な責任とか役割について、先ほども少しお話しいただいたんですけれども、改めてお聞かせください。
○参考人(葛西リサ君) ありがとうございます。
子供の空間貧困が子供のその後に、成長に与える影響についてなんですが、一九九〇年代ぐらいに早川和男先生と共著で出された本が、ちょっとタイトル忘れましたけどありまして、子供の成長と居住空間の関係を見ているという、見るんですね、調査がありました。その学力と広さとかですね、そういうものも見ていましたし、さらには、子供たちの病症だったかな、病気と空間の広さというか、そういうものを相関させていろいろ調査をしていたんですが、やはり、狭い環境で暮らしている子供さんたちというのは、アレルギーであるとか、親にもそうなんですけど、うつ病の発生が高いとかですね、そういうふうなデータが出ておりましたし、さらには、最近、私のデータなんかでは、一室しかないと親子の関係が非常に悪くなって子供さんが夜に出ていってしまうと、そういうような状況もあるというふうに話を聞いているんですね。なので、やはり空間を、広さだけではないんですが、少なくとも広さの、面積ですね、そういうものを保障していくというのは非常に重要かなというふうに思います。
もう一つ、公的な役割を先ほどからいろいろとお話されているんですけれども、もちろん家賃補助というのは非常に重要だと思っているんですね。
今の住宅セーフティーネット法の中では自治体さんがやるって決めないと家賃補助が下りてこないというふうな仕組みになっていて、結局は、ほとんど、横浜市さんとあと岡山市さんぐらいかな、よく聞くのは、何か、なかなか家賃補助が付かないような状況になっているというふうにお聞きするんですね。ですので、やはり、強制的というのもちょっと厳しいと思いますけれども、家賃補助をどんどん出していくというようなことを前提に話を進めていかないと、なかなか動かないというか形骸化してしまうだろうなというふうに思っているのが一つです。
そして、家主さんも登録はしたいと思っている人たくさんいらっしゃるんですけど、登録の方法が非常に煩雑。実際にシステムにアクセスして登録しようとするんだけれども、非常に人手が掛かるというか、掛かるような仕組みになっているそうです。ですので、そのために人を一人置かないといけないとか管理者置かないといけないとなると、もう登録する方が面倒だみたいなこともあるんですね。なので、もう少し簡素化して登録ができやすいような仕組みづくりをつくっていくということも非常に重要で、そこからやはり家賃補助であるとか、住宅困窮者に家賃補助が届き住宅のクオリティーが上がっていくのではないかというふうに思っていますので、制度をつくっても、その前段階で全く使えていないというのが今の現状なんですね。そこをやはり改善して、可視化して、変えていくということが必要かなというふうに思っています。
ありがとうございます。
○会長(増子輝彦君) 岩渕友さん、時間が過ぎておりますので御答弁いただけないかと思いますが。どうぞ、だから、答弁なしで自分の意見を述べてください。
○岩渕友君 ありがとうございました。
本当は塩山参考人にもお聞きしたくて、やっぱり若者たちが住まいを確保するということが仕事やそのほかの問題に関わっても非常に重要だということがあって、その重要性についてお聞きしたかったんですけれども、時間ということなので。
今日はありがとうございました。
○会長(増子輝彦君) 岩渕友さん。
○岩渕友君 先ほどお聞きできなかった塩山参考人にお聞きしたいと思います。
私も、若い人たちの仕事であるとか、あと、暮らしの問題にいろいろ取り組む中で、例えば若者向けの家賃補助制度つくってほしいとか、そういったことを含めて、安心して暮らすことができる住まいの確保というのは若い世代の非常に強い要求だなというふうに感じています。
参考人のこれまでやられてきたことの中で、就労支援プログラムなんかによって正規で働く方が生まれる、そういう経験をされてきたということなんですけれども、仕事をしていくに当たって住まいの確保というのは非常に重要だと思うんですね。その重要性についてどのようにお考えかというのを教えてください。
○参考人(塩山諒君) そうですね、今回、清滝、四條畷の方の事業を通して、やはりこれまで実家にいた若者が実際自分で家を造ると。まあ一国一城のあるじじゃないですけれども、やっぱり結構、ソーシャルインパクトという部分でいくと、そのかなりが本人、インパクトが結構強くて、やっぱり自分で家を造り上げていって、自分の家が、部屋ができて、そうしていく中で自立というのが、やはり職業的な自立だったりとか、さっきの、仕事どうこうというよりかは、やっぱり自分の家を持ったという部分でやっぱりかなり顔色ももちろん変わっていくというみたいな、その家があることによっていろんな自信を持ってというか、そこから旅立っていけるじゃないですけれども、また戻れる場所もあってということで、そういう意味でいくと、やっぱり、何でしょうね、家があることによって仕事も行きやすくなったりとか、それこそ、パートナーを探すだったりとかいろんなことが円滑に運んでいくような、やっぱり本当に、基盤の構築という部分でいきますと、やっぱり土台がしっかりと固まっていくという部分では結構やっぱり大きいんだなということを非常にこの事業を通して非常に実感するところではあります。
○岩渕友君 ありがとうございました。
まさに住まいがその方の人生のというか暮らしの基盤になると、土台になるということなのかなというふうに思います。
今日は、参考人の皆さんからいろいろ貴重な御意見聞かせていただいて、住宅問題は社会問題だと、政治の問題が問われているということを非常に実感しましたので、引き続き取り組んでいきたいと思います。
ありがとうございました。